NHK「ドキュメント72時間 巨大書店・活字の森の歩き方」を見た

中部地方では12月27日に放送された「ドキュメント72時間 巨大書店 活字の森の歩き方」を見ました。

ドキュメント72時間「巨大書店・活字の森の歩き方」 – NHK

舞台は紀伊國屋書店新宿本店。日本で一番新刊が多い (1日約200点が入る) と思われる書店です。蔵書は約120万点だとか。

書店にはいろいろな人がやってきます。3日間を通して様々な人に何を探しているのか、その人のバックグラウンドについて聞いていきます。
ナレーションに

自分を変えてくれる“1冊”はどこにあるのか

とありました。探している物は様々ですが、これが書店を訪れる究極の目的かもしれません。

 

特に印象に残った人と言葉をご紹介します。

開店前にやってきた、高校生の頃から通っている、本屋さんが大好きな57歳男性。「本屋さんに入ったときの匂いとか、開店した手の本屋さんの人の少なさとか、そういうのが好き」だそうです。
開店したての本屋さんに入ることは

私の中では例えば 映画館に座って 辺りが暗くなって さぁ映画が始まるっていう時のワクワク感に似ていますかね

と話します。
「ああ、確かに」と思いました。映画館で周囲が暗くなるときと、書店に入るときの感じはとても似ている。

 

「探しているのは沢山あるんだけどね」という元銀行員の79歳男性。この人の趣味は読書ではなく「買書 (ばいしょ)」。

読むかもしれない 読まないかもしれない 読まない本を買う 買わない本を眺める それが趣味ですね

「趣味は買書です」なんて言ってみたい。

 

そして一番驚いたのが、1年前からミステリーにはまっている、東野圭吾が好きな小学4年・10歳の少年。すでに初の推理小説も執筆済とか。
10歳にして本を見て歩く姿に「本と書店に一家言ある大人」の風格が感じられます。
親子で訪れていたのですが、母親が「気がついたら (自分と) 同じものを読んでいた」「ちょっと前まで 一緒に絵本読んでたのに…」と言っていました。
すごく将来が楽しみです。このまま彼が推理小説への興味を失わなければ。

 

ウィトゲンシュタイン入門」を購入した、哲学を学ぶ女子大学生は

なんでもいいんですけど1冊 自分の1冊っていうのがあったら 自分にとって芯になる

大切な本っていうのは ひとつ持っていた方が 私にとっては強みになると思って

と言っています。

 

番組最後に、紀伊國屋書店の女性店員が「無人島に持って行きたい1冊」としてポール=ヴァレリー「ムッシュー・テスト」を紹介しました。
その本は今、こういう状態になっているそうです。

 

そして2014年の日めくりカレンダーを買った、85歳無職男性の言葉。

さびしい通り越して もう生きているの嫌だけどさ しょうがないじゃん 死ぬわけにいかねぇし 生きてるんだから 毎日はな

投げやりにも聞こえる言葉ですが、不思議と励まされる感じがしました。

 

なぜ書店に来たのか、なぜ本を探しているのか、なぜそれを選んだのか。
これらを人に聞く機会はなかなかありません。本とそれを手に取る人の後ろに広がる世界を感じられて、面白かったです。

 

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