いつ訪れるかわからない悲しみにどう向かうか〜ものすごくうるさくて、ありえないほど近い

この本を知った直接のきっかけは読売新聞の書評にでていたこと。内容もさることながら、タイトルと表紙の絵?が強く印象に残りました。「手」と「書き文字」から、ベン=シャーンを連想してしまいました。だいぶ雰囲気は違うのですが。

主人公の少年オスカーが9.11同時多発テロで父親を亡くしていることもあってか、東日本大震災にからめて語られる (この書評もそうですし訳者あとがきにも言及がありました) のですが、できるだけそういうことは意識しないで読むようにしました。登場人物達が様々な形で悲しみ、その悲しみが癒える過程にただ寄り添う感じ。
フィクションとはいえ悲しみに向き合うことはしんどいことであり、ボリュームもあるし読みやすい本とは言えません。しかしなんとも表現しようのない心の揺れが残る小説でした。
その揺れがどこから来ているかというと、登場人物達が発する言葉です。生きること、考えること、そういう根源的な活動に対する問いが複数の人物からいくつも発せられます。そしてふるえ、泣いたり惑いながら、最後に悲しみが癒えていく。その生々しさに揺さぶられたのだと思う。

物語の最後に9.11同時多発テロ後に何度もテレビや新聞に映し出された「世界貿易センタービルから落ちる人」の連続写真が出てきます。その直前で、主人公のオスカーがもともと持っていた連続写真を並べ替えるシーンがあり、並べ替えられたあとの連続写真が載っているのです。その連続写真を見て、わたしは言いようのない衝撃を受けました。「あり得ない」順序に並べられた連続写真を見て、なぜ自分はそんなに衝撃を受けたのか。

自分が普段読むスピードだと、通勤時間に読んでへたすると2週間で終わらないボリュームですが、時間をかけて少しずつ読むより一気に読む方が向いている小説だと感じました。年末年始休みに時間を取って読んでそう感じました。もし1ヶ月早く読んでいたら間違いなく「2011年の10冊」に入れていたと思いますが、結果的に読むタイミングがすごくよかったかも。

訳者あとがきで知ったのですが、映画の公開が近いのですね。見てみたくなりました。普段はそんなこと思わないのですが。
愛知ではミッドランドスクエアシネマで上映のようです。

ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
ジョナサン・サフラン・フォア
NHK出版
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