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《気になる》松本清張傑作選
数年前、これからは今まで読んだことのないジャンルの本を読むようにしようと思い立ちました。
これに当てはまるのが古典・海外文学・SF・ミステリです。
古典とSFは少しずつ手をつけ、最近は海外文学中心に読んでいますが、ほとんど手つかずになっているのがミステリです。
やはり読むなら海外ならクリスティー、日本なら松本清張あたりからか、などと考えていたのですが、どちらも作品が膨大でどこから手をつけてよいやら。
そんなことを考えているとき、この傑作選の存在を知りました。これなら迷うことなく読めそう。
選者は海堂尊・浅田次郎・佐藤優・原武史・宮部みゆき・桐野夏生の6氏という豪華版。
もともとは単行本で出ていたものですが、文庫化も進んでいます。それもうれしい。
全6冊のうち4冊が文庫化済で、このエントリを書いている時点では「憑かれし者ども—桐野夏生オリジナルセレクション—」の文庫版はまだAmazonに出ていないようです。
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わたしたちは負けない〜音もなく少女は
ボストン=テランという、自分が全く知らなかった作家の作品を読みました。新聞の書評欄で見たのが知ったきっかけなのですが、やはりタイトルが非常に印象に残ったせいだと思います。
ボストン=テランはミステリ作家。しかしこの作品は「ミステリ」だとは思いませんでした。作品を一言で表すとすれば「ある戦いの記録」がふさわしい気がします。
主人公イブを始め登場する女性達に感じ取ったキーワードは「わたしたちは負けない」。
イブにせよ、イブを支えるフラン、そしてその周囲の人にせよ、読み進めるのが辛くなるような、不条理としか言いようのない環境の中、それぞれに自分 (たち) の力で不条理から逃れ進んでいく。悲惨な中でも力を合わせて前に進む姿から思い至りました。
この作品に書かれているベトナム戦争の頃のニューヨーク・ブロンクス。かなり悲惨というか危ない地域として書かれています。ブロンクスは治安の悪い地域として有名ですが、今も当時と同じような状況なのでしょうか。
読み進めるのが辛く感じるところもありましたが、それでも最後にはほっとしたというか、なんだか救われた気がしたのです。読ませる文章で、悲惨だけどなんとかみんな救われてほしい、と思い、読むのをやめたいとは思いませんでした。
登場する女性達の強さ、イブと写真の関わり。読んでよかったと思います。
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