カテゴリー: 本の話
2017年に読んだ本、これはよかった #mybooks2017
2017年は昨日までに82冊の本を読みました。自分としては結構読みましたね。
特に印象的だった本を紹介します。今年はあえてコメントはつけません。
並べた順序に深い意味はありません。
ことばについて考えさせられた本
『日本語のために (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集 30) 』
売り上げランキング: 151,627
社会の「根底」「暗部」について考えさせられた本
ブレイディみかこ『子どもたちの階級闘争』
みすず書房
売り上げランキング: 7,101
笙野頼子『ひょうすべの国』
仕事について新しい視点を得られた本
辻山良雄『本屋、はじめました』
苦楽堂
売り上げランキング: 57,256
オーレ=トシュテンセン『あるノルウェーの大工の日記』
エクスナレッジ (2017-09-29)
売り上げランキング: 11,981
歴史についての印象が変わった本
三木 亘『悪としての世界史』
文藝春秋
売り上げランキング: 319,612
アメリカを知るために役立った本
タナハシ=コーツ『世界と僕のあいだに』
慶應義塾大学出版会
売り上げランキング: 21,685
渡辺由佳里『トランプがはじめた21世紀の南北戦争』
晶文社
売り上げランキング: 331,525
J.D.ヴァンス『ヒルビリー・エレジー』
光文社
売り上げランキング: 8,366
〆切の力を見せつけられた本
左右社編『〆切本』『〆切本2』
左右社 (2016-08-30)
売り上げランキング: 4,074
左右社 (2017-10-07)
売り上げランキング: 16,324
来年も、たくさんのいい本に出会えるといいな。
今年読んで、強く印象に残った本 #mybooks2016
今年は昨日までに63冊の本を読みました。
その中から特に印象的だったものをご紹介します。
温又柔『台湾生まれ 日本語育ち』
「自分自身」「ことば」「国」の関わりについて、全く新しい視点で綴られた本。
自分の生まれた国で育ち暮らし、自分の国の言葉だけを話す生活をしていると、この3つは直接結びついているものと考えがちですが、それは当たり前じゃない。
ことばと人との関わりは、本当はもっと複雑ですごいものなんだと実感させられました。まさに「蒙を啓かれた」という感じです。
米原万里『米原万里ベストエッセイ(I)(II)』
池澤夏樹がIの解説に「つくづくこの人にはかなわないと思う」と書いていましたが、全く同感です。
彼女のエッセイをまともに読んだのは初めてですが、確かにこれだけ毒舌や下ネタを出しても下品にならず、知性あふれる痛快なエッセイを書ける人にはかなわない。
彼女の文章、もっと読んでみようと思います。
KADOKAWA/角川学芸出版 (2016-04-23)
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KADOKAWA/角川学芸出版 (2016-04-23)
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モリー=グプティル=マニング『戦地の図書館 (海を越えた一億四千万冊)』
本の持つ力を、強くストレートに実感させてくれました。
第二次大戦中、アメリカ軍は前線の兵士たちに1億4000万冊もの本を送ったそうです。「兵隊文庫」と呼ばれたその本たちを兵士たちはとても大事にし、時間さえあればむさぼるように読んだそうです。
悲惨な戦闘の中でも、兵士たちは本を読むことで「自分は人間である」という実感を取り戻していたのです。
そして本を読むことを覚えた兵士たちは、復員後に大学に通うなどして教養や職を得るようになったそうです。兵隊文庫は、市民の教養の底上げにもつながりました。
訳者あとがきには
本は武器であるという言葉は、決しておおげさな言葉ではないと思う。ヒトラーは無類の読書家だったそうだ。おそらく彼は、本の力をよく知っていたのだろう。だからこそ、一億冊もの本を燃やしたのではないか。そして、アメリカの図書館員や戦時図書審議会構成員もまた、本の力を知っていた。だからこそ、一億四千万冊もの本を戦場へ送ったのである。
とあります。
本の力を知っている両者が、正反対の行動に出たというのが非常に興味深い。
東京創元社
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チママンダ=ンゴズィ=アディーチェ『アメリカーナ』
2段組で500ページ以上ある小説ですが、読み出したら止まらない。
恋愛がベースでありながら、全体を通してアメリカ社会への批評が展開されます。
アメリカ社会で移民・女性・黒人が生きるとはどういうことか、アフリカからアメリカに渡った人と、アフリカに残った人との間にあるものとは。
主人公のイフェメルが、アメリカに来て、初めて自分が黒人であることを発見したという箇所が衝撃でした。
まずラブストーリーにどっぷりはまり、そしてアディーチェの社会批評の鋭さに驚嘆する。
アメリカは移民社会と言われるけど、だからこそ抱える複雑さがあるのですね。
河出書房新社
売り上げランキング: 64,364
来年も、いい本にたくさん出会えますように。
今年出会った、とても印象的な本について
今年は今日までに75冊の本を読みました。昨年読んだのが63冊だったので、だいぶ多いですね。
その中から特に印象的だったものをご紹介します。
武田砂鉄『紋切型社会——言葉で固まる現代を解きほぐす』
世の中には言葉があふれているけど、自分になじむ物ばかりではありません。聞いて「?」がともる言葉もある。そんな言葉の裏側にあるものを見せてくれる本。
「?」を感じる力を持ち続けること、感じるだけでなくきちんと対峙する事の大切さがわかります。
非常に気になる書き手、武田砂鉄さん。彼の文章は、今後も追いかけていきたい。
朝日出版社
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岸政彦『断片的なものの社会学』
NHKの「ドキュメント72時間」。毎週録画して見ている唯一の番組です。
この本とは全く無関係なのですが、わたしはどちらにも同じ理由で惹きつけられるのかな、と感じました。
どちらも登場する人々が見せる面は、人生のほんの一瞬に過ぎません。それだけで人を判断するのは危険だけど、でも一瞬だからこそ、その人らしさが非常に強く出るのかもしれません。
「普通の人の一瞬」と、それに誠実に向き合う著者の姿が、じんわりと胸にしみます。
デイヴィッド=フィンケル・古屋美登里訳『帰還兵はなぜ自殺するのか』
読み終わって、非常に気が重くなった本。しかし読んでよかったと思います。
主にイラク戦争に従軍したアメリカ兵を追跡しているのですが、兵士自身もその家族も、軍部も医療関係者も、「帰還後」どうすればいいのか決めあぐねているように感じました。
戦場から帰還しても、後遺症は続く。本人だけでなく、周囲の人も苦悩する。
「戦争の終わり」は非常に曖昧で、場合によってはいつまでも引きずられてしまうことがよくわかる。
この作品は映画になることが決まっています。公開されたら見てみようと思います。
亜紀書房
売り上げランキング: 16,245
開沼博『はじめての福島学』
「『福島難しい・面倒くさい』になってしまったあなたへ」という惹句が付いている本。
東北出身で現在は遠く離れた場所に住むわたしにも、「福島難しい・面倒くさい」という気持ちがどこかにあります。
福島が「特別」になってしまったせいでしょう。この本はその「特別」を引きはがす効果があると思います。
福島の抱える問題の本質は何であるかを、公開されている統計資料等をもとに明らかにし、それらを前にどう考え、何をしていけばよいのかを提示する。
著者が福島で研究・発信し続けているからこその説得力があります。
読んでいて、頭の中の霧が晴れているような感じがありました。
イースト・プレス (2015-03-01)
売り上げランキング: 18,492
マーガレット=ミッチェル・鴻巣友季子訳『風と共に去りぬ 全5巻』
新訳が出たから読んでみるか、という軽い気持ちで手に取ったのですが、驚きの連続でした。
映画も見ていないわたしにとって、この作品のイメージは「すごく気の強い美人が主人公の長編ラブロマンス」だったのですが、全く違っていました。
まずスカーレット。気が強いどころの話じゃない。かなりひどい。ここまでヒール色の強い主人公も珍しいと思う。
わたしは彼女とは絶対に友達になれない。メラニーとも友達になれないと思うけど。
それに思ったほどロマンス要素は強くない。確かにレット=バトラーとの関係はとても重要だけど、それが中心という感じは受けなかった。登場人物としてはメラニーの方がはるかに重要では。
スカーレットはむちゃくちゃで、本当に強い。ひどい人間である一方、とても魅力的。今自分がすべき事だけを考え、他人の目など気にせずにそれをやり続ける。彼女なら、どんな時代がきても絶対に生き抜ける。
わたしは『風と共に去りぬ』は
「時代のうねりに翻弄されながらも、自分だけを頼りに怒濤の人生を生き抜いた女の一代記」
だと思ったし、だからこそ歴史に残るベストセラーになったんだと思いました。
新潮社 (2015-03-28)
売り上げランキング: 129,030
平山夢明『デブを捨てに』
思わずタイトル買いしました。
4つの短編が収められていますが、みんな暴力にあふれているし汚いしきつい。しかし同時に、どうしようもない優しさを感じるのです。ただ暴力的で汚いだけなら、読み通せなかったと思う。
いやあ、結構ひどかった (褒めてます)。
星野智幸『呪文』
なんというか、気持ち悪い小説でした。登場人物が誰も好きになれなかった。しかし、だからこそ読んでよかった。
この小説が持つ気持ち悪さの根源は、人物にせよ現象にせよ現に世の中に存在しているものだと思うから。
来年も、いい本にたくさん出会えるといいな。
NHK「ドキュメント72時間 世界最大 古書の迷宮へようこそ」を見た
12月4日に放送された、NHK「ドキュメント27時間 『世界最大 古書の迷宮へようこそ』」を見ました。
ドキュメント72時間「世界最大 古書の迷宮へようこそ」 – NHK
世界最大 古書の迷宮へようこそ …
神田の古書店街に3日間密着しています。本に関する場所に密着するのは、2013年放送の「巨大書店 活字の森の歩き方」以来でしょうか。
NHK「ドキュメント72時間 巨大書店・活字の森の歩き方」を見た | 書肆小波
20代に水道橋にある専門学校に通っていた時期があり、当時は毎日のようにこの辺をふらふらしていました。しかしいつもショウウインドーや店頭のワゴンを眺めるだけでした。この時期は非常にお金がなかったので、新刊にせよ古書にせよ、本はほとんど買っていません。環境はとてもよかったのに。惜しいことをした。
古書店街には平日休日問わず、多くの人がやってきます。
例えば出張で九州からやってきた不動産業の60代男性。古書5冊を選んでスタッフに「すごい生き生きとしてますね」と言われていました。画面からもうれしさが伝わってくる。
1984年の雑誌オリーブを購入した19歳の女子大学生。お母さんの青春時代の話を聞いて興味を持ったそうです。当時のファッションは「1周2周ぐらい 3周目ぐらい回って またかわいいなって思いますね」とのこと。
彼女のファッションも、確かに「オリーブ少女」のテイストです。着ていたセーターは、なんとお母さんのお下がりとか。
一番印象的だったのが、ガレージセールを見ていた元雑誌編集者の66歳女性。持病があり、医師に「命を削るようにして仕事をしてきたんだから もうやめて自分の好きなことをした方がいい」と言われたんだそうです。
そう言われて、古書店街にやってくる。心底本が好きな人なんですね。
現在彼女は人生のすべてを捧げてきた本の処分を考えているそう。
わからない人はみんなゴミにして出しちゃうでしょ
(略)
わたしは持っているだけですごくうれしかったから
それが欲しい人が持っていてくれてすごく うれしかったら
わたしも持って大事にしてきた時間が 無駄にならなかったような気がするから
やっぱり本があるといいなって思うから
この言葉、身にしみる。本は持っているだけでうれしいし、本がある生活はとてもいいと思うから。
古書店街には160店以上あり、びっくりするようなものも売られています。
例えば室町時代の書物が1,600万円で、1774年の「解体新書」が380万円、1618年にオランダ人から江戸幕府に献上された植物図鑑「草木誌」は216万円。
「見つからない物はない」と言われているのも納得できます。
神田古書センター内の書店も撮影されています。この8階にアダルト専門の「芳賀書店」があるのですが、さすがに行っていません。しかし、フロアガイドが写った時に、さりげなく店名が赤枠で強調されていましたww
オープニングに写った、路上にいた30代くらいの男性は「本が好きな人の魔法の国」と言い、60代くらいの男性は「お酒はやめられるけどこれ (古書) ばっかりはやめられない」と語っていました。強く頷くのみです。
古書店って、新刊書店より強い吸引力を持っていると思います。古書店の「おいでおいで」の方が強力に感じます。不思議です。
メディアマーカーの登録件数が7,000件を超えました
10月23日に、メディアマーカーの登録件数が7,000件になりました。7,000件目は、清水 浩史「秘島図鑑」でした。
6,000件目を登録したのは2014年11月26日、リデル=ハート「第一次世界大戦〈上〉」でした。
5,000件目を登録したのは2013年12月17日、永野裕之「根っからの文系のためのシンプル数学発想術」でした。
4,000件目を登録したのは2013年1月31日、いとうせいこう「想像ラジオ」でした。
3,000件目を登録したのは2012年3月30日、枡野浩一「歌—ロングロングショートソングロング」でした。
2,000件目に登録したのは2011年4月30日、「フランス名詩選」でした。
1,000件目を登録したのは2009年11月4日、夏目漱石「私の個人主義」でした。
今年は今日までで64冊の本を読了しました。分厚い本を結構読んだ割には冊数が多いですね。
来年も、読みたい本を読みたいペースでのんびり読んでいこうと思います。
技術評論社
売り上げランキング: 104,660
メディアマーカーの登録件数が6,000件を超えました
11月26日に、メディアマーカーの登録件数が6,000件になりました。6,000件目は、リデル=ハート「第一次世界大戦〈上〉」でした。
5,000件目を登録したのは2013年12月17日、永野裕之「根っからの文系のためのシンプル数学発想術」でした。
4,000件目を登録したのは2013年1月31日、いとうせいこう「想像ラジオ」でした。
3,000件目を登録したのは2012年3月30日、枡野浩一「歌—ロングロングショートソングロング」でした。
2,000件目に登録したのは2011年4月30日、「フランス名詩選」でした。
1,000件目を登録したのは2009年11月4日、夏目漱石「私の個人主義」でした。
今年は今日までで61冊の本を読了しました。意外と読んでますね。
来年も、読みたい本を読みたいペースでのんびり読んでいこうと思います。
技術評論社
売り上げランキング: 104,660
今年もいい本に出会えた〜2014年・印象に残った本 #mybooks2014
気がつけば12月も中旬です。今年も色々な本に出会いました。
特に印象に残ったものをご紹介します。
ティムール=ヴェルメシュ「帰ってきたヒトラー」
間違いなく「今年もっとも衝撃的だった本」です。
ヒトラーが現代ドイツに突如蘇り、強烈な毒舌を吐く芸人として人気者になっていく…というストーリーなんですが、読んでいて困った気分になってしまいました。
なぜなら、冒頭にあった「本書について」に書いてある
最初は彼を笑っていたはずなのに、ふと気がつけば彼と一緒に笑っているからだ。
と、まさにそういう状態になったから。で、最後の最後で「んなバカな」となってしまう。
この本はドイツでベストセラーになり、映画化も決まっています。
ヒトラーに関する本の出版が禁じられているドイツで出版できたのは、これがあくまで「風刺小説」だからですね。風刺の対象は様々あると思うけど、おかしいと思っていたのに、いつの間にか彼と一緒に笑っている、その変化自体も含まれているでしょう。
ジェイムズ=カー・アルチャナ=クマール「総統はヒップスター」
これもヒトラー関連本です。ヒトラーがもし「ヒップでロハスな草食系メガネ男子」だったら、を描いたまんがです。
健康志向の源流がヒトラーやナチスにあることは、以前から指摘されています。だからこういうキャラクター化が突飛だとは思えないし「確かにこういう若者は少なくないかもしれん」と感じたのです。
ヒップスターたるヒトラーが着ているTシャツのロゴに、いちいち捻りと風刺が効いているのですが、自分が歴史をきちんと知らないせいで、ピンとこない部分があったのは残念。
ヒトラーは確かに怪物かもしれないけど、2度と現れない存在ではないのかもしれない、怪物は知らない間に、するりと自分のそばに来てしまうかもしれない。同じことは「アイアン・スカイ」を見た時にも感じましたが、このことは忘れてはいけませんね。
ヒトラーをネタにした本を続けて読んだのは偶然ですが、そう思いました。
田中兆子「甘いお菓子は食べません」
女の性について書かれた本はいろいろあるけど、40代の女 (まさに自分がそうだ) たちの持つ欲望そのものがテーマで、その根源的なものを書き出そうとする本に初めて出会いました。
登場人物が抱える困難は、現在の自分と重なるとは限らないけど、でも彼女たちの気持ちもわかるので、かなり心がえぐられていく感じがありました。
「サラエボ旅行案内—史上初の戦場都市ガイド」
NHKBSプレミアムで放送された「街は毎日が銃撃戦〜角田光代 ボスニア〜」で、彼女がサラエボを旅の目的地として選んだきっかけとして紹介したガイドです。古本は結構高値が付いていますが、市立図書館にあったのでそれを借りました。
旅行ガイドの体裁で、ボスニア戦争下でサラエボ市民がいかに生き抜いたかを紹介しています。
冷静さと乾いたユーモアで、却って悲惨さが浮かび上がる。
李龍徳「死にたくなったら電話して」
強い負のエネルギーを発している作品です。だからこそ、ページをめくる手が止まらなかった。
この小説に対して「不気味」だとか「救いがない」とか「毒々しい」とか、色々言葉は浮かびますが、でもそのどれもが違う気がします。
巷にあふれるポジティブでキラキラした言葉に対する反撃は、小気味いいくらいでした。圧倒的な負のエネルギーの前で、ありきたりのポジティブさが、いかに薄っぺらく感じるか。
著者がインタビューで
自分の経験に照らせば、死にたいようなつらい夜に、希望のある明るい話なんか読みたくない。暗い気持ちに寄り添うほうが届くはず
と語っていますが、これは本当にそう思う。
ネガティブはしんどいけど、ポジティブも同じくらいしんどいしね。
今年は色々な意味で濃い本たちに当たったと思います。
来年も、いい本に出会えるといいな。
共和国
売り上げランキング: 309,115
「工夫」を大切に〜できる人はなぜ、本屋で待ち合わせをするのか? この「ひと工夫」が一流の人生を作る。
※レビュープラスさんから献本いただきました
そういや書店で待ち合わせすることもなくなったなぁ、とこの本を手に取った時思いました。
そもそも待ち合わせをすることが減ったのが一番の原因ですが。
著者が挙げる、書店で待ち合わせするメリットは
約束の時刻までの間に、密度の濃い情報収集ができる
遅れた相手に「本を探してたからちょうどよかった」と伝えられる
本をきっかけに、初対面の相手とも、会話をスムーズに始められる
です。つまり「すきま時間に情報収集する」「相手を恐縮させない、自分がいらいらしない」「話のネタを作る」ための工夫の結果が「書店での待ち合わせ」なわけです。
例えビジネス無縁も、時間にルーズな友達を待つ時でも、多くの人がメリットを享受できる工夫だと思います。
この本に書かれているのは、様々な工夫です。
成功するためには努力やがんばりが必要、と考えられがちです。もちろんそれらにも意味はあるけど、実際に効果を上げるのは工夫なのではないでしょうか。
努力やがんばりは、自分の外に対するアピールに陥ってしまう可能性が高いけど、工夫はあくまで自分のためのもの。「じゃあ具体的にどうすればいいの?」を具体的に考え行動する。その積み重ねが成果に結びつくんだと思います。
著者もここまで来るために、当然相当な努力をしていると思います。でも、努力ではなく工夫に力点を置いていること、素直に考えて工夫し、実践したからこそ、相応の成果を手にできたのだと思います。
この本を読んで、成功に必要なのは「プライドの低さ」「素直さ」「工夫できる心」と知りました。
待ち合わせ場所を変えることで、また新しい世界が広がるかもしれません。
そのときにはぜひ、普段読んでいる本と真逆のジャンルの棚に行ってみてください。本の森は深いのです。
レビュープラスさん、ありがとうございます。
翔泳社
売り上げランキング: 150,879
[share] 死にたくなったら電話して
理由やきっかけはなんであれ、1度くらい「死にたい」と思ったことがある人は多いんじゃないかと思います。
そんな時「死にたくなったら電話して」というメッセージが届いたら…。電話した先にあるのは。
実際電話で救われることの方が圧倒的に多いだろうけど、戻れない場所に引きずり込まれてしまうこともあるのかも。メッセージを発した方に悪意があったら、そうなるでしょうね。
そんな風に、妙に心がざわつくタイトルです。発売されたら読んでみよう。
[share] その損の9割は避けられる: “後悔しない選択”ができる行動経済学
日常で「ちょっとした損」をしてしまうことは、よくあります。
人生に決定的影響が出る損はしたことがありませんが、これだって本質的には日常の損と大して違わないでしょう。
ただ損をするだけでなく、損を避けようとして、かえって大きく損をしてしまうことすらあります。
こういう時「損したくないと思う時点で、すでに損してる」という指摘は本当かもしれない、と思ってしまいます。
損を避けるために役立つのが行動経済学です。
この本で行動パターンや、選択する時にどう考えてしまうかを知ることで、悔しい思いをすることは減るはず。
損を完全になくすのは無理でしょうが、可能な限り減らしたいものです。
三笠書房
売り上げランキング: 3,995