哲学の深みにはまる第一歩〜再読・シュレディンガーの哲学する猫

文庫化された直後に図書館で借りて読んだ本です。抜き書きノートに書きたいことばがあり、購入したのを機会に読み直しました。

「いわば哲学入門の『ポータルサイト』みたいなもの(あとがき)」である本書。レイチェル=カーソンサン=テグジュペリような、哲学者ではない人も取り上げられています。小説と哲学(者)の解説とのサンドイッチ構造で、そんなに気負わずに読めます。哲学の高みに上がる (または深みにはまる)ための入口になる1冊です。この本だけでも哲学者とその思想について広く浅くはわかりますが、それで終わってしまうのはもったいない。著者が言うように、ここから哲学の深みにはまってみるのがいいと思います。

この本に取り上げられた哲学者のうち、実際に読んでみたのが大森荘蔵とファイヤアーベント、テグジュペリ(「夜間飛行」だけど)、そして今ヴィドゲンシュタインを読んでいます。しかしどの人も1冊しか読んでいない。ファイヤアーベントはこの本で存在を知り「知についての三つの対話 (マーケットプレイスで結構な値段がついてるのね)」を読みました。正直言って内容はよくわからなかったけど、面白そうな人だと思いました。なにより彼の写真がいいw

この本が単行本で出版されたのは1998年。哲学のブームは定期的にあって、最近もまたブームがきてますね。文庫化された3年前はどうだったろう。現在のブームは、ビジネス書ブームに代表される実利優先の反動できているのかな、と個人的には思っています。

似た傾向のブックガイドとしては「強く生きるための古典」がありますが、取り上げられている人は重複していません (日経ビジネスオンラインでの連載分には重複がある)。しばらく「強く生きるための古典」に取り上げられた本を読んで、さらにこの本に取り上げられたも読んで、で古典哲学の読みを進めていきたいと思っています。

シュレディンガーの哲学する猫 (中公文庫)
竹内 薫 竹内 さなみ
中央公論新社
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あとがき
抜き書きしたかった言葉は、

 残念ながら、日本の科学教育は、文化的な免疫力を持った強靱な知性をもった若者を育てることをしてこなかった。真の知性は、『源氏物語』を読み、『ユリシーズ』に苦しみ、ニーチェにおののき、アインシュタインを尊敬し、UFOや宇宙人の話を喜んで聞き、星占いに興じ、ラヴェルを聴き、カラオケでビートルズを歌うことから育つのであって、決して、子どもの頃から塾に通い、青春時代に濫読もせず、占いやオカルトなど非科学的なものを排撃し、科学の異端説を侮蔑し、現状での科学の定説だけを清く正しく頭に詰め込むところには育たないのである。
 テレビで口角泡を飛ばして、真っ赤になってオカルトを排撃している「科学者」をみて、あなたが知性というものを感じなかったとしたら、おそらく、あなたの直感は正しいのである。
(p197「偏りと闘うアナーキズム ファイヤアーベント」)

です。

「シュレディンガーと哲学する猫」を知ったそもそものきっかけは、スポーツジムにおいてあった「オレンジページ」の読書コーナーの記事でした。どういう紹介をされていたかは忘れましたが、たしかどこかの書店員のお勧めで、その人手書きのPOPとともに誌面に載っていた気がします。
紹介文を忘れてしまったのでなんとも言えませんが、「オレンジページ」と「哲学」が未だに頭の中で結びつきません。

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