月別: 2013年8月

営業に対する見方が変わる〜奇跡の営業

保険の営業というと、とにかく毎日走り回り、自分の親戚や友人知人に声をかけまくり、頭を下げて入ってもらう、というイメージががあります。「保険の営業をすると友達なくすよ」なんて言っている人を見たこともあります。いずれも偏見だとは思います。

「奇跡の営業」の著者、山本正明さんは保険の営業マンですが、正反対のスタイルを持つ人です。保険契約したお客さんから人を紹介してもらうスタイルで、4,000人いるソニー生命の営業マンのトップに立っています。しかも紹介はアンケートを軸にしてとっているとのこと。

 

奇跡の営業
奇跡の営業

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山本正明
サンマーク出版
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※レビュープラスさんより献本いただきました。ありがとうございます。

 

しかしにわかには信じられない話です。客がそんな簡単に営業マンに友人知人を紹介するものか? と。
いくら営業の人にいい商品 = 保険を紹介してもらったから、あるいは保険が長期間にわたるつきあいになる商品とはいえ、「友人知人を紹介して」といきなり言ったのでは「知らんがな」「なぜ一介の保険営業に友人知人を紹介せねばならんのか」で終わってしまう可能性が高いわけです。お金が絡むところで人を紹介するのは、客からすれば結構ハードルの高いことだと思います。

ではどうやって紹介を引き出すか。
著者は紹介してもらうために、様々な伏線を張っています。もちろんそれは最終的に新規契約を手に入れる=自分のためではあるのだけど、顧客に対して「人に教えたくなる」ものをたくさん提供しています。それは保険の話だけでなく、教育、住宅ローン、貯金、相続、転職など、保険とは直接関係ないけれど役に立つ話です。さらに「こういう話に興味がありそうな人はいませんか」「あとからで構わないので、その方々を紹介してください」と続きます。
そして紹介することが、契約した客自身にとってもプラスになる、というのです。
契約後にお客さんにアンケートを書いてもらい、そこで紹介をもらいます。客はアンケートを書くことで商談の良かったところを振り返ることで「この商品を買ってよかった」「この人と契約してよかった」という満足感を感じ、それが紹介につながる、というわけです。
これは目からウロコでした。確かにいい買い物をしたとき、周囲の人に「これはよかった」と伝えたくなるもの。保険も商品である以上、お客さんが「いい買い物をした」と思ってくれれば、人に紹介したくなるかもしれない。
巻末に山本さんが使っているアンケートがあるのですが、「紹介したい人を各欄がある以外は、よくあるアンケート」に見えます。しかし山本さんの営業スタイルを知り、アンケートの解説を読むと、試行錯誤の結果が凝縮されたものだとわかります。
山本さんは、人から「これをやるとよい」と聞いたものはすぐに試しています。アンケートもその一つです。いいと聞いた物はすぐに試す、一種の素直さが強みでもあります。

そしてもう一つ。すごいと思ったのが、紹介を依頼する際に「生活を安定させ、この仕事を長く続けることで、一人でも多くのお客様を守り続けていくためにお願いします」ということを本音で伝えていることです。
よく「何よりもお客様が大事」と言う営業マンがいますが、買う側としては「どうせ成績のためにそう言ってるんだろう」という疑念が生じます。疑念があると、どんなにいい物でも「この人から買っていいのか」と思われる可能性があります。
けれど「まずは生活のため、そして自分の生活が安定することが客のプラスにもなる」ときちんと伝えられれば、その人に対する信頼度が変わってくると思います。

わたしの職場には30人ほど営業がいるのですが、彼ら彼女らを間近に見ていて、成績上位者には共通点があると感じます。それは、やり方は人それぞれでも「自分が動かなくても依頼がくる仕組みを作っている」ということ。この流れも紹介の一種といえるかもしれません。
著者の方法は究極の「自分に依頼が来る仕組み」のような気がしてなりません。自分に依頼がくるように、多くの種をまいている感じです。

営業成績のいい人は口が達者で押しが強い人、というイメージあるかもしれません。
「奇跡の営業」は、それを見事に覆してくれます。
著者が扱う商品は、やや特殊かもしれません。でも一般的な営業職の人でも役立つヒントがたくさんあると思います。

レビュープラスさん、ありがとうございました。

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《気になる》もう仕事も人生も「値引き」しない 人間関係がよくなる新しい生き方

「値引き」という言葉が引っかかりました。ここでの値引きは心理学用語で、このページによると「人や人を取り巻く状況を低く評価すること」とのこと。
最初に見たときは「『適正価格』が分かってないと値引きはできないよなぁ」などと考えてしまいましたが、的外れですね。

こういう人間関係に関わる本は「難しいな、今ひとつわからないな」となってしまうことが多いのです。自分が抱えている問題を指摘されて、ぐさっと来るけど認めたくない、という気持ちが生じてしまうからかもしれません。
でも確かに自分も他人も低く評価し続けても、あまりいいことはなさそうです。
自分と向き合うことはなかなかできることではありませんが、この本は小さなきっかけになりそうです。

 

もう仕事も人生も「値引き」しない 人間関係がよくなる新しい生き方
山崎 真理
東京堂出版
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《気になる》誤記ブリぞろぞろ—校正の常識・非常識

タイトルを見て正直「うーん」と思いました。しかし本を作る側にとっては、誤記はこういうものなのかもしれません。
ほとんどの文章がコンピュータで書かれるようになりましたが、校正作業自体は手書きの時代と変わらないと思っていました。しかし実際には、原稿とつきあわせるだけでは済まなくなっているようですね。確かに誤記なのか誤植なのか判然としないケースは増えていそうな気はします。

校正は非常に地味ですが、本を作る上でなくてはならない作業です。それがコンピュータ時代に何がどんな風に変わってきたのか、気になります。

余談
真偽不明ですが、昔「本に誤植を見つけたら、そこを指摘して出版社に送ると、増刷時に誤植が直った本を送ってくれる」と聞いたことがあります。試したことはありません。

 

誤記ブリぞろぞろ—校正の常識・非常識
野村 保惠
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《気になる》江戸の風評被害

風評被害はマスメディアが発達した現代ならではの現象だと思っていましたが、江戸時代にもあったようですね。
風評被害がなぜ起きるのか、を単純に決めつけることはできないと思いますが、不確かな情報によって、自分が損をしたり害を被るかもしれない、と思う人が多数現れることによって起きると言えるかもしれません。
その不確かな情報は意図して流されれば風説の流布とか業務妨害になるでしょう。

現代よりずっと人口が少なかったとはいえ、情報伝達が格段に遅かった時代には、どんな風評被害があったのでしょう。そしてそれはどんな風に伝わり、どんな風に世の中が反応したのか、気になります。

 

江戸の風評被害 (筑摩選書)
鈴木 浩三
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《気になる》消しゴム

これはただタイトル惹かれました。しかしそこから内容を推し量ることはできません。ミステリなのか不条理劇なのか。消しゴムが物語のキーになるのか、あるいは暗喩か。
当たり前すぎて普段ほとんど意識することもないものですが、それがタイトルになると一気に謎が深まります。

昔色々なことで煩悶していた頃、「これまでの過ちを全部消せる消しゴムがほしい」などとしようもないことを考えていました。その消しゴムを使ったところで自分の本質が変わるわけでもないのに。

 

消しゴム (光文社古典新訳文庫)
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《気になる》上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史

上野にある国立西洋美術館。実は入ったことがありません。東京国立博物館に行くために、前は何度も通っているのですが。
わたしは美術館に時々行きますが、きちんと絵画の歴史を知っているわけではありません。なんとなく「これは好きだな、見てみたいな」という企画に行っているだけなのです。別に見たいものだけ見て問題があるわけではありませんが、歴史の流れを知った上での方が、より深く楽しく鑑賞できるのはまちがいないでしょう。
今度上野に行く機会があったら、この本を片手に国立西洋美術館に立ち寄ってみるのもいいかもしれません。

 

上野に行って2時間で学びなおす西洋絵画史 (星海社新書)
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《気になる》イラッとしたときのあたまとこころの整理術—仕事に負けない自分の作り方

仕事中に他人や何かにイラッとすることは、だれにでもあることだと思います。しかしイライラしてもろくなことはありません。それをそのまま人にぶつけても、状況が好転することはまずないし、ただ押さえ込んでも仕事に影響が出るばかり。
だからこそ、イライラをうまく消す方法が必要ですが、なかなかうまくいかないものです。ちょっとしたコツをつかむだけでもかなり違うと思います。それをこの本でつかめたらいいですね。

サブタイトルの「仕事に負けない」というのも非常に気になります。確かに仕事に負けてしまうと、仕事以外にもマイナスの影響が出てしまう可能性が高い。オンタイムもオフタイムもできるだけ穏やかに過ごすために、あたまとこころの整理は重要だと思います。

 

 

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おやじギャグってすごい〜わが盲想

思いがけない本に出会うことがあります。考えたこともなかったテーマで書かれていたり、意表を突く書き手だったり。「わが盲想」は、テーマも書き手も、いい意味で予想外でした。

著者は生まれながらの弱視で、12歳で視力を失いました。そして約15年前に鍼灸を学ぶためにスーダンから来日し、現在は東京外語大院で研究生活を送っています。
海外の視覚障害者が日本に鍼灸を学びに来ていることを初めて知りました。冒頭に「(鍼灸を学ぶための留学が) 今回スーダンにも募集が来てる」という言葉があったので、各国に募集が出ているのでしょう。つまり著者と同じ境遇の外国人が、結構日本にいるということですね。
鍼灸は日本とか中国くらいにしかないと思っていたので、世界各国から学びに来る人がいることに驚きました。

来日し、福井の盲学校に通い始めた彼は「正統な日本語と福井弁、東洋医学や西洋医学の専門用語、点字」の3つの言語をマスターする必要が出てきます。
そして日本語を覚える中で大きな役割を果たしたのがラジオとおやじギャグ。
ホームステイ先のお父さんからおやじギャグ講座を強要されたことがきっかけですが、日本語の面白さを知るきっかけになり、さらに漢字を覚えることもできたとのこと。
ラジオでは野球放送を通して、説明の難しい微妙な表現を学んだそうです。

ラジオはともかく、おやじギャグで日本語を覚えた人というのは初めて聞きました。
おやじギャグはとかくバカにされやすいけど、結構高度な表現ではないでしょうか。単語を多く知っていることと、それなりにギャグセンスとひらめきがないと難しい。
でも同音異義語を駆使するから、言葉どうしのつながりを考え実践する機会と考えれば、向いている人には格好のツールなのかもしれません。

日本に来て、彼の世界がかなり広がったように感じます。勉強面では、スーダンにいたときの著者は、教材を読み上げるなどして勉強を手伝ってくれる人がなかなか見つからず、苦労していたのですが、日本で多くの人の支援を受けられたこと、点字を覚えて自力で教科書を読めるようになったなどの変化も影響しているかもしれません。
さらにブラインドサッカーという新しいスポーツに出会ったり、NPOを立ち上げてスーダンの障害者の教育支援を始めたりしたこともあるでしょう。
人的にも物的にも適切な支援があれば、ハンディキャップがあってもできることが広がることを再認識しました。

本文中にもギャグが随所に現れていて「うーん」と思う箇所もありますが、読んでいてとても楽しかったです。
書かれていない部分で、実際には様々な苦労があったと思います。でも彼なりの方法で乗り越えてきたせいか、とても明るい感じがします。

外国人の日本体験記はいろいろありますが、「わが盲想」は今まで考えたこともなかった角度から書かれた本でした。今年これまでに読んだ中で、もっとも驚きに満ちた1冊です。

 

わが盲想 (一般書)
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《気になる》スケジュール時計

ちょっと変わった時計を見つけました。中心がホワイトボードになっていて、24時間で一周する時計です。

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紹介写真にあるように本来子供向けだと思いますが、大人でも十分使えますね。
わたしが考えたのは「帰宅したらすぐにやること」を真ん中に大書する方法です。置き時計なら玄関にだって設置できるし。
壁にホワイトボードをかけてスケジュール書いて、というのは、自宅ではちょっとやりにくいけれど、これなら時間軸は時計が担ってくれるし気楽ですね。普段手帳に書いているタイムテーブルをここに書き写すことで、目に入る確率がぐんと上がると思います。

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《気になる》江戸創業金魚卸問屋の金魚のはなし

わたしの実家では数年前まで「小学生の時にお祭りですくってきた金魚」が生きていました。30年近く生きたことになります。大きさは尾びれまで入れると30cm近くあったかもしれません。
そして職場の某課長が数年前から金魚にはまっているそうです。毎年新たに買ってくるのと繁殖したのとで、順調に数が増えているとか。

夏になると、デパートなどで金魚が展示されます。見ていると涼しげだし、本当にきれいだなと思います。
金魚はありふれた魚で、ヒブナを改良して作られたことは知っていても、現在までどんな歴史をたどってきたのかまでは気にしたことがありませんでした。
観賞魚は世界中にいると思いますが、日本の金魚がどんな風に作られてきたのか。この本で金魚の楽しみがちょっと増えそうです。

 

江戸創業金魚卸問屋の金魚のはなし
吉田 智子
洋泉社
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