2013年「読んでよかった」と思った本 #10book2013
のんびり本を読んだ1年が終わります。今年読んで「よかったな」と思った本をご紹介します。
小山田浩子「工場」
仕事と会社とそこにいる人々の不条理をうまく描いていて面白い。奇妙なリアリティがあって、読んでいて感じる落ち着きのなさがいい感じでした。
この本は小山田さんの初めての単行本ですが、次の本も読んでみたい。
ラジスラフ=フクス「火葬人」
チェコスロヴァキアの作家による、グロテスクで怖い小説。一見穏やかなようで、知らないうちに恐怖がひたひたと迫ってくる。
平穏な生活を送る穏健な主人公が、いつの間にか恐ろしいことをしでかしてしまう。
「人間って、簡単に変わってしまうんだ」「人間って怖い」と思い知らされる小説です。
ちなみにこの小説は、チェコスロヴァキアで映画化されています。表紙写真はその一場面です。
映画化されたものの、直後に「プラハの春」等が起きてお蔵入りされてしまい、89年にやっと公開された、という曰く付きです。
ハウス加賀谷・松本キック「統合失調症がやってきた」
統合失調症の苦しみを書いて、重いながらも「読んでよかった」と思えた本。
統合失調症に限らず、しんどい思いをしている人に、読んでもらいたい本です。
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イースト・プレス
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津村記久子・深澤真紀「ダメをみがく: “女子”の呪いを解く方法」
ある程度の年齢になった自分がこの先どう生きていけばよいか、のヒントになった本。
自分をできるだけすり減らさないようにするためにも、「ありもので生きる」姿勢は忘れないように、そして「呪い」から少しでも解放されるようにしたい。
タイトルに「女子」とありますが、男女そして年齢問わずに読んでもらいたい本。「生き方」に悩む人に勧めたいです。
紀伊國屋書店
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高野秀行「謎の独立国家ソマリランド」
ソマリアという、縁遠い国の中にある「独立国家」ソマリランド。
「ソマリア=海賊」という考えがいかに単純かわかりました。もちろん海賊の話も出てきますが、自分の想像を超えていました。
文字通り未知の世界が目の前に展開し、その驚きに読むのがやめられません。
「国ってなんだ」と考えさられました。
パコ=ロカ「皺」
昨年末テレビでアニメを見、今年に入ってから原作漫画を読んで、アニメは映画館にも見に行きました。
これはぜひ両方を見てほしい。ラストが違うから、というのもありますが、漫画ならではの表現、アニメならではの表現を楽しめるからです。どちらもとてもいい。
本には「皺」と「灯台」の2編が収録されています。かなり雰囲気が違いますが、どちらもいい作品です。
小学館集英社プロダクション
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来年も、楽しい本に出会えるといいな。
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