投稿者: sazanami

[share] かないくん

「詩人、谷川俊太郎が、一夜で綴り、漫画家、松本大洋が、二年かけて描いた絵本。」です。
一夜と二年。インスピレーションで生まれる言葉と一筆ずつ描かれる絵。

ストーリーもそうですが、絵をじっくり楽しみたいです。松本大洋の原画の再現のために、日本初と言われる特殊な印刷が用いられているそうです。
平面的な印刷では原画の再現はかなり難しいことですが、一体どんな風になっているのか。もし可能なら、原画とこの本を見比べてみたい。

松本大洋のまんがで死をテーマにしたものだと「何も始まらなかった一日の終わりに{ハルオの巻}」がいいです。

 

かないくん
かないくん

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谷川俊太郎
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日本の兄弟 新装版
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[share] 生者と死者—酩探偵ヨギガンジーの透視術

非常に変わった構造の本です。
袋とじの状態で売られています。その状態で読むと短編小説、袋とじをすべて開くと、今度は長編小説になります。短編小説が長編小説に取り込まれて、それでちゃんとひとつのストーリーとして成り立ちます。
まず思ったのが「なんでそんなものが書けるの」。ただ短編・長編小説を書くのではなく、短編が長編に溶け込んで、なおかつ破綻せずに存在するなんて。
これはもう、読んで驚くしかないのでしょう。一度やってしまうと、短編を読み返すのは難しそうですが。

 

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[share] クロワッサン特別編集 なんだかんだの病気自慢

雑誌クロワッサンに「なんだかんだの病気自慢」という連載コラムがありました。数年間にわたり、毎回様々な人が自身が抱える病気について書いたものです。
クロワッサンを定期購読しているわけではないので、わたしは連載のごく一部しか読んでいません。でもこの雑誌を手に取ったときに、最初に読むのがこれでした。

病気自慢は一歩間違えると、ただうっとうしいだけで終わってしまいます。しかしこの連載は書き手たちの力もあって、どことなくユーモラスだったり、しみじみした話が多いのです。

生きていれば、病気と無縁ではいられません。時には理不尽に近い、重い病気になることもあるでしょう。それでもなんとか折り合いをつけて行くしかありません。
病にどう向き合っていくか、雑誌連載をまとめたこの本をきっかけに考えられたらいいなと思います。

 

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[share] 一〇〇年目の書体づくり—「秀英体 平成の大改刻」の記録

かなり昔の話ですが、印刷の専門家にこんな話を聞いたことがあります。
ある時、某所から「日本で一番使われているフォントは何か」と問い合わせがきたそうです。返答にに困ったらしいですが、結局「読売新聞のフォント」と答えたようです。

確かに「日本で一番使われている」だと漠然としすぎていますね。用途や分野でも変わってくるでしょうし。
この話を聞いたのはネットが普及するずっと前のことです。もし今印刷媒体だけでなく、ネット媒体まで含めて同じ問いを考えるとと、どういう答えになるんでしょうね。

この本に取り上げられている秀英体は、かなり使われているフォントだと思います。作られて100年も経っていたんですね。

 

秀英明朝 | フォント製品 | 株式会社モリサワ

 

秀英角ゴシック金 | フォント製品 | 株式会社モリサワ

 

秀英角ゴシック銀 | フォント製品 | 株式会社モリサワ

 

秀英丸ゴシック | フォント製品 | 株式会社モリサワ

 

秀英体は、2005年からなんと7年の歳月をかけて改刻されました。この本には書体開発に関わる話が、企画・作り手・使い手それぞれのインタビューでまとめられています。
普段の生活に欠かせないフォントがどう作られているのか、興味があります。

 

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[share] 人間と動物の病気を一緒にみる : 医療を変える汎動物学の発想

昨年10月に、飼っていたうさぎの月光が死にました。11歳2ヶ月でした。最後の数ヶ月はほぼ寝たきりでしたが、よく生きたと思います。
わたしはうさぎを2匹飼っていました。月光と、3年前に死んだ はな です。
彼らのために、何度も動物病院に通いました。その間に思ったことは「人間も動物も、治療方法自体はあまり変わらないのかも」。
うさぎに処方された薬に、明らかに人間用のものがいくつかありました。骨折すれば固定してくっつけ、脱水症状があれば点滴する。
もちろん人間固有、その他動物ならではの病気はありますが、人間も動物である以上、基本は同じなのかもしれません。

「汎動物学」という言葉は初めて聞きました。しかし動物病院で感じたことから「確かにその考え方は有効かも」と思いました。
動物用の薬が人間に使えるとは思いませんが、動物の病気治療の成果から、人間の治療のためのヒントが得られる可能性は大いにあると思います。
人間と動物の病気治療最前線で何が起きているのか、気になります。

 

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[share] 冬の本

昨日は大寒。12月も冷えた日が多かったけど、やはりこの時期はぐっと寒くなりますね。
日本海側から太平洋側に引っ越してきて20年以上たちますが、太平洋側の冬は明るくていいですね。風が強くてかなり乾燥するけど。

さて、冬には冬の楽しみがあります。読書もその一つ。年末年始に家にこもって読書に明け暮れる、というのはこの季節ならではです。そして冬に似合う本、冬になると読みたくなる本もあるでしょう。

この本は、冬と1冊の本にまつわる話を集めています。書き手は84人。それぞれの冬の読書のエピソードは、どれだけ楽しいものでしょうか。冬がちょっと暖かく感じられそうですね。

 

冬の本
冬の本

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天野祐吉 佐伯一麦 柴田元幸 山田太一 武田花 友部正人 町田康 安西水丸 穂村弘 堀込高樹 ホンマタカシ 万城目学 又吉直樹 いがらしみきお 池内 紀 伊藤比呂美 角田光代 片岡義男 北村薫 久住昌之
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[share] 雑誌の人格

不思議なことに、雑誌そのものも面白いのだけど、雑誌レビューも負けず劣らず面白い。
それぞれの雑誌が持つ特色やスタンスは、当然作り手が意識して形にしたものです。雑誌は書籍や辞典とは違った「ごちゃ混ぜの魅力」を持っています。雑誌レビューはそのごちゃ混ぜをツッコミ等で引っかき回すから、さらに面白くなるのかも。

この本は、著者が面白いと思った雑誌をピックアップし、独自の視点で紹介しています。
雑誌ごとに人格が与えられているようです。あの雑誌やこの雑誌は、一体どんな人物として分析されているのか。興味をそそられます。

 

雑誌の人格
雑誌の人格

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[share] 考証要集 秘伝! NHK時代考証資料

何気なく見る時代劇。その時代の人々の生活が形になって現れています。このときに欠かせないのが時代考証です。
はっきり記録に残っていないかもしれないものを調べ、「○○は****のようにしていた」と決めていくのは、なによりの大仕事かもしれません。
フィクションとはいえ、そのときの実情からあまりにかけ離れてしまっては、時代劇の意味がなくなってしまいますね。
素人目に大変そうだなと思うのが「タイムスクープハンター」。基本的リサーチにすごく時間がかかっている感じがします。

この本は、時代考証を手がける人が書いた裏話です。時代劇には欠かせない、でも注目されることの少ない分野の人々がどんな風に奮闘しているのか。あまり時代劇は見ませんが、この本はすごく面白そうだと思います。

 

考証要集 秘伝! NHK時代考証資料 (文春文庫)
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[share] 裁判員のあたまの中—14人のはじめて物語

裁判員裁判が始まって、しばらく経ちます。わたしが知る限りでは、周囲で裁判員を経験したり名簿に記載された人はいません。わたし自身もそうです。勤め先に裁判員休暇制度がありますが、実際利用した人がいるかは不明です。
裁判員が法廷で何を考えどう判断したかは、時々しかも断片的にしか伝わってきません。謎が深く、それゆえに「選ばれたらどうなるんだろう、どうしよう」と感じてしまうのでしょう。

この本は裁判員経験者14人へのインタビュー集です。さすがに個々の裁判の詳細は書かれていないと思いますが、様々な立場の裁判員が何を考えて参加し、その後どう思ったか。
まずノンフィクションとして面白そう。そして自分が裁判員を経験することになるのかはわからないけど、そのときに、支えになってくれそうな本だなと思いました。

 

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[share] 即答するバカ

実に明快なタイトルです。日々生活していて、その場で返答しなければならないこともありますが、それが一刀両断されてしまいました。
しかしその場で返答するにしても、単に反射神経でことばを発していてはしようがないのも確かです。

これは口に出す前の少しの工夫について論じた本ですが、わたしは少し違う面で興味を持ちました。
この本に書かれている「うまく返答するための工夫」が、自分の苦手に効きそうな感じがしたのです。
というのは、わたしは即答がほとんどできないからです。気軽に即答して問題ない軽い会話でも、考えないと答えられないことがあるのです。で、考えたことで相手を慌てさせてしまうこともありました。

なんにしても、受け答えを上手にやる方法を身につけたいものです。

 

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