わたしは見られている? 〜 一九八四年

様々な場所で言及される機会も多い、定番中の定番作品です。今回直接手に取ったきっかけは、中森明夫さんのツイートです。

救いのない、実に後味の悪い話でした。
特にウィンストンとジュリアの前に「思考警察」が姿を現し、のちに彼らが再会するまでの展開は、読んでいてなんとも言えない嫌な気分になりました。しかも小説に書かれた「ビッグ・ブラザーがあなたを見ている」という言葉に象徴される世界を「それは絵空事だろう」と笑って片付けられないのが困る。
ここに書かれたすべてがコントロールされた世界は、濃度と規模が薄まった状態で実際現実にもあるのではないか。支配 / 自覚なき被支配という関係は、自分が気がつかないところにもあるのかもしれない
人は知らぬ間に様々なことにコントロールされ、そして変わっていく。
歴史の改ざんだってそうでしょう。あからさまな歴史の書き換えはそう頻繁にないかもしれないけど、解釈の変更とかそのレベルならこれまでに何度もあっただろうし、もしかしたら現在進行中かもしれない。
人の思考を変えてしまうこと、歴史を変えてしまうこと。どちらもこれまで存在することは知っていたけど、自分からは遠いことだと思っていました。しかしこの本を読んで、実はそんな遠い場所の話ではないのでは、と感じたのです。

本編には救いがなかったけど、「附録」の18ページの文章とトマス=ピンチョンの解説を読んで、少し救いを感じることができました。
この本はすべてを支配された世界の悲惨さを、奇をてらわずに書いています。救いのなさや後味の悪さを感じたけど、読んでよかったと思っています。

 

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