カテゴリー: 本の話
[share] 最相葉月 仕事の手帳
実は最相葉月さんの著書を読んだことがありません。「絶対音感」や「星新一」など、印象的なテーマを扱う緻密なノンフィクション作家だという印象があります。
そういうみっちりしたノンフィクションを書く人には、書くにしても調べるにして、特別なスキルがあるように感じます。「才能がある人だから、それだけの本を書けるんじゃないの」と。
確かにそうかもしれません。でも基本部分は特別なものではないはず。
この本は、彼女がライターとしての心得や仕事論をまとめたものです。
ライターと一般的な仕事では、重なる部分が少ないかもしれません。でも、いかに準備して仕事に取りかかるか、という点はどんな仕事にも共通しているでしょう。
まえがきに
追いつめられたり解放されたり、しがみついたり投げ出したり。どんな仕事でも同じだろうが、自分を苦しめるのも救ってくれるのも結局は仕事なのだ
とあります。確かにその通り。
彼女がいかに仕事に向き合い、書いているか。気になります。
[share] トムは真夜中の庭で
だいぶ前に「岩波少年文庫 特装版 全30冊セット」なるものを購入しました。
わたしはかつて本を読まない子供だったので、児童文学の定番はほとんど読んでいません。それでせっかく見つけたから買って読んでみるか、と思ったのです。
結局全部読み切れず、オークションで全冊売却してしまいましたが。
そのことは長らく忘れていましたが、日経新聞の記事を読んで思い出しました。「トムは真夜中の庭で」は、読んでない本に入っていたのです。
本来は小学生くらいが対象読者だし、そのくらいの時期に読むのが一番いいと思います。純粋に楽しんで、それだけ強烈に印象に残るだろうから。
でもこうしてまた巡り会ったので、今度はちゃんと手に取ってみようと思います。
岩波書店
売り上げランキング: 8,377
[share] トップ記事は、月に人類発見!—十九世紀、アメリカ新聞戦争
アメリカには、非常に多くの新聞が存在するそうです。19世紀の新聞黎明期には、記事の争奪戦でものすごいことになっていたとか。
記事を書くのは記者のはずですが、興行師や小説家なども入り乱れていたようです。その結果、この本のタイトルにあるような記事も掲載されていたらしいです。タイトルだけ見たら、東スポみたい。
人の求めるものって、昔も今も大して変わらないと言うことなのでしょう。
もちろん新聞には、事実をきちんと書いてほしい。しかしその一方で「だまされる楽しみ」というのもあると思うのです。
かつての新聞は、一体どうやって人を引きつけ、驚かせていたのか。気になります。
柏書房
売り上げランキング: 42,918
[share] ペナンブラ氏の24時間書店
24時間やっていて、存在しないはずの本が置いてある書店。これほど魅力的な場所はちょっと思いつきません。どんなにしんどい時でも、そこに行けば気持ちがなごみそう。
さらにそこを舞台にした「贈る冒険と友情、その他もろもろ盛りだくさんの物語」だなんて、これを読まずにいられるか、という気持ちになります。
かつて住んでいた街に終電くらいまでやっている書店がありました。小さくありふれた店ではあったのですが、遅くなった時に寄り道して、ぼんやり棚を眺めてから帰宅することがよくありました。
24時間営業というとコンビニが大部分でしょうが、自分の生活圏内に1件でいいから書店があると嬉しいな、と思ったりします。
[share] 銀座Hanako物語——バブルを駆けた雑誌の2000日
Hanakoを買ったことは、多分1度しかありません。学生時代に一人暮らし特集のようなものがあって、その号だけだと思います。
そのときの自分も、そしてこの雑誌が想定する「首都圏在住の27歳女性」という読者像にドンピシャの時も、Hanako的なものとは全く無縁な生活を送っていたこともあり、ついぞ読む機会がありませんでした。
自分にとってはそんな存在でしたが、Hanakoが創刊されたときの衝撃はかなりのものだったことは覚えています。本当に、それまでにない雑誌が出てきたんだと思います。
そんな衝撃を送り出した側は何を考え、雑誌をどう作り上げていったのか。とても気になります。
紀伊國屋書店
売り上げランキング: 13,176
[share] 水の歴史
日本に住んでいると、普段水の存在を意識することはありません。
水は生きるために絶対必要なものですが、それと同時に非常に怖いものでもあります。ひとたび水害が起きれば、すべてのものが飲み込まれてしまうし、涸れればあらゆる生き物が危険にさらされる。今後は水の確保が大きな課題となる、という意見もあります。
「あって当たり前」という感じの水ですが、これまで人間とどう関わってきたか、今後その関わりがどうなっていくのか、この本をきっかけとして考えてみるのもいいかもしれません。
創元社
売り上げランキング: 65,152
[share] 違和感から始まる社会学 日常性のフィールドワークへの招待
日常の中で、何かに違和感を覚えることは珍しいことではありません。しかしそれを感じても、流してしまって終わることが大部分のように感じます。「違和感を感じる方がおかしいのでは」と思ってしまうこともあるかもしれません。
でも本当は「ん?」と感じたら、その先の思索につなげていかないと、いつまで経っても自分が広がらないままかもしれません。この本にあるように、違和感に向き合うことで、自分がとらわれているものがわかり、社会との関わりが変わってくるかもしれません。
この本は、自分と向き合い、自分以外のものとの関わりを考え直すきっかけになりそうです。
光文社 (2014-04-17)
売り上げランキング: 3,683
[share] ひとを“嫌う”ということ
「嫌う」という言葉からは、一種の負のエネルギーを感じます。
誰だって人からは嫌われたくないでしょうし、人を嫌うことも避けたいでしょう。
でもその一方で、おそらく人生で一度も嫌われた / 嫌いになった経験がない人は、いないと思います。
いい印象がないのに逃れられない、厄介な感情です。
わたし自身、この感情に少し距離を置けるようになったのは、つい最近です。自分が誰かに向けてしまうことも、誰かからこちらに向かってしまうことも、ある程度は仕方がないことなのでしょう。それでも心は乱れてしまいますが。
この本を読むことで、「嫌い」ということと上手に距離をとれるようになれるといいな、と思います。
[share] 甘いお菓子は食べません
タイトルが非常に引っかかります。
40代になって、改めて「生きるとは難儀なことだ」と思います。もちろん年齢や性別問わず、誰にとっても生きることは難儀です。みんながそれぞれ困難を抱えて、1日1日を生きています。
そんな毎日を過ごしながら、破れかぶれにならないと見えてこないもの、自分を覆っているウロコのようなものを剥がしていかないと手に入れられないものがあるのかもしれない、と思います。だた、自分にブレーキをかけてしまって、そこまで踏み切れないことも多いのですが。
生きていく上では「甘いお菓子は食べません」という、一種のりりしさが必要なんだと思います。
この本は、今の自分に向き合うきっかけになりそうです。
[share] 国マニア 世界の珍国、奇妙な地域へ!
高校の地理の授業で使った地図帳が、枕元においてあります。ソビエト連邦とか東西ドイツが載っているような代物ですが、眺めていると楽しいのです。
地図を眺めていると、小さな国がたくさんあることに気づきます。こんな小さな島が独立して、どうやって国として成り立つのだろう、と思うばかりです。
独立国ではないけどトリスタンダクーニャなどは、世界一孤絶した有人島で、それでも島民が自活しているというのがすごい。
こういう国は、現在はもっと多いのかもしれません。
一体どんな国々が存在して、国民はどんな風に生活しているのか。地図を眺めただけではわからない現実があるはずです。
この本で一体どんな国に出会えるか、気になります。
筑摩書房
売り上げランキング: 26,681