「会社」のあるべき姿とは〜挑む力

ICT企業として国内一になった富士通の、現場のリーダーたちの働きについての本です。レビュープラスさんから献本いただきました。ありがとうございます。

読んで感じたことが2つあります。それは

  • 富士通も変わったのかな
  • 『プロジェクトX』のような現場ばかりなのかな

これらについて書いてみます。

まず「富士通も変わったのかな」という点。
十数年前の富士通は下方修正が続いており、経済雑誌のインタビューで責任について言及された当時の社長が、逆ギレとも開き直りとも責任放棄ともとれる発言をして一部で話題になりました。
※そのときの社長が何を発言したかについては「東洋経済2001年10月13日号」で検索してください。
「富士通」と聞くと今でもその社長の発言を思い出すくらい、自分にとってはインパクトがありました。
なので、この本に書かれた富士通と、自分の中にある、あるいはかつて語られていた富士通の姿のギャップの大きさに、正直戸惑いを感じました。

かつて低迷していた富士通と今の富士通の一番大きな差は何か。
この本に登場している社員には、その時期にも富士通で働いていたて、その社長の発言を直接目にした人がいると思います。
低迷の時期から現在に至るまで、会社として、あるいは現場の社員が何を思い何を捨て何を残し何を新たに取り込んだのか。
個人的には、その部分をもっと知りたかった。そこがわからないと、現在の富士通の成功が必然なのか「不思議の勝ち」なのか判断がつかないと思ったので。

そして「『プロジェクトX』のような現場ばかりなのかな」という点。
現場の皆さんは、本当にがんばってらっしゃる。頭が下がる思いがします。それは間違いない。
でも、がむしゃらに仕事に取り組み、成果を上げることははもちろん大切だし必要なことだけど、社内に「がむしゃらにやるだけ」しか文化がないとしたら、それは危うさも孕んでいるのではないでしょうか。
がむしゃらにぶつかっていくことが文化の中心にあること自体はいいと思います。でもその一方で、例えば常に冷静に物事を見て進めていく人、何でも一歩引いて見る人がいて、そういう人たちも社内で許容されている方が「強い」んじゃないでしょうか。
様々な視点、姿勢を持つ社員がいることの強みを、富士通は持っているでしょうか。そこをもう少し知りたかったと思います。

「おわりに」に、東日本大震災で被災した福島の工場の話が出てきます。従業員は自宅が被災しているにもかかわらず、率先して工場復旧のためにがれきを片付けました。このことについて社長が

従業員の面々は、自宅が被災しているにもかかわらず、工場復旧のためにがれきを片付けた。製品をお客様に届けるために、自分たちが工場を守る。こういう考え方が徹底していたことが、ものすごくうれしい。これは富士通だけではなく、日本の現場力、日本人の道徳である。世界に対する我々の強みだ
(p201「おわりに」)

と話しています。
おっしゃることは確かにその通り。でもその一方で、被災してもなお会社を守ろうとした従業員、従業員と一緒に被災した家族に対して会社はどう対応したのか。それが少し気になりました。

自分の中にあったイメージと実際の姿、これらの差を通して、富士通に限らず会社のあり方について考えるきっかけになりました。

レビュープラスさん、ありがとうございました。

 

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