投稿者: sazanami

訳わからんけど面白かった〜青い脂

第3回Twitter文学賞・海外部門第1位になったこの小説。正直言って訳がわからなかったです。でもむやみと面白かった。

 

Twitterの投票で選ばれたこの本が面白い!!ー第3回Twitter文学賞まとめ – NAVER まとめ

 

お下劣お下品満載でグロも結構あるので、読む人を選ぶと思います。グロさで何度か「うへぇっ」ってなってしまいましたが、それでも面白くて読み進めていけました。

「青い脂」というのは、未来のロシアにある研究所で文学クローンに小説を書かせて生産される謎の物質…なんですが、結局これがなんなのか、最後までわかりませんでした。
文学クローンはトルストイ4号・チェーホフ3号・ナボコフ7号・パステルナーク1号・ドストエフスキー2号・アフマートワ2号・プラトーノフ3号。そしてその文学クローンが書いた作品も掲載されているのですが、これも訳がわからない。それぞれの作家の作品のパロディなので、ロシア文学に詳しかったらもっと楽しめたかもしれません。
そして後半はスターリンにフルシチョフなどなどが登場し、グロくてドロドロの世界が広がります。こちらの方が話としてはまだわかりやすかった。

一番印象的ですごいと思ったのは、短い挿話「水中人文字」です。これは松明を持って川に入り、その松明で人文字を作る兵士の話です。人文字は人々を扇動する文句を何キロ何時間にもわたって表現します。その泳者の一人、ロシア語文の重要パートを任される非常に有能な兵士の話なのですが、これが妙に心に刺さりました。
この話自体もあっと驚く方法というか状況で書かれています。

最初から最後まで訳がわからなかったけど、まあ別にいいか面白かったし、という気分です。

 

青い脂
青い脂

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《気になる》ヘタウマ文化論

わたしが「ヘタウマ」という言葉初めて聞いたのは、20数年前です。その頃ヘタウマと呼ばれるイラストレーターが多く登場した記憶があります。
なのでヘタウマ自体は新しい概念だと思っていたのですが、実は江戸庶民文化にも遡れるとは驚きです。文化の中にどんな風にヘタウマが生きてきたのか、興味深いです。

わたしが「ヘタウマ」でまず思い出すのが沢野ひとしさんです。
ヘタウマ絵を見て「これくらいなら自分でも描ける」と思ったとしても、実際には描けないものです。わたしは絵がまったくと言っていいほど描けないので、そういう絵を描く人を尊敬してしまいます。
もちろん「文句なくうまい人」も尊敬しています。しかし文句なくうまい人のようにはどうやったって描けないけど、描けそうに見えてやっぱり描けない絵を描けることは、やはりすごいと思うのです。

 

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《気になる》たたかわない生き方

ファッションの世界には疎いですが、評論家として長く第一線で活躍している大内さんのことは知っています。
最近「勝つための」とか「生き残るための」という言葉が本などにあふれている中、「たたかわない」という言葉が光って見えました。
生きていくためには戦わなくてはならないこともあるでしょう。しかし戦ってばかりの人生は疲れるし、なんだか寂しい。
戦うには強さが必要だけど、戦わないためにも強くなくては。言葉では同じ「強い」でも、あり方はかなり違うでしょう。
あえて戦わない選択をして、しなやかに生きていくためのヒントに出会えそうです。

 

たたかわない生き方
たたかわない生き方

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《気になる》気になる科学 (調べて、悩んで、考える)

著者は確か毎日新聞「理系白書」のキャップをしていた方です。現在は科学環境部のデスクになっているのですね。
理系白書は新聞連載時にwebで読んだ記憶があります。多分全部は読んでいません。

Amazonのこの本の紹介文に

これを読んだら、もう理科は苦手、理系嫌い、なんて言えなくなります。

とありました。ここがとても気になります。
最初科学の最新トピックをざざざっと知るにはよさそうだなと思ったのですが、理科嫌いと言えなくするための強力な何かがあるのでしょうか。

 

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余談
2004年に日本科学未来館で開催された「理系白書シンポジウム」を見に行きました。
このとき著者もパネラーとして登壇していました。
著者は高校で文転したそうですが、理系科目がなぜ嫌いになったかについて「(理系科目そのものではなく) 授業が嫌いだった」という趣旨の発言をなさっていました。
確かに文系理系問わず、科目そのものではなく授業または先生が嫌いで、結果としてその科目が嫌いになった人って多いかもしれません。

 

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《気になる》名作うしろ読み

名作のラストを集めた文学案内です。「いきなり最終回」の文学版と言えるでしょうか。
書き出しが有名な小説でぱっと思い浮かんだのは、ポール=ニザン「アデン、アラビア」。確かにラストよりは書き出しの方が印象に残りやすいし話題になりやすいと思います。
ラストはやはりネタバレと隣り合わせになるから、話題になりにくいのでしょうか。

小説の書かれ方はいくつもあるでしょう。まず書き出しの1文が思い浮かんで進められるもの、ラストシーンが先にあって、そこに向かって書き進められるもの。
この書き方が正しいとか優れているというのはありませんが、もしラストシーンが先にあったのなら、なぜそのシーンなのか、そこに向かうために作者はどうあがいたのか、それを追いかけるのも楽しい読み方のひとつだと思います。

 

名作うしろ読み
名作うしろ読み

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いきなり最終回—名作マンガのラストシーン再び (1) (宝島文庫)
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アデン、アラビア/名誉の戦場 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-10)
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「豆乳飲料健康ラムネ」を飲んでみた

先日スーパーで衝動買いをしてしまいました。買ったのは紀文の「豆乳飲料 健康ラムネ」。

 

豆乳飲料健康ラムネ
豆乳飲料健康ラムネ

 

わたしは普段豆乳を飲みません。このときはブリックパックの野菜ジュースを買おうとしていたのですが、視界の端にこれが引っかかり、つい買ってしまいました。
なぜ豆乳でラムネなのか。全然わかりません。
実際に飲んでみると、確かにラムネの味がします。飲んだ感じは乳酸菌飲料に近い。おいしいと思いました。でもラムネとも乳酸院飲料とも豆乳とも違う、なんとも形容しがたい味です。
これをきっかけに豆乳を飲むようには…きっとならない。
以前同じく紀文のバニラアイス味の豆乳を飲んだことがありますが、これもバニラアイスの味がするのに舌触りがバニラアイスじゃない、おいしいけど妙な飲み物でした。

紀文のサイトを見ると、豆乳だけでもいろんな味があるんですね。大部分は味の想像がつきません。

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よいマネージャーの武器とは〜MBA流 チームが勝手に結果を出す仕組み

レビュープラス」さんから「MBA流 チームが勝手に結果を出す仕組み」を献本いただきました。ありがとうございます。
長くスタッフとして働いてきて、リーダー経験のないわたしにとって、この本はまず「理想のリーダーはどんなものか」「組織を動かしていくために必要な力とは何か」を知るきっかけになりました。

「マネージャー」はどんな存在でしょうか。企業の構造を大きく「トップ」「マネージャー」「現場」と考えると、マネージャーは「トップの考えた戦略を、実現のための具体的な行動に落とし込んでいく参謀」にあたります。どんなに立派な戦略が立てられても、具体的に行動できなければどうにもなりません。
そして成果を上げようと行動しても、うまくいかないこともあります。そんなとき、うまくいかない原因が必ずあるはずです。因果関係を見抜き、問題解決ができるのがマネジメントコントロールです。
マネージャーの武器ともいえるのが

  • 行動コントロール = マニュアルやひな形の作成などを通して誰がやっても同じ結果を出せるようにする。正確性と効率性の追求
  • 結果コントロール = 売上や顧客満足度などの目標となる成果を設定し、達成する方法は各個人に任せる。個人による柔軟な対応が可能
  • 環境コントロール = 組織の文化を作る根本的な要素をコントロールする。組織に人をひきつけ、同じ価値観を持つ共同体を作る

の3つ。組織のマネジメントは「行動」「結果」「環境」の3要素をコントロールし、最大の成果を目指すことなのです。

今まで色々な上司の下で働いてきました。いい上司もいればどうしようもない上司もいました。振り返ってみると、いい上司は確かにこの本に書かれたコントロールがうまくいっている人だったように思います。具体的に何をやるべきかの指示が適切であったり、トラブルが生じたときの問題の切り分け方、それに伴うアドバイスが上手な人など。その上司が意識していたかどうかはわかりませんが、「行動」「結果」「環境」の3要素をうまくコントロールできていたのですね。

そしてマネジメントコントロールの考え方は、組織だけではなく個人で何かをやるときにも応用できそうです。
資格を取るための勉強でもいい。自分が何かに取り組みたいとき、「自分一人の組織」をどうやって目標に向けて動かしていくか。目標達成のための戦略を立て、行動・環境・結果のそれぞれで具体的にどうすべきか考え自分を動かしていく。
「実行する自分」「マネジメントする自分」を意識すると、ただ闇雲に取り組むより上手にやっていけそうです。
もちろんここに書かれた手法をそのまま当てはめることはできませんが、セルフマネジメントのヒントとして役立ちました。

リーダー論として、(セルフ) マネジメントのヒントとして楽しく役立ちました。
レビュープラスさん、ありがとうございました。

 

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《気になる》幸せの女神は勇者に味方する 人生の新しい扉を開く50の提言

BOØWY全盛の頃、わたしは中学生でした。友人が大ファンで、地元のレコード店に貼られていたBOØWYの巨大ポスターをくれと店長に掛け合い、「いや、これは1万円出すと言われても譲りません!!」なんて言われていたことがありました。
わたしはファンではありませんでしたが、当時の盛り上がり方はよく覚えています。
去年布袋寅泰がロンドンに渡り一から腕試しをする、という記事を読んだとき「ああ、だから彼はここまで残れたんだな」と思いました。50歳という年齢で、それまでのキャリアを投げ打って外に飛び出していく力があるから、ギタリストとしてここまで名を挙げることができたんだと思ったのです。

人生の中で「勇者」であり続けることはとても難しいと思います。布袋寅泰自身も、新たに踏み出すまでに葛藤があったかもしれません。そこをどうやって超えていったのか、興味があります。

 

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《気になる》憧れの「野生動物」飼育読本

「高校生のための文章読本」に、森茉莉「猛獣が飼いたい」という文が収録されています。もともとは「贅沢貧乏」というエッセイ集に収録されている文章です。そこに書かれている、猛獣に囲まれて暮らしている若い女性は実在していないと思いますが、でもあこがれます。
この本に猛獣の飼い方が書かれているかはわかりません。実現はほぼ不可能でしょうが、猛獣に限らず野生動物を飼う生活は非常に贅沢だなと思います。飼えるものなら象やコアラを飼ってみたい。

象もコアラも東山動物園にいます。もし家が近かったら、年間パスポート買って毎月通うかも。

 

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《気になる》SF JACK

著者の中に新井素子の名前を見つけて、読んでみたくなりました。
中学の同級生が新井素子の大ファンで、彼女にコバルト文庫版の作品 (作品名失念) を借りて読んだのが、新井素子に出会うきっかけでした。
特に印象に残っている作品は「ひとめあなたに…」「くますけと一緒に」。どちらもとても怖くて、でもそれがすごくよかった。
「ひとめあなたに…」は、荒井由実「チャイニーズスープ」を歌いながら料理をする女性のエピソードがあまりにも恐ろしく、身の毛がよだつ気がしました。
「くますけと一緒に」は、今わたしが持っている唯一の新井素子作品で、これも読んでいてとても怖かった。怖すぎて再読はできないと思ったけど、でも絶対手放したくないと思っています。

わたしは彼女の書くサイコホラーが好きなのかもしれません。
でも新井素子はあくまでSF作家なので、今の新井素子が書くSFを読んでみたいです。

 

SF JACK
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新井 素子 上田 早夕里 冲方 丁 今野 敏 堀 晃 山田 正紀 夢枕 獏 吉川 良太郎 山本 弘 宮部 みゆき 瀬名 秀明 小林 泰三
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