珍獣との暮らしは難しい〜珍獣の医学

表紙は「水温計を飲み込んでしまったバジェットガエル」です

 

「メジャーな珍獣」うさぎの飼い主sazanamiです。
この本で言う「珍獣」は、いわゆる「エキゾチックペット=犬猫以外のペット」のことです。
両生類・は虫類からほ乳類まで十把一絡げなのです。乱暴な話ではあると思いますが。

著者の動物病院では診察対象のおよそ半分がエキゾチックだそうです。、割合としてはかなり高いと思います。犬猫しか診ない動物病院が大部分なのです。
最近は「猫と体重15kg以下の犬しか診ません」という動物病院もあるらしい。ある動物病院の開院告知の新聞折り込みチラシに書いてありました。
自分が横浜から三河に引っ越してきてまず最初にやったのが動物病院を探すことでした。問い合わせをして「うちは犬猫しか診ません」と何度も言われています。幸い診てくれる病院がみつかり、ずっとそこでお世話になっています。

この本には様々な動物の治療風景の写真が多数掲載されています。自分自身エキゾチックペットたるうさぎの飼い主ですが、他のエキゾチックペットについてはほとんど知りません。うさぎにしても、骨折したときの固定方法など、初めて見る処置もありました。
治療風景だけでなく、飼い主の生活風景や動物の関わり方も同じです。
例えば中型の猿の飼い主は、本気で猿を捕まえようとするときはバイク用のつなぎとフルフェイスヘルメットで挑むそうです。そこまで行かなくても扱うときは厚手の手袋必須、という動物もいる。
ゾウガメを飼うなら一部屋つぶす覚悟が必要とか、部屋で放し飼いされている、大きなリクガメの類は人間用のおむつをしていることもあるとか (部屋を汚されないようにするため。カメはトイレを覚えない)。
ちなみに「大怪獣空中決戦 ガメラ対ギャオス」の影響か、は虫類の血液は緑とか青だと信じている人がたまにいるそうです。彼も血は赤いです。

珍獣を飼うとは、なんと大変なことか。いや、飼うのが大変じゃない動物なんていないけれど。
著者は

珍獣飼育にトライ&エラーは許されない。

P96「命を『飼う』ということ」

と書いています。これ以外にも、安易に動物を飼うことに対して厳しい意見を書いています。当然のことでしょう。
珍獣だろうとなんだろうと人間の都合で飼い始めた以上、当然最後まで責任を持たなくてはなりません。

この本で一番考えさせられたのが、人間とかかわる動物の区分についてです。
人間と関わる動物には

  • 産業動物 (食用・競馬馬など)
  • 実験動物
  • ペット
  • 飼育される野生動物 (動物園・水族館で飼育される動物など)

があります。
さらにペットに関しては

  • 犬、猫
  • ペット用に生産されたエキゾチックペット
  • 野生から捕らえられたエキゾチックペット

に別れます。
獣医業界でも「ペット用に生産されたエキゾチックペット」「野生から捕らえられたエキゾチックペット」は混同されるそうです。

「エキゾチックペットの飼育」の是非をよく問われるが、それを問う場合、「エキゾチックを飼う、飼わない」ではなく、「真の野生動物を飼う、飼わない」という議論が必要だ。

(P94「獣医業界でも混同されるエキゾチックペットと野生動物」)

また、映画「ブタがいた教室」のもとになった話は

食べ物としての豚と、ペットとしての豚が混同され、区別がなされていない例だ。

(P91「すべての命は等しく重い…とは限らない」)

という指摘がなされています。

エキゾチックペットには人工的に繁殖されたものと野生から捕らえられたものがいることはもちろん知っていました。しかしどちらも「エキゾチックペット」とくくってしまい、区別をしていませんでした。

そしてもう一つが「馴れる」と「慣れる」の違い。飼い主に「馴れる」ことと、飼われている環境に「慣れる」ことの違い。

動物病院というそもそもニッチなビジネスで、さらにニッチなエキゾチックペットを多く診る著者。正直儲かる仕事だとは思えません。しかし助けを求めてきた動物と飼い主を救うべく、他の動物ならどう治療するかを考えて応用し、人間用の薬を試し、新しい器具を作るなどなど、様々な方法を試す。
著者やうちのうさぎの主治医、そして多くの獣医師のエクスプローラーとしての姿勢があるからこそ、うちのうさぎたちの健康も保たれるのです。本当に頭が下がります。

エキゾチックの飼い主はもちろん、犬猫を飼っている人、動物を飼っていない人にもお勧め。
「自然」とは何か、人間と自然はどう関わるべきか、ということを考えるためのきっかけなると思います。

 

珍獣の医学
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