おかしみあふれる未知の世界をのぞく〜不浄の血
タイトルと装丁から恐ろしい話が展開されるのかと思いましたが、全然違いました。
東欧のユダヤ人集落を中心にした、全体的におかしみあふれる物語集でした。
著者は1978年にノーベル文学賞を受賞しています。
ユダヤ教は自分にとって非常に「遠い」宗教です。知識はまったくと言っていいほどありません。
そのせいで状況を想像しにくい場面もあったのですが、全体としては楽しく読めました。
舞台が小さな町が多いせいか、閉じた世界で時代の流れに取り残されたような感じもしたり。
人々の生活だけでなく、悪魔が語る話もあったり。
わたしはこの本で初めてイディッシュ語の存在を知りました。もちろん直接イディッシュ語を読んだ訳ではありません。でも未知の言葉で書かれた小説によって、新しい世界に少しだけ触れることができたと思います。
その世界は未知の宗教や文化のある世界で、確かにわかりにくい部分は多いのですが、でも人の生活や悩みの本質はどこに行ってもそう変わらないこともわかります。
読む前は「怖すぎて途中で読めなくなったらどうしよう」みたいなことも考えましたが、そんなことは全くなく、楽しい小説集でした。
不浄の血 —アイザック・バシェヴィス・シンガー傑作選
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アイザック・バシェヴィス・シンガー
河出書房新社
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タグ : 文学
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