めまいがするような世界〜さかしま
岡敦さんのコラム「生きるための古典 〜No classics, No life!」に紹介されていてた本です。
ここで見なかったら、おそらく手に取ることはなかったでしょう。
コラムの冒頭に
『さかしま』は、ジョリス・カルル・ユイスマンスが1884年に出版した、「デカダンスのバイブル」とも呼ばれる奇妙な小説だ。好きな人は猛烈に好きで、一番の愛読書に挙げる。しかし、嫌いな人はその記述にうんざりして、ページをめくる指も止まりがちだと言う。
とあります。
確かにかなり好き嫌いは分かれそうです。自分は結構楽しみながら読んでいましたが、半分の過ぎたあたりから辛くなってきました。「記述にうんざりし」た面も確かにありますが、それ以上に主人公デ・ゼッサントが病んでいく過程を読んでいるのが辛くなったのです。そんな状態だったので、読了したときには結構な達成感を感じましたw
かなりの量の注釈がついていて、そこにあるものほぼ全部が知らない人 (もの) でした。それは単に自分が不勉強だからですが、これだけ自分が好むものを集め、自分が求めるそのままを調度や本で再現し、自分の理想の城を造っても、それでも最後はそこを出ざるを得なくなるのか。
その城はめまいがしそうなくらい美しくこだわった世界だけど、結局そこを出ざるを得なくなるのは、「そこ」が自分が本当に望んでいる場所ではないからなのか、望んでいるかどうかにかかわらず、結局そこが自分に合った場所ではないからなのか。
読みが足りなくて、そこを自分で見出すまでには至りませんでした。
後半読むのが辛く感じるところはありましたが、もう読むのをやめようとは思わなかったし、つらいながら、わからないながらに豪華な世界に浸ることができました。
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