《書評》薄くて鋭利な刃物を連想した〜志賀直哉 [ちくま日本文学021]

志賀直哉は、高校の教科書に出ていた「網走まで」しか読んだことがありませんでした。

ちくま日本文学はアンソロジーなので短編のみの構成です。これらを読んでみて、志賀直哉は怖い人だと思った。特にそれを感じたのが「剃刀」。客を殺してしまった床屋の話なのだけど、冒頭から殺人が起きるまでの主人公の描写も、淡々としているのに心理などが明確にわかり、特に殺人場面はごく短い文2つだけで描写されているのだけど、それを読んで背筋が寒くなった。「城の崎にて」にしても、主人公が投げた石によって起こった出来事が本当に簡潔に書かれていて、わたしはとても怖いと思った。

本の最後に「リズム」という作品がある。一種の芸術論なのだけど、

 芸術上で内容とか形式とかいう事がよく論ぜられるが…自分はリズムだと思う。…
 このリズムが弱いものは幾ら「うまく」出来ていても、幾ら偉そうな内容を持ったものでも、本当のものでないから下らない。小説など読後の感じではっきり分る。作者の仕事をしているときの精神のリズムの強弱—-問題はそれだけだ。

とある。
自分は芸術家でもなんでもないけれど、「精神のリズム」というのはいろいろな場面に応用できそうに思った。生活しながらでも、リズムを意識してみるといいかもしれない。

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