「書評」って…〜ニッポンの書評

書評とは何か。冒頭にヴァージニア=ウルフが書評家を揶揄した言葉が引用されています。オビには「ガター&スタンプ屋ですが、それがなにか?」。もともとの連載のタイトルは「ガター&スタンプ屋ですが、なにか?」だったようです。

「ガター&スタンプ屋」については、このツイートを参照

豊﨑さんが書評のあり方・役割から各種書評読み比べ、自身の書評の書き方までを語ったこの本。豊﨑さんのバックステージを明らかにした本でもあり、書評の怖さ楽しさが様々に伝わってきます。
「まずい書評」を書いた書評家に厳しいのと同時に、「素人の書評ブロガー」に対しても厳しい。ブロガーやAmazonのレビュアーは「守られた」存在だから、名前を出し、返り血を浴びる覚悟で書評を書くプロレビュアーの評価が厳しくなるのは当然でしょう。
この本にはある小説に対するAmazonレビューの1つが、豊﨑さんの責任のもとに引用されています。それは自分が未読の本に対して書かれているので内容の善し悪しは言うべきではないけれど、正直その人にとってつまらない本だったとしても、この書き方はどうなんだろう、というものではあります。
わたし自身はAmazonレビューはほとんど読みません。それは豊﨑さんが「浅薄なだけの悪意だだ漏れの感想文は誰の心にも届かない」と指摘するように、悪意を感じるレビューに当たる確率が高い (ような気がする) からかもしれない。

外国の書評や日本における書評の歴史も語られています。大澤聡さんとの対談「ガラパゴス的ニッポンの書評—-その来歴と行方」が巻末にあるのですが、これが非常に面白かったです。書評の歴史、「書評」という言葉の来歴、文章修行のための書評活用術、などなど。

 

自分も「素人の書評ブロガー」です。この「書肆小波」を始めて約1年半。その前にも書評らしきものは書いておりました。
しかし書くうち気づきました。自分には本を評するだけの蓄積も読む力も書く力もない。自分が書いているものは戯れ言でしかない。これはやればやるほど強く感じるようになります。
読む力・書く力をつけていくためにはたくさん読んで書くしかないのでしょうが。

 

…どんな本を選び、どのように紹介し、どうやって褒め、批判するか、そのすべてに書き手の教養や魂のありようがあらわになるのが書評だからです。”わたし” が何を正しいと思い、どういう行為や考えを下品だと思っているかが全部出る。まぁ、書評に限らず、ものを書く、ものを表現するということは、みんなそうなんでしょうが、他人様の創造物をネタにおまんまを食べるレビュアーという仕事には、とくにその矜持が大事だと思う次第です。
(p227「ガラパゴス的ニッポンの書評—-その来歴と行方」ゲリラ書評の倫理)

 

書評とは、じつに恐ろしい行為だと思います。
この本に書かれているのは、現在の豊﨑さんの書評観です。今後これが変わってくる可能性は当然あるでしょう。
それはともかく、自分はここに書かれた書評のあり方・豊﨑さんの書評への向かい方には納得するし、自分もそういう書評を書けたらと思います。「書肆」が看板倒れとならないように。道は果てしなく遠いですが。

本書で取り上げられている丸谷才一の「ロンドンで本を読む 最高の書評による読書案内」は読んでみたいです。

 

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