2013年に印象に残った言葉
今年であった言葉で、特に印象的だったものをご紹介します。
「大事なものはぜんぶ目に見えないと思ってるの。目に見えないことが一番大事なことだと思ってる」
「目に見えるものは全くわたしにとって大事じゃないんだよね」
「ドキュメンタリー映画 100万回生きたねこ」
ドキュメンタリー映画「100万回生きたねこ」での、佐野洋子さんの言葉です。
これらの言葉の直後に
鮭を焼いて食べても「おいしい」ってのは目に見えないじゃない
という趣旨の発言があって、これがものすごく印象に残りました。
確かに食べもの自体は目に見えるもので、見た目も非常に大切なのだけど、一番重要な「おいしさ」は目に見えないんですよね。
見えているのは、あくまで「おいしそうな外見」でしかないのです。
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どちらが良いということではない。ただ違うということだけだ。
小山田浩子「いこぼれのむし」
今年よかった本で取り上げた、「工場」収録の短編小説「いこぼれのむし」の一節です。
体調不良で会社を辞めた主人公が、それまで行くことのなかった時間帯にスーパーマーケットに行くようになり、時間帯によって客層や売られているものの違いを実感する場面の言葉です。
自分の考えの及ばないものに出会った時、つい良し悪しとか「理解できる / できない」などを判断してしまいます。
こんな風に「ただ違う」と考えるのは結構難しいと思うけれど、でもまずはそのままを受け止めることが一番大事なのかもしれません。
(前略)
…あらためて生きて、生きつづけることというのはべらぼうにハードなことだと思い知るのだった。
(略)
…そう、人生の半分以上をとにかく生きてきた我々は、ゆうても日常を送るプロ、あるいはセミプロなんだという自信を持ち、何も起きていない日常はプロとしてのベストを尽くしきっている状態であるのだと、そんな風に思えばいいのかも。無事は偶然ではなく、プロとしての技術を駆使して有事を回避できているのだと、そしてこの状態を明日もつづけてゆけばいいのだと、そんなふうに励ます方向でどうだろう。でもこれで有事になったらプロ失格、ほんとの意味での人間失格、立ち直れそうにないよねえ。川上未映子「オモロマンティック・ボム! 連載172 日常を送るプロとして」週刊新潮2013年2月21日号
「日常を送るプロ」という言葉がガツンときました。確かに何かのプロである以前に、みんなまず日常を送るプロなんですね。
最後の一文はともかくとして、「日常を送るプロ」であり続けること、プロであることを自覚するのが大切かもしれません。人生のあらゆる出来事は日常の上に起こるのだから。
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