月: 2010年7月
GTDは意外に身近なものだった〜ストレスフリーの仕事術
今頃読んでいるのか、と言われそうですが。
この本を読む前から、GTDという言葉は知っていました。「なんとなくこんな風なことをやるらしい」ということも。でもGTDを自らやろうと思ったことはなかったし、別に自分に必要ないとも思ってました。GTDを実践している方を見て「これは高度に知的な労働をしている人の物なんだろう」と思っていたからです。
ところが先日、「グズの人にはわけがある」という本を読んで、GTDに引き寄せられました。
この本にあるグズ (先のばし癖) の6パターンのうち、「夢想家タイプ 」の先のばし癖克服法に
- たいせつなプロジェクトを計画するときは、必ず書面にして、スケジュールを立てる
- 仕事用に1つ、家庭・プライベート用に1つ大きなカレンダーを用意し、だいじなできごと、期日や課題をわかった時点ですぐに書き込む。両方のカレンダーを1日2回(朝と晩)以上はチェックして各出来事、期日や課題が達成されるたびに消していく
- 毎日「すること」リストと「考えること」リストを持って行動する
などが提案されていて、これってGTDというものに似ているのではないかと思ったのです。「高度に知的な労働をしている人の物」と思っていたけど、意外と自分の生活にも使えそうな気がしてきました。
GTDとはなんでしょう。わたしは「見えない敵を見える敵にする手段」「敵の正体を知る手段」だと思いました。
ここで言う「敵」とは、自分自身の悩みかもしれないし、やりかけの仕事かもしれない。悩みもやりかけの仕事も、「自分自身の行動などを妨げるもの」という観点では根本でつながっているといえるでしょう。
そういう見えない敵をあぶり出す手段としてGTDがあるのだ、と解釈しました。
「敵」の正体が分かればこそ対処できる。正体が分からないままでは手の打ちようがない。
GTDそのものでは敵は倒せない。しかし、GTDで敵の正体を知れば別に対策は立てられる。
GTDにおけるキモは、「すべてを書き出す」ことと「定期的に見直すこと」の2つ。書き出すのは敵をあぶり出すため、見直すのはあぶり出した敵を見失わないため。せっかくあぶり出したものを見失っては元も子もない。
そう考えると、GTDにおいて週次レビューが非常に重要視されるのもわかる。
GTDはあくまで思想であって、実践部分は自分のオリジナルでいいわけです。
今回この本をよんで1番意外だったのは、GTDの実践に関して具体的なツールの紹介や事例紹介がほとんどなかったこと。GTDは思想であり、思想の実践は個々のやり方でよい。それがGTDの最大の特徴と言えるでしょう。逆にその特徴故に敷居が高くなってしまう面はあるかもしれない。
ここから先は、GTDを実践している人たちの情報が役に立つでしょう。
この本をよんで、これまでなんとなく敬遠していたものがちょっと身近になりました。気負わず自分の身の回りのこと、自分が使っているツールでGTDを始めてみたいです。
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第2回西三河朝会を開催しました #mikawaasa
7月17日に、第2回西三河朝会を開催しました。参加いただいた皆さん、ありがとうございます。
課題本は森有正「生きることと考えること」。
そもそも森有正を知ったのは、「読書と社会科学」という本を読んだのがきっかけです。この中に著者がある読書会で行った講演を再構成した章がありまして、最後にその読書会の名前が2つ挙がっていました (1981年の講演なので、現在は存在しない会かもしれません)。
その1つが「森有正を正確に読む会」。
朝会でわたしは「森有正を正しく読む会」と言ってしまいました。訂正いたします。
森有正に対する予備知識は全くなかったのですが、「『正確に読む会』があるということは、この人は誤解されているのだろうか」と興味を持ったのです。
当日は、参加者の皆さんが興味を持った箇所について話していただいたのですが、興味を持ったところ、その理由など、一人一人の視点の違いがわかり、非常に楽しかったです。
うれしかったこと
第1回の課題本「高校生のための文章読本」でもそうでしたが、
「課題にならなければこの本は手に取らなった」
「自分では選ばない本だけど、読んでよかった」
というご意見をいただきました。
自分の興味優先で本を選んでいますが、それでもその人と本や著者と出会うきっかけを作れたとしたら、こんなにうれしいことはありません。
反省点
自分の興味に従って課題を選択しておいてなんですが、正直いってよくわからなっかった部分が多いです。1回読んだだけではわからない、2回3回読めば、だんだん分かってくるだろう、そういう本だと思いました。
開催前に2回3回読む時間が取れなかったのが残念です。
1冊の書物の内容をすべて理解するのは無理でしょうが、それでも少しでも理解を深めることで、より読書会を盛り上げることができたかも、と思っています。
そんな頼りない主催者ではありますが、参加してくださった皆さん、ありがとうございました。
また機会がありましたらよろしくお願いします。
講談社
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話す・書く・行う
twitterでこれを見て、考えてみました。
話す・書く・行う。
虹の父さんが考える話す・書く・行うとは違うかもしれませんが、自分なりのとらえ方です。
話す人
自ら声を発する表現が最も重要
書く人
文字にての表現が最も重要
行う人
話す・書く以外でなんらかの表現をする。絵とか音楽とか起業とか、いろいろなものが考えられるか
こんな感じでしょうか。
自分は志向としては「書く人」だと思います。なんとなくですが「書いてみたい」という気持ちは結構前からあるし、数年前、知人の編集者に「書く気はないの?」と問われたときも、「書きたいと思う」と答えているので。
でも実際はどうだろう。
書きたいことなんか何もないくせに断片がカサカサ頭の中で音たててて
いざ書いてみると ひょっとこでおっちゃらぴーのうわごとのたわごとなんだ
岡崎京子「pink」
のように、頭の中がかさかさ音を立てている状態が延々続いて、結果「書く」に結びつかない状態が続いている気がする。
先の引用の台詞には、次のような返答があります。
世の中にはすてきなたわごともうわごともあるわ
そーゆーよーなものを書けばいいんじゃない?
たぶん、(素敵かどうかは別として) うわごとやたわごとでも、書けばいいのだろう。うわごとやたわごとでも、書いているうちに、いつか本当の「ことば」に行き当たるかもしれない。
今年後半に読む本リスト
今年も半分が終わりました。今年は6月末までに29冊の本を読みました。予定より少ないですが、自分のペースで読んでいこうと思います。
さて、「いつか読もうと気にはなっているが、なかなか手が出ない本」というのがあります。なかなか手が出ないので、思い切って作ったことのない読む本リストを作って、半年間で読んでいこうと思います。
それでも人生にイエスと言う
@stiloに読めと言われた本。読めと言われたからには読まねば
アフリカの日々
昔からなんとなく気になってはいた本。「高校生のための文章読本」に出てきたので、せっかくだから読もう。
晶文社
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食魔 岡本かの子食文学傑作選
岡本かの子は読んだことがないのだけれど、文人悪食に取り上げられていて気になっていたので。
講談社
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他者の苦痛へのまなざし
「初めてのスーザン=ソンタグ」に向いている本かどうかはわかりませんが。
パルムの僧院
池澤夏樹が「読書癖〈2〉」で、「電子書籍で『パルムの僧院』を読むのは、やっぱり楽しくないだろう」という趣旨のことを書いていた (本が手元にないのでうろ覚えご容赦) ので、読んでみようかと。
数学ガール
数学から離れて久しいけど、気になるので読もう。
どれも簡単に読める本ではないけど、スピードを気にせずにじっくり読みたいと思います。
そして、西三河朝会の課題本。自分が読みたいだけでなく、参加者の皆さんが楽しんで読める本を選ぶようにがんばります。
さらに余裕があったら、池澤夏樹「読書癖3」「読書癖4」も読もう
小さな「何か」が大きな差を作る〜「モチベーション3.0」を読んで #rvpl
「モチベーション3.0」は発売前の本ですが、レビュープラスさんより第5章までのゲラを送っていただき、読むことができました。
この本で取り上げられる「モチベーション」は3種類あります。これらは「社会のオペレーティングシステム」とも言うべき、人の行動を決める規範のようなものです。
- モチベーション1.0=生理的動因が行動を決める
- モチベーション2.0=「報酬を求める一方、罰を避けたい」という動機が行動を決める
- モチベーション3.0=「学びたい」「創造したい」「世界をよくしたい」といった動機が行動を決める
5章まででは、モチベーション2.0がうまくいかなくなったのはなぜか、モチベーション3.0がどういうものか、モチベーション3.0によって人はどう変わるか、が紹介されています。
ビジネスの場でモチベーション3.0の存在がクローズアップされたのが、昨今の経済不安で、これまでのアメとムチによる「モチベーション2.0」がうまくいかなくなったことがきっかけであり、経済の複雑化・より高度な能力が必要になってきたからと書かれています。「それがうまく動かない状況になったからこそ、問題点が見えてきた」わけです。
逆に言えば、経済不安のような状況にならなければ、いつまで経ってもモチベーション2.0の問題点は見えてこなかったかもしれない。順調すぎるのも実はよくない、ということなのだろうか。
このゲラを読んでの最大の収穫は、漠然と自分の中にあった疑問に、はっきり答えが与えられたことです。
自分の頭の中に漠然とした疑問がありました。
「仕事のやりがいとは給与明細の数字だけで決まるものなのだろうか」
「仕事は給与明細の数字がすべて、と思っていたら辛くなりはしないか」
自分の周囲限定の話で申し訳ないのだけど、だいたい、自分の給与金額に納得している人は少ない。周囲からうらやましがられるような高給の人であっても不満が多い人はいるし、その不満の裏返しで、自分の高給をやたら自慢する人もいる。
そういう姿を見て、自分は「この人は給料をたくさんもらってるけど楽しくないんだろうな」などと思ったりしていた。
その一方で、給料に不満がありながらも、楽しく積極的に仕事に取り組み、成果を上げている人もいる。
こんな風に、「給与に不満」という点は同じでも、楽しくなさそうな人と楽しそうな人がいるのはなぜか。
単なる金額の多少では計れないものが仕事にはあるのではないか、楽しそうな人は「何か」を持っているから楽しいのだろう、と漠然と思っていたけど、その「何か」の正体が自分には分からなかった。その何かが内発的動機の有無、「モチベーション3.0」と名付けられるものであることに、このゲラを読んで気づきました。
ただ与えられた仕事を与えられた仕事としてだけやるか、与えられた仕事に自分自身が「何か」を見出し、ただ与えられた仕事だけで終わらせないか。最初はわずかな差かもしれないけど、最終的には仕事にも人生そのものにも、大きな差が出てきます。
「何か」を見出すといっても、それは簡単なことではないでしょう。仕事に限らず、やり方を新しくすること、新しいことを習慣にすることは容易ではない。でも、普段の仕事の中で、少しずつ意識することはできるはず。まずは今の仕事の中で「自分ならどうしたいか」「自分はこの仕事とどう関わりたいか」などを意識するようにしたい。
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1つ気になったことが。
本文ではなく、大前研一氏による訳者まえがきを読んで感じたこと。
大前氏は「プログラミング=クリエイティブではない作業」という認識があるようです。
クリエイティブではない作業だから、(他の単純作業と同じように) 中国やインドに行ってしまった、とあるけれど、本当にそうなのだろうか。
大前氏が言うところの「プログラミング」は実際には「コーディング」ではないか。
「プログラミング=クリエイティブではない作業」というとらえ方は、そもそも本書でも取り上げられているオープンソースの動きと矛盾するし、大手メーカーでIT技術者として採用された新卒社員の研修がインドで行われたことを説明できないのではないか (このインドでの新入社員研修が現在も行われているかはわからない。しかし数年前、実際にインドで研修を受けた新人技術者と話をする機会があった)。
中国にしてもインドにしても、人口の多さと人件費の安さを背景として、多くの仕事が移ってきているのは事実だ。でも中国は「世界の工場」と呼ばれるが、インドがそのように呼ばれたことは、寡聞にして知らない。この差はどこから来るのだろう。
本書の内容は非常に興味深く、実際に発売された際には是非続きを読みたいと思った。しかし、この大前氏の訳者まえがきだけが残念だった。