タグ: ビジネス
《気になる》ひつまぶしとスマホは、同じ原理でできている
「ひつまぶし」と「スマホ」ですか。えっと思う組み合わせではありますが、確かに似ているところはあるかもしれません。どちらも全くの0から生まれてきたものではないこと、「こうすればどうだろう」の積み重ねの末に生まれていることという共通点はありますね。あつた蓬莱軒の大女将 (でいいのだろうか) とスティーブ=ジョブズは思考回路が同じなのか。
アイディアが既にあるものを組み合わせたり、これまでと見る角度を変えることで生まれてくるものだとしたら、ひつまぶしやスマートフォンがどうやって生まれてきたか、共通点は何かを見ていくことで、いかに発想するかのヒントが得られるかもしれません。
ところでAmazonの本容紹介に
すべてのヒントは名古屋にある。
とあります。この言葉が名古屋 (どこまでを指すのだろう) の中にいる人に向けたものなのか、あるいは名古屋の外にいる人に向けたものなのか、ちょっと気になりました。
わたしはもともとうなぎが好きじゃないので、ひつまぶしも2回くらいしか食べたことがありません。
日本経済新聞出版社
売り上げランキング: 104826
《気になる》図解 ミスが少ない人は必ずやっている「書類・手帳・ノート」の整理術
人によって仕事がどういう形でやってきて、どうやって仕事の成果を出していくかは違うと思います。
わたしの場合、仕事は書類の束でやってきて、新たに作った書類の束として出て行きます。やってくる先も進行も出て行く先も複数。なので書類整理がいかに大切かは身にしみてわかります。
限られたスペースでいかに混乱を招かずに進行するか、自分なりに工夫してはいますが、それでもたまに混乱がおきて焦ってしまいます。そういうことを減らすためにも、この本は参考になりそうです。
ところでわたしの元同僚は非常に仕事ができる人で、責任者からも「彼はほっといても大丈夫」と好きにやらせてもらっている人でした。
書類はぴしっと整理され、他人が見てもすぐに案件にたどり着け、いるものといらないものの区別が早く、いつも必要十分なものがそろっている状態を保ってました。しかし、そういう人でも机の中がぐちゃぐちゃなんですよね。ゴム印を借りようと思ったら、引き出しを開けてしばらく探索する羽目になる。
その人を見て「書類の整理がうまい」人が「整理整頓好き」とは限らないのかもしれない、と思いました。
売り上げランキング: 851
英語・会計・ITは「酸素」のようなものかもしれない〜大前研一「進化する教育」を読んで
レビュープラスさんのご厚意で、「進化する教育 (大前研一通信特別保存版 PARTVI)【電子書籍版】」を読みました。ありがとうございます。
この電子書籍は、大前研一さんが設立したビジネスブレークスルー大学および大学院の紹介と、大前さんが考える教育についてまとめられています。
大前さんは英語・会計・ITを非常に重要視していますが、それはなぜなのか。
英語・会計・ITは「酸素」のようなものかもしれません。
酸素は「自身は燃えず、ものを燃やす力がある」。水素が燃えれば水、酸化アルミニウムならルビーやサファイア。
水素・アルミニウムはそれだけで非常に有用なものだけど、酸素と出会い反応が起きることでさらに用途が広がる。
水素やアルミニウムは「ビジネスの核」。自身の中に「酸素」を蓄えておくことで、「水素」「アルミニウム」に出会ったときに大きな反応をつかむことができるのかもしれない。
わたしはそのように感じました。
そしてもう一つ。グローバルな人材の育成について。
グローバルに通用する能力を持つことの重要性はわかりますが、その一方で疑問もありました。
例えば日本の若者全員が「グローバルに活躍」しなくてはならないのか? 例えばアメリカ人は「全員グローバルに活躍している・できる人材」なのか?
そういう疑問がずっとあったのけど、この本を読んで感じました。
もちろん、全員がグローバルに活躍できるわけではないし、おそらく活躍する必要はないんだろう。全員が経営者になる必要も、おそらくはない。世の中は経営者だけでは成り立たないから。
ただ「グローバルに活躍できる素地」は全員にあった方がいい。
それはその人自身の間口を広げることになるし、間口が広い人が増えることで、社会はもっと良くなる可能性がある。
素地がある人が増えて、そこから飛び抜けたアイディアがある人が増え、ビジネスを起こす人が増え…となっていくのでしょう。
大前さんが考え実践している「理想の教育」について語られたこの電子書籍、非常に興味深く読み進められました。
でもその一方で、読みながらざりっとした違和感をずっと感じていました。口にした肉に砂が入っていたような違和感。
それは大前さんが目指す教育が「直接ビジネスに役立つものしかいらない」という風に感じられたことに由来します。
英語・会計・IT以外の「基礎的な教養」について、大前さんはどう考えているでしょう?
役に立つものしかいらない、という態度は危険ではないでしょうか。
役に立つ物だけで結果を出し続けようとするのは、化学肥料だけで野菜の収穫量を上げ続けようとするのと同じでは?
特に最近、仕事に直接役立つ知識だけが重要、仕事に役立たない教養なんか不要、という考えがあるように感じますが、教養に関して次のような指摘があります。
世界に打って出ようというときに、それっぽくハッタリを噛ますだけの教養があるかどうか、それは実利に直結するのだから少しは教養の実用性にも目を向けてほしいものです。
— 東浩紀さん (@hazuma) 9月 28, 2011
私が橋下徹大阪市長の「無教養」を批判したのは、教養とは自分のわからないものに対する敬意、想像力を働かせるものであり、他者に対する想像力を欠いた者が市民の命運を握る権力者の地位に着くことがいかに危険であるかと思ったからです。政治家には教養が絶対に必要。
— 中森明夫さん (@a_i_jp) 7月 28, 2012
中森明夫さんのツイートは政治家に関するものですが、「政治家」「権力者」を「経営者」とか「実業家」に、「市民」を「社員」に置き換えても、十分通用するのではないでしょうか。
大前さんはこの電子書籍の中で
では、親が子供に対して教えるべきこととは何なのか。それは「自分」「家庭」「会社」「国家・社会」に責任を持つ、ということだ。
(10ページ)
と書いてらっしゃいます。これは確かにその通りだとは思います。
教養は教育で身につくようなものではないけれど、でも教養を身につけるために必要な素地は、家庭なり学校教育が教えるべきことではないでしょうか。
英語・会計・ITのことを「酸素」と書きました。酸素は生きるために絶対欠かせないものだけど、その一方で酸素中毒という症状も引き起こすのです。
最後にもう一つ。
最初の方に子供に家の仕事をさせるために、家の仕事を「利権化」する話が出てきましたが、利権化した相手は子供だけで、妻に対しては利権化したのでしょうか。しなかったとしたらフェアではない気がする。
教育という非常に扱いが難しい問題に対して、大前さんがどう考えどう理想に向かっているか。その姿勢と密度の濃い教育の内容を興味深く読むことができました。
レビュープラスさん、ありがとうございました。
《気になる》出世するキレ方
タイトルを見て「うーん」と思ってしまいました。「出世」と「キレる」がどうしても結びつきません。
これまでに仕事で関わりがあった人の中にキレやすい人は何人かいましたが、あまり出世しない人が大部分でした。
できればキレたくありませんよね。キレたところで、結局自分にも周囲にもマイナスにしかならないことが圧倒的に多いし。
そうではあるのですが、人でも物でも理不尽に遭遇して、それを跳ね返したいときなど、キレたくはない、しかし怒りは表明したい場面はあります。自分の怒りをうまく表現し、ついでに周囲も自分側に引き込めたら、それはいいことかもしれない。
わたしは自分の感情をうまく表現するのがすごく苦手で、感情の中でも怒りの表現はかなり難しいので、怒りの表現の一手法として「スマートなキレ方」に触れるのも一方かもしれません。
《気になる》入社10年目の羅針盤
わたしは新卒で入社10年目、という時期はとうに過ぎてしまいましたが、今思うと10年目くらいが一番しんどかったなと思います。
仕事そのものの量が多くて大変だったのと、仕事内容などで大きく変化が起きていた時期だからです。変化による戸惑いも大きく、心身ともに相当に疲れていました。よくあそこでつぶれなかったな、と思うくらい。
今は仕事そのものも環境も変わり、そこまで大変なことはなくなりました。それでも小さな変化はいくつも訪れ、仕事に対して思うところも様々あります。
働く年数が増えるごとに見えてくるものもあるけれど、同時に影がかかったようにぼやけるものもあります。「10年目」という年数にこだわらず、働き続ける自分を振り返る教科書として役立ちそうです。
《気になる》今の働き方が「しんどい」と思ったときの がんばらない技術
かつての自分は「とにかくがんばらねば、がんばるのが一番大事」などと考えていましたが、最近「がんばること」と「がんばらないこと」は同じくらい大切だ、と思うようになりました。
仕事でずっとがんばり続けようとして、結果身体を壊しそうになったからかもしれません。
そう思っても「がんばる」「がんばらない」のバランスがうまくとれなくて、しんどくなってしまうことがありますが。
自分が使えるエネルギー量には限りがあるから、常にがんばっているとエネルギー切れを起こしかねないし、がんばったからといって、物事がすべてうまくいくわけでもないですし。
がんばることだけが是、と思っていると、しんどいことを認められなくなるんですね。そしてドツボにはまり、身体から停止信号が出て、やっと止まる。
しんどい状態が長く続いて、いいことなんかないですからね。じぶんがつらくなく、そして長く働くために、この本は役立ちそうです。
ダイヤモンド社
売り上げランキング: 13319
《気になる》上司取扱説明書—MBA流ボスマネの極意
「選べなくて困る」存在は多々ありますが、その中でも上司は困る度合いの上位に入るのではないでしょうか。
わたしもこれまで「困った上司」には何人も出会ってきました。あまりにもひどい人に当たったときは、精神的疲労がひどくて毎日しんどかったです。
自分が悪くて仕事に問題が出たのならしようがないけど、上司が自覚なく部下の仕事を壊すようなことがあると、ほんとにため息しか出ませんでした。それでも自分の仕事なので何とかしますが。
MBAだのなんだのはどうでもいいのですが、仕事上の理不尽を減らすための上司の取り扱い方法は知りたいものです。
《気になる》松浦弥太郎の仕事術
「暮しの手帖」は、図書館に行ったときによく読んでいます。初めて読んだのは小学生の時。祖母か母が購読していたものを読んだ記憶があります。
「暮しの手帖」は全体的に疲れない雑誌だと思います。しっかりした読み物記事を読んでもそう思います。しっかりした内容を疲れずに読める、というのはなかなかないと思うのです。
松浦弥太郎さんは「暮しの手帖」編集長です。最近仕事術などに対する興味はほとんどなくなっていましたが、この人の仕事術の本なら読んでみたいと思います。仕事だけでなく、生活そのものに変化をもたらすことばに出会えそうです。
朝日新聞出版 (2012-07-06)
売り上げランキング: 6641
「会社」のあるべき姿とは〜挑む力
ICT企業として国内一になった富士通の、現場のリーダーたちの働きについての本です。レビュープラスさんから献本いただきました。ありがとうございます。
読んで感じたことが2つあります。それは
- 富士通も変わったのかな
- 『プロジェクトX』のような現場ばかりなのかな
これらについて書いてみます。
まず「富士通も変わったのかな」という点。
十数年前の富士通は下方修正が続いており、経済雑誌のインタビューで責任について言及された当時の社長が、逆ギレとも開き直りとも責任放棄ともとれる発言をして一部で話題になりました。
※そのときの社長が何を発言したかについては「東洋経済2001年10月13日号」で検索してください。
「富士通」と聞くと今でもその社長の発言を思い出すくらい、自分にとってはインパクトがありました。
なので、この本に書かれた富士通と、自分の中にある、あるいはかつて語られていた富士通の姿のギャップの大きさに、正直戸惑いを感じました。
かつて低迷していた富士通と今の富士通の一番大きな差は何か。
この本に登場している社員には、その時期にも富士通で働いていたて、その社長の発言を直接目にした人がいると思います。
低迷の時期から現在に至るまで、会社として、あるいは現場の社員が何を思い何を捨て何を残し何を新たに取り込んだのか。
個人的には、その部分をもっと知りたかった。そこがわからないと、現在の富士通の成功が必然なのか「不思議の勝ち」なのか判断がつかないと思ったので。
そして「『プロジェクトX』のような現場ばかりなのかな」という点。
現場の皆さんは、本当にがんばってらっしゃる。頭が下がる思いがします。それは間違いない。
でも、がむしゃらに仕事に取り組み、成果を上げることははもちろん大切だし必要なことだけど、社内に「がむしゃらにやるだけ」しか文化がないとしたら、それは危うさも孕んでいるのではないでしょうか。
がむしゃらにぶつかっていくことが文化の中心にあること自体はいいと思います。でもその一方で、例えば常に冷静に物事を見て進めていく人、何でも一歩引いて見る人がいて、そういう人たちも社内で許容されている方が「強い」んじゃないでしょうか。
様々な視点、姿勢を持つ社員がいることの強みを、富士通は持っているでしょうか。そこをもう少し知りたかったと思います。
「おわりに」に、東日本大震災で被災した福島の工場の話が出てきます。従業員は自宅が被災しているにもかかわらず、率先して工場復旧のためにがれきを片付けました。このことについて社長が
従業員の面々は、自宅が被災しているにもかかわらず、工場復旧のためにがれきを片付けた。製品をお客様に届けるために、自分たちが工場を守る。こういう考え方が徹底していたことが、ものすごくうれしい。これは富士通だけではなく、日本の現場力、日本人の道徳である。世界に対する我々の強みだ
(p201「おわりに」)
と話しています。
おっしゃることは確かにその通り。でもその一方で、被災してもなお会社を守ろうとした従業員、従業員と一緒に被災した家族に対して会社はどう対応したのか。それが少し気になりました。
自分の中にあったイメージと実際の姿、これらの差を通して、富士通に限らず会社のあり方について考えるきっかけになりました。
レビュープラスさん、ありがとうございました。
日経BP社
売り上げランキング: 59
小さな「何か」が大きな差を作る〜「モチベーション3.0」を読んで #rvpl
「モチベーション3.0」は発売前の本ですが、レビュープラスさんより第5章までのゲラを送っていただき、読むことができました。
この本で取り上げられる「モチベーション」は3種類あります。これらは「社会のオペレーティングシステム」とも言うべき、人の行動を決める規範のようなものです。
- モチベーション1.0=生理的動因が行動を決める
- モチベーション2.0=「報酬を求める一方、罰を避けたい」という動機が行動を決める
- モチベーション3.0=「学びたい」「創造したい」「世界をよくしたい」といった動機が行動を決める
5章まででは、モチベーション2.0がうまくいかなくなったのはなぜか、モチベーション3.0がどういうものか、モチベーション3.0によって人はどう変わるか、が紹介されています。
ビジネスの場でモチベーション3.0の存在がクローズアップされたのが、昨今の経済不安で、これまでのアメとムチによる「モチベーション2.0」がうまくいかなくなったことがきっかけであり、経済の複雑化・より高度な能力が必要になってきたからと書かれています。「それがうまく動かない状況になったからこそ、問題点が見えてきた」わけです。
逆に言えば、経済不安のような状況にならなければ、いつまで経ってもモチベーション2.0の問題点は見えてこなかったかもしれない。順調すぎるのも実はよくない、ということなのだろうか。
このゲラを読んでの最大の収穫は、漠然と自分の中にあった疑問に、はっきり答えが与えられたことです。
自分の頭の中に漠然とした疑問がありました。
「仕事のやりがいとは給与明細の数字だけで決まるものなのだろうか」
「仕事は給与明細の数字がすべて、と思っていたら辛くなりはしないか」
自分の周囲限定の話で申し訳ないのだけど、だいたい、自分の給与金額に納得している人は少ない。周囲からうらやましがられるような高給の人であっても不満が多い人はいるし、その不満の裏返しで、自分の高給をやたら自慢する人もいる。
そういう姿を見て、自分は「この人は給料をたくさんもらってるけど楽しくないんだろうな」などと思ったりしていた。
その一方で、給料に不満がありながらも、楽しく積極的に仕事に取り組み、成果を上げている人もいる。
こんな風に、「給与に不満」という点は同じでも、楽しくなさそうな人と楽しそうな人がいるのはなぜか。
単なる金額の多少では計れないものが仕事にはあるのではないか、楽しそうな人は「何か」を持っているから楽しいのだろう、と漠然と思っていたけど、その「何か」の正体が自分には分からなかった。その何かが内発的動機の有無、「モチベーション3.0」と名付けられるものであることに、このゲラを読んで気づきました。
ただ与えられた仕事を与えられた仕事としてだけやるか、与えられた仕事に自分自身が「何か」を見出し、ただ与えられた仕事だけで終わらせないか。最初はわずかな差かもしれないけど、最終的には仕事にも人生そのものにも、大きな差が出てきます。
「何か」を見出すといっても、それは簡単なことではないでしょう。仕事に限らず、やり方を新しくすること、新しいことを習慣にすることは容易ではない。でも、普段の仕事の中で、少しずつ意識することはできるはず。まずは今の仕事の中で「自分ならどうしたいか」「自分はこの仕事とどう関わりたいか」などを意識するようにしたい。
———-
1つ気になったことが。
本文ではなく、大前研一氏による訳者まえがきを読んで感じたこと。
大前氏は「プログラミング=クリエイティブではない作業」という認識があるようです。
クリエイティブではない作業だから、(他の単純作業と同じように) 中国やインドに行ってしまった、とあるけれど、本当にそうなのだろうか。
大前氏が言うところの「プログラミング」は実際には「コーディング」ではないか。
「プログラミング=クリエイティブではない作業」というとらえ方は、そもそも本書でも取り上げられているオープンソースの動きと矛盾するし、大手メーカーでIT技術者として採用された新卒社員の研修がインドで行われたことを説明できないのではないか (このインドでの新入社員研修が現在も行われているかはわからない。しかし数年前、実際にインドで研修を受けた新人技術者と話をする機会があった)。
中国にしてもインドにしても、人口の多さと人件費の安さを背景として、多くの仕事が移ってきているのは事実だ。でも中国は「世界の工場」と呼ばれるが、インドがそのように呼ばれたことは、寡聞にして知らない。この差はどこから来るのだろう。
本書の内容は非常に興味深く、実際に発売された際には是非続きを読みたいと思った。しかし、この大前氏の訳者まえがきだけが残念だった。