こんな風に読めたら、こんな風に表現できたら〜心と響き合う読書案内
この本は日経ビジネスオンラインの千野帽子さんのコラム (2ページ目以降は会員のみ購読可。この本は2ページ目に載っています) で存在を知ったのですが、これをすでに読んでいた@shinomeiさんが貸してくれました。ありがとうございます。
小川さんの作品はあまり読んでいません。でもこの本が「Panasonic Melodious Library」で放送された内容をまとめたものであること (ラジオでこういう文学を紹介する番組があることは知らなかった)、ポピュラーな作品を正面から読み、紹介している点に惹かれました。
実際に読んでみると、小川さん自身が楽しみながら本を読んでいることがストレートに伝わってきます。「本を読む喜び」が素直に表現されていると感じました。こうやって正面から本を読み、正面から本の内容を感じることはとても楽しかっただろうな、自分もこんな風に本を読み、こんな風に読んだ喜びを表現できたら、と思いました。
小川さん自身はまえがきで
今回、本にするため改めて原稿を読み返し、自分がいかに番組で好き勝手を喋っているかがわかり、恥ずかしい思いでした。
(p4「まえがき」から)
と書いていますが、正面から本に向き合い、感じたことを正面から表現することは意外と難しいと思うのです。
本の紹介の最初に、小川さんが所有する本の写真が載っています。付箋が貼り付けてあるまま写真に撮られています。そしていくつかの付箋には、何事か書き込みがしてあります。しかし書き込みは全く読めません。個人的には、小川さんがその本のどこに付箋を貼り、それに何を書いたのかがとても気になる。
付箋を貼ったりそこに書き込んだことは最終的にこの本にまとめられているのでしょうし、実際に付箋の書き込みを見ることが不可能ですが、まとめられてしまう前の、いわば素の感想にものすごい興味が湧きました。
小川さんはよい書き手であると同時に「よい読者」なのではないかと思いました。自分も本を読んで、ここに何事か書き散らしているわけですが、こんな風に本を読み、こんな風に表現できるようになりたい。
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