心にふわりと灯りがともる〜遠い町から来た話
この本を知った直接のきっかけは、豊崎由美さんのこのツイートです。
これを見る直前に、この本の訳者岸本佐知子さんの「ねにもつタイプ」を読んでいて、これがすごく面白くて彼女が訳した本を読んでみたいと思っていたときだったので、とてもいいタイミングでした。
15の短い話で構成されているのですが、特にぐっときた話が「エリック」と「遠くに降る雨」。
「エリック」は最後の見開きページを見たとき、絵の美しさとことばに涙が出ました。
「遠くに降る雨」は、ことばの力を信じたくなる話です。人を動かすことばは、高名な人の「名言」「傑作」だけではない。普通の人のことばでも、十分人の心を動かす力になり得ることが、鉛筆主体の絵とコラージュと様々な人の手書きの文字(訳者あとがきに、字を書いてくれた人たちへの謝辞があります)で語られます。
自分のところにも、いつか「詩の球」がやってきますように。
最後のページに「ごきげんよう!−火曜の午後の読書会一同より」と題された絵があります。人間と怪獣?が丘の上でのんびり本を読んでいる絵なんですが、こういう読書会にぜひ参加したいです。この絵は壁に貼っておきたいくらい。
岸本佐知子さんの「ねにもつタイプ」はどちらかというとエキセントリックな内容ですが、この本の訳はとてもわかりやすく、心にストレートに届きました。「ねにもつタイプ」のような文章を書ける頭脳と心を持つ人だからこそ、これだけ心に届く訳ができるのだろうと納得できました。
図書館の新刊コーナーにあったのを見かけたので借りて読んだのですが、これは買います。この本は絶対手元に置いておきたい。
ショーン=タンの作品はこれが初めてですが、他の作品も読んでみたいです。
心にふわりと灯りがともったような気持になりました。絵にも言葉にも「大切にしたい何か」があふれている本です。
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