投稿者: sazanami

《気になる》仕事に必要なことはすべて映画で学べる —会社に使い倒されないための9の心得

日経ビジネスオンラインに「押井守監督の『勝つために見る映画』 (全文読むためには会員登録が必要)」という連載があります。メインテーマは「勝負論」で、そのヒントになる映画が多く紹介されています。
わたしはもともと映画をあまり見ず、取り上げられている作品では「機動警察パトレイバー2」しか見ていませんが、楽しく読んでいます。
一番印象的だったのは「不敗の構造を自分の仕事に作り込もう」。確かにこれを知っているかどうかで差が出るな、というキーワードが出てきます。
この連載が単行本化されます。しかも全面リライトの上情報も増えているとのこと。ウェブ連載より濃くなった勝負論、ぜひ読んでみたい。

 

 

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《気になる》こうしてお前は彼女にフラれる

1年ほど前に「オスカー・ワオの短く凄まじい人生」を読みました。第2回twitter文学賞で海外部門1位になった作品です。テーブルトークRPGとかSFが大好きで、まったくモテないおたく青年が主人公の、カリブの呪いとSFがごちゃ混ぜになった、むやみやたらに面白い小説でした。表紙が内容とぴったり合っていて、すごくいい。
この小説に、オスカーのルームメイトのユニオールという浮気者の青年が出てきます。彼がこの本の主人公です。あの小説の彼が戻ってきた、と俄然読みたくなりました。
しかも、表紙のテイストが「オスカー・ワオの短く凄まじい人生」と同じです。うまいと思います。

 

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《気になる》かぜの科学—もっとも身近な病の生態

夏風邪の季節は過ぎましたが、気温が下がったせいで風邪をひいてしまった人が、周囲にぽつぽつ出ています。
わたしは夏場は「汗をかいたらすぐに着替える」「冷えすぎを極力避ける」「できるだけ常温か温かい飲み物を選ぶ」で、なんとか風邪を遠ざけていましたが、この先も気が抜けません。
風邪ほどありふれた病気もありません。しかし風邪といっても、症状は多岐にわたります。しかも薬では治せません。風邪の治療薬を作れたらノーベル賞ものだと言います。
風邪はありふれているからこそ、よくわからないのかもしれません。本格的な季節になる前に、この本で風邪について調べ防衛手段を整えるのもよさそうです。

 

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《気になる》女子読みのススメ

「○○女子」とかいう言い方はあまり好きではありませんが、この本は気になります。
10代の頃は、あまり本を読んでいませんでした。中学生でコバルト文庫をぽつぽつ読み出し、その後他ジャンルの本も読むようにはなったのですが、受験勉強その他諸々の影響で、高2の途中からほとんど読んでいません。
この本は「女性の書き手による女性が主人公の小説を、女性の目線で読み解く」ことを主眼に置いています。こういう読み方は確かに10代で経験した方が鮮烈だろうと思います。それは自分が抱える悩みを相対化することに通じるから。それができるかどうかで、のちのちの生き方に差が出るかも。
もちろん40代の自分がそれをやるのは無意味ではないと思いますが、まずは単純にブックガイドとして気になります。

 

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《気になる》あぶない科学実験

妙にそそられるタイトルです。一体何をやらかそうとしてるのでしょう。台所で火柱でも立てるんでしょうか。むやみにバカで楽しそうな感じがします。
オビに「ライトセーバーやエアバズーカを自分で作る」とあります。やはり皆さんこういったものを作ってみたいのですね。
わたしはどちらもいりませんが、住まいと人間とうさぎに損害が出ない程度の実験はやってみたい。
しかし、現実に自宅で実験するとなると困難も多いでしょうから、この本を読んで楽しむのがいいのかもしれません。

 

あぶない科学実験
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しんどい思いをしている人に勧めたい〜統合失調症がやってきた

「松本ハウス」というお笑いコンビがいます。ハウス加賀谷と松本キックの2人で1991年にデビュー、人気絶頂だった1999年に活動休止。2009年に活動を再開しました。活動休止の理由は、加賀谷さんの統合失調症。
この本は加賀谷さんの生い立ちから統合失調症の発症、お笑いコンビとしてデビューし、病状悪化による入院・療養を経て復活するまでが、時に松本さんの視点を交えて書かれています。全体の執筆は松本さんが担当しています。
わたしはお笑いに全然興味がないこともあって、彼らのことは知りませんでした。それでもこの本を手に取ったのは、統合失調症の闘病記だからです。家族からみた統合失調症の看病記は知っていたけれど、当事者が語るものは、わたしにとっては初めて見るものでした。

加賀谷さんは荒れる家庭で、自分がエリートコースを進むことだけが希望、と言うような環境で育ちました。彼自身は勉強も習い事も嫌いだけど、家族のためにいい子であろうとします。そんな中、中2の頃から自己臭恐怖症が起こり、高校入学後に幻覚が見え始めます。
神経科での治療の中でグループホーム入所を勧められた加賀谷さん。そこで生活するうちに漫才をやってみたいと思い、オーディションに合格して事務所に入ります。そこに同じく合格した松本さんがいました。

デビューから下積みを経て「ボキャブラ天国」に出演し、人気絶頂になった松本ハウス。多忙で休むこともできなくなった加賀谷さんは心身のバランスを崩します。もともと薬の副作用のせいで多かった遅刻がさらに増え、時間の概念もなくなっていきます。
加賀谷さんが追い詰められていく中、自殺の危険を感じた松本さんは、1枚のFaxを送ります。

簡単なことはするな それはつまらないから 俺もそれはしない

この言葉で、松本さんの人柄や、彼にとって加賀谷さんがどういう存在であるかがよくわかります。
簡単だけど、非常に思いやりに満ちた言葉だと思います。
精神科病棟に入院する直前には、心身のコントロールが効かなくなり、幻覚も見えていました。入院が決まり、所属事務所で2人で最後の話し合いを行ったときの記憶が、加賀谷さんにはないそうです。松本さんはこのときのことを「おそらく加賀谷の心は停止していたのだろう」と振り返っています。

辛いエピソード続くのですが、比較的冷静に読み進めていけます。これは加賀谷さんが冷静に自分の状態を振り返ることができているのと、松本さんの筆力、編集者の構成力が合わさったからこそでしょう。
加賀谷さんは入院前後のことを思い出したら吐き気が止まらなくなり、実際に吐きながらメモを書いたそうです。それでも苦しかった時のことを冷静に振り返っています。これは彼自身がタフであること、自分を客観的に見つめる目を持っていたこと、そして松本さん始め家族や出版に関わった人たちの支えがあったからだと感じました。
松本さんは加賀谷さんを責めずせかさず、復帰できる時を待ちました。加賀谷さんを信頼しているからこそなのだと思います。10年待った松本さんもまたタフであり、非常に度量の大きい人だと思います。

統合失調症は100人に1人の割合で発症すると言われています。稀な病気ではありません。
この本は統合失調症以外の病気にかかった人、精神的な不調に悩む人、その当事者にとっても周囲の人にとっても、よいテキストになると思います。病や不調そのものにどう向き合うか、周囲はどうすべきか、大きなヒントが得られると思います。
そしてこの本は、色々な人に読まれるべきだと思います。病気が原因でなくても、どうしようもなく追い詰められてしまうことはだれにでもあると思うから。

コンビ解散から10年、加賀谷さんが松本さんに「またお笑いがやりたい」「もう一度キックさんとやりたい」と伝え、まずは松本さんのトークライブに素人のゲストとして出演します。そして加賀谷さんが舞台に登場したとき、ファンから暖かい拍手と声援が送られます。この場面は本当に涙が出そうになりました。
松本さんは冒頭で、お笑いコンビは「戦友」であると書いています。本当に2人は戦友で、だからこそ10年を経て、再び同じ場所に立てているのだと、全体を読んで感じました。2人の絆の強さも、この本の魅力です。
これまでお笑いライブはまったく見たことがないのですが、機会があったら松本ハウスのステージを見に行ってみようと思います。

 

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余談
感想としては非常に変なのですが、読後感が岡崎京子「ヘルタースケルター」に似ていると思いました。
もちろんヘルタースケルターはフィクションだし扱うテーマもまったく違います。両者を同列に見ることはできないのは百も承知ですが、それでも「ぼろぼろの心身を抱えながらも生きのびることを選択したりりこ」の姿が、再度舞台に立った松本ハウスに重なったのは確かです。

《気になる》すばらしい墜落

ニューヨークで暮らす中国系移民の苦労と希望を書いた短編集。ただタイトルと、表紙の色のコントラストに惹かれた本です。
アメリカ系中国人であるハ=ジン (哈金) という作家は、名前だけしか知らない、だけどなんだか引っかかる人です。2004年に出た「狂気」の紹介記事を雑誌で読み、名前を知ったのが最初です。
その後、本を見つけるたびに「読んでみよう」と思いながら、結局未だに読んでいません。こうやって放置するのはよくありませんね。気になるなら読めばいいのに。

こうやってまた新しい本を知ったので、この本でも「狂気」でも、まずは読んでみようと思います。「狂気」は古本か図書館に当たるしかないでしょうけど。

 

すばらしい墜落
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狂気
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《気になる》ウサギの日本文化史

わたしが初めて接したうさぎは、小学校の飼育小屋にいました。典型的な東北の田舎に育ったのですが、野生のうさぎは見たことがありません。その辺の山にいたとは思うんですが。
今自宅には、11歳のうさぎがいます。数ヶ月前からほぼ寝たきり状態です。

古くからうさぎはありふれた動物です。神話に出てきたり絵の題材になったり。食料としてもかなり身近だったでしょう。わたしの祖父母の年代ならば、食べるために飼っていた人も少なくないに違いありません。今でも食用うさぎはいますしね。
ありふれているからこそ普段大して関心が払われないうさぎですが、日本文化の中にどう位置づけられてきたかを振り返ってみるのも面白いかもしれません。

 

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余談
日本画でうさぎというと、まず出てくるのが鳥獣人物戯画です。これに出てくるうさぎは、骨格の特徴や毛の長さ (身体の部位によって長さが違う) など、解剖学見地から見て非常に正確に描かれているそうです。

 

《気になる》富士山

富士山を初めて見たのは中学の修学旅行でした。あまりにも大きな山でとにかくびっくりしました。地元で普段見える山は1,800m級です。
富士山は不思議な山です。わたし自身は一度五合目まで車で行ったことがあるきりで、あとは新幹線の車窓から眺めるくらいですが、見ていると「なんでこんな山がこんな風に存在しているのか」という気持ちになります。大きさといい高さといい形といい、目を向けずにはいられない山です。
この本は富士山をテーマにした小説・紀行・評論のアンソロジーです。夏目漱石から森見登美彦まで、それぞれがどう富士山を見て表現したのか。個人的には沢野ひとしがどんなことを書いているのか気になります。

 

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余談
大学同期に湖西市出身者がいて、彼は確か東松山に住んでいたのですが「実家よりこっちから見る富士山の方が大きい」なんて言っていました。

 

《気になる》新・何がなんでも作家になりたい!

鈴木輝一郎さんには、一度お会いしたことがあります。
約20年前、わたしは新宿にある書店でアルバイトをしていました。その店頭にいらっしゃいました。買い物ではありません。営業です。
新刊のタイトルを背中に入れたトレーナーを着て来店し、店長に「今度新刊の○○が出ましたのでよろしくお願いします」といった感じの挨拶をなさり、書名入り軍手を置いていきました。わたしはしばらくその軍手で仕事していました。
公式サイトを見ると、わたしがお会いしたのは2冊目か3冊目の本が出たあたりだと思います。

鈴木輝一郎さんは現在時代小説の重要な書き手であることは知っていましたが、小説講座まで開講していたとは。しかもこの講座を受講して、新人賞に輝いた人が何人もいるとか。「書くプロ」であると同時に「教えるプロ」「養成のプロ」と言えるかもしれませんね。

わたしは作家になりたいとは思いませんが、作家の舞台裏とか下積み生活を知るための本として、ちょっと興味があります。

 

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