月: 2013年2月

《気になる》百年の手紙——日本人が遺したことば

手紙は非常に個人的なメディアです。複数の人に読まれることを意識した手紙もありますが、ほとんどは宛先の人にだけ読まれるものです。だから書いた人のありようがそのままあらわれるのかもしれません。もちろん「手紙の内容=その人の人間性」とは限りませんが。とても感動的で立派な手紙を書く人だったけど、人物的にはどうも感心しない人だった、ということもあり得ますからね。
それはともかく、歴史に名前を残した人たちはどんな手紙を書いていたのか。手紙に現れる書き手の姿は、社会的に知られた、いわば「表の顔」とは違うものかもしれません。それが面白そうです。

 

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「がんばる」と「がんばらない」は同じくらい大事〜働くオンナの処世術

気になる書き手のひとり、深澤真紀さん。これは編集者・会社経営者として20年以上働いてきた深澤さんの処世術をまとめた本です。
「処世術」という言葉にはあまりいい印象がありませんが、生きていく上では必要なことです。自分が頑張ったり誠実に対処しても、うまくいかないことは多くあります。そういう場面でこそ、処世術が必要になるのではないでしょうか。

深澤さんの仕事に対する姿勢は

「いちいちストレスをため込んで、自分を壊してはだめだ」
(p6「まえがき」)

に集約される気がします。どんなに輝いてても仕事で成果をあげても、自分を壊してしまったら元も子もない。自分を大切にしつつ、大事なところではがんばる、そういう姿勢だと思います。

この本のサブタイトルは「輝かない がんばらない 話を聞かない」です。これまでに出版された「『そこそこ ほどほど』の生き方 (単行本でのタイトルは『自分をすり減らさないための人間関係メンテナンス術』)」「考えすぎない生き方」でも提唱されてきた考え方です。
ポジティブ全盛の中にあって、かなり後ろ向きな提案が多く感じられるかもしれません。しかしわたしは「ああ、そうだよね」「こういうことは忘れちゃいけないよね」と、うなずきながら読みました。

その中で特に印象に残ったのは、企画会社を経営している深澤さんが仕事をする上で意識して続けてきたことです。それは「請求書をきちんと発行すること」なのだそうです。
何を当たり前のことを、と思われるかもしれませんが、

「請求書を発行する」ということを意識するということは、

①仕事の納期
②仕事の経費や売り上げ
③仕事の内容や質

など、「仕事の始まりから終わりまで」を、きちんと考えるということなのです。

会社員の場合なら、「給与明細」が大事です。
「給与明細をちゃんと読めない」という人も少なくないでしょう。
自分がどういう税金を支払っているのか、どういう保険や年金に入っているのか、どんな手当をもらっているのか、それがわからないのに仕事をするのは、商品の値札も見ず、自分の財布の残額も知らないで買い物をするようなものなのです。
(p49「処世術10 大事なことは日常の作業に」)

勤め人のわたしは自分の仕事に対する請求書を書くことはありませんが、税金や年金のことはあまり意識したことないな、給与明細もちゃんと見ていないな、と反省しました。
そして、請求書を書くことはなくても、やるべきこと仕事をきちんとこなし、求められる成果を出すために、深澤さんがあげた3点は常に意識しないといけないな、と思いました。

 

深澤さんの書くことは「後ろ向き」と言われることが多いようです。この本の「おわりに」でも言及されていました。
しかしわたしは、深澤さんの姿勢は後ろ向きだとは思いません。

よく「前向きに、ポジティブに」と言われます。たしかに前向きであることは大切だと思います。でもなんで「前向き」というと、みんな同じようにポジティブだったりアグレッシブだったりステップアップしようとしたり、になろうとするのでしょう。
「前」って明確に決まった方角じゃないのだから、人によって「前向き」のあり方が違っていてもおかしくないのに。重要なのは「わかりやすいポジティブであること」じゃなくて「その人が前だと思う方向にちゃんと進めるか」ではないでしょうか。
だから他人から見たら「ものすごくネガティブ」に見えたとしても、本人が前に進んでいると実感できれば、自分がやるべきことがきちんとできて、自分をちゃんと守れれば、前向きだろうと後ろ向きだろうと関係ないと思います。
そういう意味で、わたしは深澤さんの処世術はとても前向きだと思うのです。

もちろん、「いつでもポジティブ・アグレッシブ」が性に合っている人はそれでいいと思います。でもそれが合わない人だっているはず。それに物事は自分の思い通りになることは少ないから、これまでポジティブ・アグレッシブにやってきた人でも、それでうまくいかなくなったりつまづく時が出てくるかもしれません。そんなときに深澤さんの処世術は効くかもしれません。
働いている間、ずっと同じ姿勢・やり方を貫かなくてはならない、ということはないはずです。

この本は日経ウーマンオンラインでの連載をまとめたものなのですが、ポジティブ・アグレッシブの代表のような媒体で、正反対とも言える処世術が連載されたのが面白いですね。

 

 

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《気になる》7つの動詞で自分を動かす – 言い訳しない人生の思考法

「言い訳しない人生」という言葉は、とても力強い。日々小さな言い訳をたくさんしながら生活している自分には耳の痛い言葉でもあります。でも言い訳の必要がない生活を続けていれば、ストレスは減りそうです。

簡単なことではないと思いますが、自分の取る行動一つ一つに納得して、納得した通りに行動すれば言い訳は不要になるでしょうか。もちろんすべてが自分の思い通りになどなりませんが、納得を少しずつ増やせば、言い訳とそれによる居心地の悪さは克服できるかもしれません。

この本をきっかけに、そんな風になれたらいいですね。

 

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《気になる》やわらかな思考を育てる数学問題集

以前はセンター試験や県立高校の入試問題が新聞に掲載されると、英数はチャレンジしていたのですが、最近は全く解かなくなりました。一度問題から遠ざかると入試レベルは難しいかな、やるならもうちょっと基本的な数学の問題がいいだろうな、と思っていたところでこの問題集を知りました。
ロシアの子供たちが夢中になって解いた問題がぎっしり、というのに惹かれました。
自分の場合はこれから柔らかい思考を育てるというより、元から硬い上にさらに硬くなりつつある思考をほぐすために、そして数学の問題を解く楽しみを再度味わうために、機会があったら挑戦してみたいです。

 

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《気になる》「銅メダル英語」をめざせ! 発想を変えれば今すぐ話せる

今やっている勉強が一段落ついたら英語の勉強を始めようと思っています。まずは読む・聞く力をつけて、それから話す訓練もやりたいです。話すのが全くだめなので。
そんなことを考えているときに、この本を知りました。自分にとっては「話す」が一番ハードルが高いので、そこを突破するヒントに出会えたらいいな、と思います。
英検1級なりTOEICハイスコアは確かにすごいし、そのレベルまで到達したいと思うけれど、それよりもまず下手でも使える英語を身につける方が自分にはプラスになるとも思っています。

余談
知人で若い頃から様々な国に旅行している60代女性がいるのですが、彼女が昔「英語は中学校レベルだけど、それでも旅行で困ったことないよ」と言っていました。実際彼女が英語で話している場面を見たわけではありませんが、きっと言葉を補うコミュニケーション能力がある人なんだと思います。

 

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《気になる》素数表150000個

今日、最大の素数が発見されたというニュースがありました。この素数も、数年後には最大でなくなるでしょう。
これはその素数を15万個、ただひたすら並べた冊子です。見ているとおそらく目がちかちかしてくるでしょう。

ほとんどの人は、これを眺めて「こんな数が素数なんだ」と1度思ったら終わりになると思います。でもそれでもいいと思います。ただひたすら続く素数の羅列。こんな冊子が存在すると考えるだけで、ちょっと楽しい気分になりました。

 

素数表150000個
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《気になる》火葬人

先日、シュテファン=ツヴァイク「昨日の世界」を読みました。ツヴァイクの自伝であり、20世紀初頭から第二次世界大戦勃発くらいまでのヨーロッパ文化史とも言える作品です。

読みながら、この時代のヨーロッパが舞台の作品をもう少し読んでみたいなと思った直後にこの「火葬人」を知りました。いいタイミングで存在を知った本は過去の経験から「当たり」の確率が高いので、じっくり読んでみたいです。

この「火葬人」は映画にもなっているそうです。今後日本で見る機会があるかどうかわかりませんし、恐怖小説は大丈夫でも恐怖映画は苦手なのですが、機会が巡ってきたら見てみたいです。

 

火葬人 (東欧の想像力)
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《気になる》雑談力が上がる話し方—30秒でうちとける会話のルール

わたしは人と話をするのがうまくありません。話題が続かず黙ってしまうこともしばしばです。別にひたすら話している必要はないのですが、ただお互いが黙っているだけというのも居心地がよくありません。
仕事でクライアントと直接話す機会はあまりないのですが、もう少しうまく話せれば、仕事に必要な情報をスムーズに聞き出せるのになぁ、と思うことがよくあります。
雑談はおまけのように考えられがちですが、仕事でもプライベートでも、雑談がうまくて人と打ち解けやすくなる雰囲気を作れる人は強いと思います。
自分のためにもなって、他人との関係もよくできるような雑談力、身につけられたらいいですね。

 

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メディアマーカーの登録件数が4000件を超えました

1月31日に、メディアマーカーの登録件数が4,000件になりました。4,000件目は、3月2日発売予定の、いとうせいこう「想像ラジオ」でした。

3,000件目を登録したのは2012年3月30日、枡野浩一「歌—ロングロングショートソングロング」でした。
2,000件目に登録したのは2011年4月30日、「フランス名詩選」でした。
1,000件目を登録したのは2009年11月4日、夏目漱石「私の個人主義」でした。

およそ10ヶ月で1,000件登録のペースです。読みたい本は増えるばかり、本を読むペースは相変わらず。
未読本がたまるばかりですが、これだけ気になる本がたくさんある、というのも楽しいことですね。時間が経てば経つほど、自分のまわりに世界が広がっていく感じがします。

これからもどんどん登録して、のんびり読書していきたいと思います。

 

想像ラジオ
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歌—ロングロングショートソングロング
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私の個人主義 (講談社学術文庫 271)
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《気になる》絵と言葉の一研究 「わかりやすい」デザインを考える

わたしは絵を描いたりデザインしたりはまったくできませんが、いかにわかりやすく表現するかにはとても興味があります。
わかりやすい文章を書きたいし、例えば仕事でも、問題や用件をわかりやすく伝えられるかどうかで効率と成果は大きく変わるでしょう。
絵やデザインの話がメインだとは思いますが、寄藤さんがわかりやすい表現をつかむまでにどんな道をたどったのか、そこから自分なりのわかりやすい表現に行き着くきっかけをつかめたらいいな、と思います。

絵と言葉の一研究 「わかりやすい」デザインを考える
寄藤文平
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