月別: 2014年1月

[share] 考証要集 秘伝! NHK時代考証資料

何気なく見る時代劇。その時代の人々の生活が形になって現れています。このときに欠かせないのが時代考証です。
はっきり記録に残っていないかもしれないものを調べ、「○○は****のようにしていた」と決めていくのは、なによりの大仕事かもしれません。
フィクションとはいえ、そのときの実情からあまりにかけ離れてしまっては、時代劇の意味がなくなってしまいますね。
素人目に大変そうだなと思うのが「タイムスクープハンター」。基本的リサーチにすごく時間がかかっている感じがします。

この本は、時代考証を手がける人が書いた裏話です。時代劇には欠かせない、でも注目されることの少ない分野の人々がどんな風に奮闘しているのか。あまり時代劇は見ませんが、この本はすごく面白そうだと思います。

 

考証要集 秘伝! NHK時代考証資料 (文春文庫)
大森 洋平
文藝春秋 (2013-12-04)
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タイムスクープハンター
NHK『タイムスクープハンター』制作チーム
河出書房新社
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[share] 裁判員のあたまの中—14人のはじめて物語

裁判員裁判が始まって、しばらく経ちます。わたしが知る限りでは、周囲で裁判員を経験したり名簿に記載された人はいません。わたし自身もそうです。勤め先に裁判員休暇制度がありますが、実際利用した人がいるかは不明です。
裁判員が法廷で何を考えどう判断したかは、時々しかも断片的にしか伝わってきません。謎が深く、それゆえに「選ばれたらどうなるんだろう、どうしよう」と感じてしまうのでしょう。

この本は裁判員経験者14人へのインタビュー集です。さすがに個々の裁判の詳細は書かれていないと思いますが、様々な立場の裁判員が何を考えて参加し、その後どう思ったか。
まずノンフィクションとして面白そう。そして自分が裁判員を経験することになるのかはわからないけど、そのときに、支えになってくれそうな本だなと思いました。

 

裁判員のあたまの中—14人のはじめて物語
田口 真義
現代人文社
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[share] 即答するバカ

実に明快なタイトルです。日々生活していて、その場で返答しなければならないこともありますが、それが一刀両断されてしまいました。
しかしその場で返答するにしても、単に反射神経でことばを発していてはしようがないのも確かです。

これは口に出す前の少しの工夫について論じた本ですが、わたしは少し違う面で興味を持ちました。
この本に書かれている「うまく返答するための工夫」が、自分の苦手に効きそうな感じがしたのです。
というのは、わたしは即答がほとんどできないからです。気軽に即答して問題ない軽い会話でも、考えないと答えられないことがあるのです。で、考えたことで相手を慌てさせてしまうこともありました。

なんにしても、受け答えを上手にやる方法を身につけたいものです。

 

即答するバカ (新潮新書)
梶原 しげる
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[share] お引越し

1990年に発売された児童文学「お引越し」が、再版されることになりました。
両親が離婚した、11歳の女子小学生レンコが主人公の、家族をめぐる物語です。
20年ほど前には映画になっています。女優田畑智子のデビュー作でもあります。
わたしは映画は見ているのですが、原作は気になりつつも結局読まずじまいだったことを思い出しました。

今回特に気になるのは、映画で田畑智子が演じたレンコの「あと話」が収録されていることです。これは35歳になったレンコと親友2人の話のようです。
自分が今子供時代を振り返り、新たに思うこと・気づくことが増えているので、35歳のレンコが11歳の経験をどう振り返るのか、気になります。

ところで映画「お引越しの」DVD、えらい値段がついてますな。

 

お引越し (福音館創作童話シリーズ)
ひこ 田中
福音館書店
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お引越し デラックス版 [DVD]
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行く前に・行った後に・行かなくても〜インターメディアテク: 東京大学学術コレクション

「インターメディアテク」という博物館があります。
丸の内のJPタワー内にある、東京大学と日本郵便の産学協働プロジェクトによる博物館です。
展示物は、東京大学が明治10年の創学以来蓄積してきた学術文化財です。

INTERMEDIATHEQUE

 

駆け足ながら、わたしは一度展示を見ています。改めて本の形で展示を見て、訪れたときの奇妙な感覚が戻ってきました。
鉱物、動植物の標本、人物写真、模型、数学モデル、各国の貨幣…。それぞれのモノがこの場所に来るまでにどういう経緯があったのか、想像せずにはいられませんでした。

中には館長による、この博物館の目的と「学術標本」にまつわる話が書かれています。
「学術標本」とは何か、どれだけの数があるのか、なぜ集められたのか。博物館の役割、そしてインターメディアテクが何を目指しているのか。
ここには順路や解説文がありません。それが一般的な博物館との一番の差だと思います。その意図も書かれています。
見学者は好きなように歩き回り、標本を見ながら自由に想像・空想・盲想できる。近代日本の人々が何を知ろうとしたのか、見えてくるかもしれない。

インターメディアテクは、ものと人が学んできたことの歴史を、身近に感じられる場所だと思いました。
見るだけで十分興味深い本ですが、機会があればぜひインターメディアテクにお出かけください。わたしも機会があったら再訪するつもりです。
行った後に読んでも、この場所の独特の雰囲気と楽しみを追体験できます。

 

インターメディアテク: 東京大学学術コレクション
西野 嘉章
平凡社
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[share] 水族館の歴史: 海が室内にやってきた

水族館は楽しい。動物園とはまた違った楽しみがあります。水槽の間でぼんやり立っていると、異世界にいる気分になります。
通路がトンネル状になった、魚を下からのぞける水槽を初めて見たときには非常に驚きました。
現在の水族館は、トンネルだけでなく様々な形の水槽が使われています。それはもちろん技術が進歩したからです。
でも最初の「屋内で魚を長時間生かしたまま観察できる」設備こそが最大の発明であるわけです。

そんな設備が現れたとき、人々は一体どんな反応をしたのか。水族館はどういう歴史をたどってきたのか。気になります。

 

水族館の歴史: 海が室内にやってきた
ベアント ブルンナー
白水社
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NHK「ドキュメント72時間 巨大書店・活字の森の歩き方」を見た

中部地方では12月27日に放送された「ドキュメント72時間 巨大書店 活字の森の歩き方」を見ました。

ドキュメント72時間「巨大書店・活字の森の歩き方」 – NHK

舞台は紀伊國屋書店新宿本店。日本で一番新刊が多い (1日約200点が入る) と思われる書店です。蔵書は約120万点だとか。

書店にはいろいろな人がやってきます。3日間を通して様々な人に何を探しているのか、その人のバックグラウンドについて聞いていきます。
ナレーションに

自分を変えてくれる“1冊”はどこにあるのか

とありました。探している物は様々ですが、これが書店を訪れる究極の目的かもしれません。

 

特に印象に残った人と言葉をご紹介します。

開店前にやってきた、高校生の頃から通っている、本屋さんが大好きな57歳男性。「本屋さんに入ったときの匂いとか、開店した手の本屋さんの人の少なさとか、そういうのが好き」だそうです。
開店したての本屋さんに入ることは

私の中では例えば 映画館に座って 辺りが暗くなって さぁ映画が始まるっていう時のワクワク感に似ていますかね

と話します。
「ああ、確かに」と思いました。映画館で周囲が暗くなるときと、書店に入るときの感じはとても似ている。

 

「探しているのは沢山あるんだけどね」という元銀行員の79歳男性。この人の趣味は読書ではなく「買書 (ばいしょ)」。

読むかもしれない 読まないかもしれない 読まない本を買う 買わない本を眺める それが趣味ですね

「趣味は買書です」なんて言ってみたい。

 

そして一番驚いたのが、1年前からミステリーにはまっている、東野圭吾が好きな小学4年・10歳の少年。すでに初の推理小説も執筆済とか。
10歳にして本を見て歩く姿に「本と書店に一家言ある大人」の風格が感じられます。
親子で訪れていたのですが、母親が「気がついたら (自分と) 同じものを読んでいた」「ちょっと前まで 一緒に絵本読んでたのに…」と言っていました。
すごく将来が楽しみです。このまま彼が推理小説への興味を失わなければ。

 

ウィトゲンシュタイン入門」を購入した、哲学を学ぶ女子大学生は

なんでもいいんですけど1冊 自分の1冊っていうのがあったら 自分にとって芯になる

大切な本っていうのは ひとつ持っていた方が 私にとっては強みになると思って

と言っています。

 

番組最後に、紀伊國屋書店の女性店員が「無人島に持って行きたい1冊」としてポール=ヴァレリー「ムッシュー・テスト」を紹介しました。
その本は今、こういう状態になっているそうです。

 

そして2014年の日めくりカレンダーを買った、85歳無職男性の言葉。

さびしい通り越して もう生きているの嫌だけどさ しょうがないじゃん 死ぬわけにいかねぇし 生きてるんだから 毎日はな

投げやりにも聞こえる言葉ですが、不思議と励まされる感じがしました。

 

なぜ書店に来たのか、なぜ本を探しているのか、なぜそれを選んだのか。
これらを人に聞く機会はなかなかありません。本とそれを手に取る人の後ろに広がる世界を感じられて、面白かったです。

 

[share] レッドアローとスターハウス: もうひとつの戦後思想史

「スターハウス」ってなんだ? と思ったのですが、星形というかY字型の団地のことなんですね。
スターハウスを初めて見たのは学生時代。当時住んでいた町に大きな団地があり、そこに建っていました。大学卒業前に再開発が始まったので、今はもうありません。
平針住宅にもスターハウスがありました。見たのが数年前なので、現存するかどうかはわかりません。

わたしは東北の小さな町で生まれ育ちました。市営住宅もありましたが、実家からかなり遠いところだったのと、小規模で団地を形成するほどではなかったのとで、大学生になるまで「団地」とはほぼ無縁でした。
レッドアローにしてもスターハウスにしても、自分には縁遠いものです。地元に似たような物が存在しなかったし、自分がそこに住んでいたり利用したこともないからです。
この本に惹かれたのは、自分とは無縁の世界について書かれているからかもしれません。

 

レッドアローとスターハウス: もうひとつの戦後思想史
原 武史
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[share] ウザい相手をサラリとかわす技術 今日から人間関係が必ず上向く!

「この人うざい」という人は、どこに行ってもいます。度を超したうざさは論外ですが、ある程度はかわしていかないと、仕事なんかやってられないのも事実です。
今までいろいろな場で働いてきました。近かったり遠かったり、人間関係は様々です。その中で適度な距離を保つのは、意外と難しいと感じます。
場の距離を分かった上で適切に振る舞うのには、きっとコツがあるのでしょう。この本がそれをつかむヒントになりそうです。
そして、自分自身がうざい存在にならないように気をつけないと。

 

ウザい相手をサラリとかわす技術  今日から人間関係が必ず上向く! (SB新書)
清水 克彦
SBクリエイティブ
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[share] 本を読む人のための書体入門

書体の本というと、本を作る側=デザイナー向けの物がほとんどですが、この本は珍しく読み手向けです。
確かにどんな書体が使われているかで、文章の持つ印象が変わってくることがあります。作り手はそこを意識して書体を選んでいると思います。

普段本を読むときには、書体まで意識することはほとんどありません。装丁に比べれば地味だからかもしれません。
でも文字を深く味わうことで、本を読むことがもっと好きになるなんて、楽しそう。

 

本を読む人のための書体入門 (星海社新書)
正木 香子
講談社
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