月別: 2012年11月

英語・会計・ITは「酸素」のようなものかもしれない〜大前研一「進化する教育」を読んで

レビュープラスさんのご厚意で、「進化する教育 (大前研一通信特別保存版 PARTVI)【電子書籍版】」を読みました。ありがとうございます。

この電子書籍は、大前研一さんが設立したビジネスブレークスルー大学および大学院の紹介と、大前さんが考える教育についてまとめられています。

大前さんは英語・会計・ITを非常に重要視していますが、それはなぜなのか。
英語・会計・ITは「酸素」のようなものかもしれません。
酸素は「自身は燃えず、ものを燃やす力がある」。水素が燃えれば水、酸化アルミニウムならルビーやサファイア。
水素・アルミニウムはそれだけで非常に有用なものだけど、酸素と出会い反応が起きることでさらに用途が広がる。
水素やアルミニウムは「ビジネスの核」。自身の中に「酸素」を蓄えておくことで、「水素」「アルミニウム」に出会ったときに大きな反応をつかむことができるのかもしれない。
わたしはそのように感じました。

そしてもう一つ。グローバルな人材の育成について。
グローバルに通用する能力を持つことの重要性はわかりますが、その一方で疑問もありました。

例えば日本の若者全員が「グローバルに活躍」しなくてはならないのか? 例えばアメリカ人は「全員グローバルに活躍している・できる人材」なのか?

そういう疑問がずっとあったのけど、この本を読んで感じました。
もちろん、全員がグローバルに活躍できるわけではないし、おそらく活躍する必要はないんだろう。全員が経営者になる必要も、おそらくはない。世の中は経営者だけでは成り立たないから。
ただ「グローバルに活躍できる素地」は全員にあった方がいい。
それはその人自身の間口を広げることになるし、間口が広い人が増えることで、社会はもっと良くなる可能性がある。
素地がある人が増えて、そこから飛び抜けたアイディアがある人が増え、ビジネスを起こす人が増え…となっていくのでしょう。

大前さんが考え実践している「理想の教育」について語られたこの電子書籍、非常に興味深く読み進められました。
でもその一方で、読みながらざりっとした違和感をずっと感じていました。口にした肉に砂が入っていたような違和感。
それは大前さんが目指す教育が「直接ビジネスに役立つものしかいらない」という風に感じられたことに由来します。

英語・会計・IT以外の「基礎的な教養」について、大前さんはどう考えているでしょう?
役に立つものしかいらない、という態度は危険ではないでしょうか。
役に立つ物だけで結果を出し続けようとするのは、化学肥料だけで野菜の収穫量を上げ続けようとするのと同じでは?

特に最近、仕事に直接役立つ知識だけが重要、仕事に役立たない教養なんか不要、という考えがあるように感じますが、教養に関して次のような指摘があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中森明夫さんのツイートは政治家に関するものですが、「政治家」「権力者」を「経営者」とか「実業家」に、「市民」を「社員」に置き換えても、十分通用するのではないでしょうか。

大前さんはこの電子書籍の中で

では、親が子供に対して教えるべきこととは何なのか。それは「自分」「家庭」「会社」「国家・社会」に責任を持つ、ということだ。
(10ページ)

と書いてらっしゃいます。これは確かにその通りだとは思います。
教養は教育で身につくようなものではないけれど、でも教養を身につけるために必要な素地は、家庭なり学校教育が教えるべきことではないでしょうか。
英語・会計・ITのことを「酸素」と書きました。酸素は生きるために絶対欠かせないものだけど、その一方で酸素中毒という症状も引き起こすのです。

最後にもう一つ。
最初の方に子供に家の仕事をさせるために、家の仕事を「利権化」する話が出てきましたが、利権化した相手は子供だけで、妻に対しては利権化したのでしょうか。しなかったとしたらフェアではない気がする。

教育という非常に扱いが難しい問題に対して、大前さんがどう考えどう理想に向かっているか。その姿勢と密度の濃い教育の内容を興味深く読むことができました。

レビュープラスさん、ありがとうございました。

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《気になる》出世するキレ方

タイトルを見て「うーん」と思ってしまいました。「出世」と「キレる」がどうしても結びつきません。
これまでに仕事で関わりがあった人の中にキレやすい人は何人かいましたが、あまり出世しない人が大部分でした。
できればキレたくありませんよね。キレたところで、結局自分にも周囲にもマイナスにしかならないことが圧倒的に多いし。

そうではあるのですが、人でも物でも理不尽に遭遇して、それを跳ね返したいときなど、キレたくはない、しかし怒りは表明したい場面はあります。自分の怒りをうまく表現し、ついでに周囲も自分側に引き込めたら、それはいいことかもしれない。
わたしは自分の感情をうまく表現するのがすごく苦手で、感情の中でも怒りの表現はかなり難しいので、怒りの表現の一手法として「スマートなキレ方」に触れるのも一方かもしれません。

 

出世するキレ方
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《気になる》ティッシュボックス ルテラ

「ティッシュペーパーが簡単にウェットティッシュになる」ティッシュケースだそうです。
確かに急にウェットティッシュが欲しくなることってありますね。例えば仕事中、ペンのインクが手に着いてしまったとき。
すぐに手を洗いに行けないときにウェットティッシュが欲しくなります。
しかしウェットティッシュが常備されている場所はほとんどない。そういうときに1枚だけ作れたら便利だ。
ウェットティッシュを作るために、市販の除菌用アルコールを利用するようです。
たティッシュペーパーを湿らせるから、市販のウェットティッシュと比べると、あっという間にぼろぼろになるでしょうが、ちょっと湿ったものがほしい、というだけなら十分かな。

 

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《気になる》殿様と鼠小僧 松浦静山『甲子夜話』の世界

職場にあった週遅れの「週刊新潮」を読んでいたら、旧平戸藩主・松浦 (まつら) 家42代目跡継ぎの結婚に関する記事がありました。
松浦静山の子孫ですね。松浦静山は記事の中では「甲子夜話」の著者として紹介されています。

松浦静山というと「松浦屏風」、そして武術書「剣談」に出てくる「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」が思い浮かびますが、「甲子夜話」は知りませんでした。それで「甲子夜話」を読んでみたいと思って調べていたところ、この本に行き当たりました。
「甲子夜話」自体は東洋文庫に全20巻がありますが、この本はそのダイジェスト版として、そして江戸の社会史を知る本として面白そうです。

 

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《気になる》その日本語、お粗末ですよ!

タイトルを読んで「ああ、そうかもしれませんorz」と思いました。
言葉は難しい。日常的に使う言葉でも、自覚のないまま間違った言葉を使っている場合は結構あるかもしれません。
言葉遣いに気をつけているつもりでも、実際には妙な言葉を使っていることが多いかもしれない。こういう本をテキストに、自分の言葉を振り返ってみる必要がありそうです。

オビにそういう日本語の例として「自分にごほうび」がありますが、これは以前から妙な言葉だと思っていました。
よく雑誌なんかで「がんばった自分にごほうび」という風に使われますが、がんばるのは当たり前のことなのに、当たり前のことをするのにいちいちごほうびが必要なのか? と。
あと「ママ友」。この言葉はどうしてもなじめない。

 

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NHK Eテレ「グレーテルのかまど 内田百閒のシュークリーム」を見た

NHK Eテレ「グレーテルのかまど 内田百閒のシュークリーム」を見ました。たまにしか見ない番組ですが、今回は録画して見ました。

 

ストーリー | NHK「グレーテルのかまど」

 

 

 

 

グレーテル (番組には登場しない) が台所の黒板に書いた「内田百閒おもろい! シュークリームも出てきた。 食べたい! グレ」という言葉から、シュークリーム作りが始まります。

その間に百閒とシュークリームにまつわる逸話、「ティーブレイク」の小話などを挟んで、百閒が愛したシュークリームを再現していきます。

その中で面白いなと思ったエピソードを紹介します。

シュー皮を作りながら「百閒が食べたシュークリームはどんなものだったのか」という話題になり、随筆の一節

 

「…シユークリームを貰つて、そつと中の汁を啜つた…」
中公文庫「御馳走帖」p106「シユークリーム」

 

から、柔らかいカスタードクリームを作ることになりました。

世田谷にある洋菓子屋さんには、職人さん (87歳) のお父様が明治時代に書いたレシピが残っていました。防空壕の中から見つかったそうです。
そのレシピによるシュークリームの再現があったのですが、明治の「外はさくっ、中はふわっ、中身はカスタードクリーム」のシュークリーム、食べてみたいです。

途中で「どんなシュークリームが好きか、銀座の女性100人に聞いてみました」という街頭インタビューがありました。
「柔らかい皮にカスタードクリーム」「柔らかい皮にカスタードクリーム+生クリーム」「硬い皮にカスタードクリーム」「硬い皮にカスタードクリーム+生クリーム」の4種の人気投票です。

結果は

  • 柔らかい皮+カスタードクリーム→12票
  • 柔らかい皮+カスタードクリーム+生クリーム→21票
  • 硬い皮+カスタードクリーム→32票
  • 硬い皮+カスタードクリーム+生クリーム→35票

ちなみにわたしは「硬い皮+カスタードクリーム+生クリーム」が好きです。一番よく食べるのは、サークルKサンクスで売っているパイ皮のシュークリームです。

昔何度かシュークリーム作りに挑戦したことがありますが、皮を焼くのが難しい。失敗した記憶しかありません(^^;

番組を見終わってから、改めて随筆「シユークリーム」を読んでみました。文庫本で2ページにも満たないのですが、読めばシュークリームが食べたくなります。「御馳走帖」はそんな話が多く、危ない本ですw
この番組は過去にも文豪が何人も紹介されていますが、今回は百閒先生で特に楽しかったです。
番組冒頭で「百閒っていったい何者?」ってナレーションがあったように、確かに一般に広く知られている人ではないかもしれないけど、怖い句手不思議な小説、楽しい随筆、どちらも読んでいてとても楽しい。

ところで「グレーテルのかまど」のレシピが本になったんですね。

 

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《気になる》古本の雑誌

古本は、自分にとって未知の世界です。神田神保町によく行っていた頃も、古書店はショーウインドーをのぞいたり店頭の棚を眺めるくらいで、店内に踏み込んだことはありません。
偏見かもしれませんが「はまったら怖そうな趣味」と思えるものがいくつかあり、そのうちのひとつが古本だったりします。古本で財産をつぶすことがあるかどうかわからないけど、底なし沼が待っている気がします。
そんな怖さを感じる古本の世界ですが、でもちょっとのぞいてみたい。怖い分楽しい未知の世界があるかもしれないから。「古本の雑誌」はその「古本の世界をちょっとのぞいてみる」のによさそうです。
「本の雑誌」はかつて購読していましたが、最近は遠ざかっていました。これを機会にまた手に取ってみようかしら。

 

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《気になる》脳は美をどう感じるか: アートの脳科学

わたしは「脳科学」というものがよくわかりません。よく「○○は脳科学的に見ると***で…」といった表現が多くありますが、なにがどう「脳科学的」なのか不明なものが多いように感じます。
この本も副題に「脳科学」が入っていて、その部分には「?」となりましたが、題材にはとても興味を感じます。
アートに限らず、何かを見たときに「美しい」と感じるのは、なぜなんでしょうね。
そして「美しい」とはどういうことなのか、これに答えるのはとても難しい。それでも人は、何かを「美しい」と感じる。
とても不思議で、面白い現象だと思います。

 

余談ですが、わたしが「美しい絵」で最初に思い浮かべたのが、長谷川等伯松林図屏風」です。

 

脳は美をどう感じるか: アートの脳科学 (ちくま新書)
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《気になる》見えない都市

数日前からリチャード=ブローディガンアメリカの鱒釣り」を読んでいます。これは訳者 (藤本和子) への興味から読み始めたものです。今1/3ほどを読み進んだところですが、言葉のリズムも文字のリズムもいい、読んでいて気持ちがいい文章です。
本文を読み始める前に、巻末にある柴田元幸「『アメリカの鱒釣り』革命」を読んだら、「(柴田元幸さんにとって)文庫化されるべき外国文学ベスト3」というのがありました。その3作品は「アメリカの鱒釣り (2005年文庫化)」「見えない都市 (2003年文庫化)」「百年の孤独」。わたしはどれも読んでいません。
「見えない都市」は、今年前半に読んだ董啓章「地図集」にも出てきました。「地図集」は「道に迷う楽しみ」を存分に味わえる本でした。

日々本をチェックしていますが、異なる本で同じ作品への言及に出会うことはほとんどないので、これもひとつのきっかけだと思って読んでみようと思います。

 

見えない都市 (河出文庫)
イタロ カルヴィーノ
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アメリカの鱒釣り (新潮文庫)
リチャード ブローティガン
新潮社
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百年の孤独 (Obra de Garc〓a M〓rquez (1967))
ガブリエル ガルシア=マルケス
新潮社
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地図集
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《気になる》入社10年目の羅針盤

わたしは新卒で入社10年目、という時期はとうに過ぎてしまいましたが、今思うと10年目くらいが一番しんどかったなと思います。
仕事そのものの量が多くて大変だったのと、仕事内容などで大きく変化が起きていた時期だからです。変化による戸惑いも大きく、心身ともに相当に疲れていました。よくあそこでつぶれなかったな、と思うくらい。
今は仕事そのものも環境も変わり、そこまで大変なことはなくなりました。それでも小さな変化はいくつも訪れ、仕事に対して思うところも様々あります。
働く年数が増えるごとに見えてくるものもあるけれど、同時に影がかかったようにぼやけるものもあります。「10年目」という年数にこだわらず、働き続ける自分を振り返る教科書として役立ちそうです。

 

入社10年目の羅針盤
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