なぜこんなにも美しいのか〜アフリカの日々

高校生のための文章読本」に、この作品から「イグアナ」という2ページほどの短い文が収録されていたのですが、とても美しい文章でした。これは出典を読まねばと気になり、今回やっと手に取りました。

とにかく描写が美しい。「こんなに美しい描写は読んだことがないかもしれない」と思った。そういう描写に触れられただけでも、この本を読んだ価値はあったと思う。
特にアフリカの自然の描写。人間を圧倒する美しい自然が、確かにそこにあるのかもしれない。でもその美しさを描写する力がなかったら、読者はその自然を「美しい」とは思えない。自然そのもののすごさとそれを描写する力のすごさ。両方があるからこそ、この物語はここまで美しくなったのでしょう。

ここに書かれてることはあくまで「白人が見たアフリカ」なので、アフリカの本当の姿が描写されているわけではないかもしれない。ネイティブアフリカンの目を通せば、また違った風景になるのかもしれない。
しかも彼女は農園経営に失敗してアフリカを去った「敗者」なわけです。敗者だけど、アフリカに否定的な考えはないのだと思う。否定的な気持ちがあったら、こんなに美しい物語・美しい描写にはならないはず。

本の内容からは少し外れますが、自分はやはり歴史を勉強する必要がありそうです。ここに書かれているのは20世紀初頭のアフリカですが、アフリカに他民族が進出してきた経緯や当時の状況を知った上でこの本を読めば、「アフリカを舞台とした非常に美しい物語」としてだけでなく、もう少し深く読めたのではないかと思う。

余談ですが、以前ボツワナについての話を聞いたことがあります。ボツワナに行くのは時間がかかるし非常に面倒くさい。しかし実際に着いてみれば、それまでの苦労など全部吹き飛んでしまうくらいすばらしい自然がある。
非常に遠い場所だけど、いつかアフリカにも行ってみたいものです。

もうひとつ。「アフリカの日々」は「愛と哀しみの果て」という映画になっていたんですね。アカデミー作品賞に輝いた作品のようですが、原作の描写があまりにも美しかったので、下手に映像では見たくないと思いました。

 

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