カテゴリー: 本の話
《気になる》Decodeunicode
約11万個のUnicodeをひたすら並べた本です。どんな風に並んでいるのかはわかりません。順序はコード順でしょうか。2012年度「世界で最も美しい本コンクール」の入選図書なので、並べ方も一筋縄ではないはず。
書かれているのは自分が知らない文字が圧倒的に多いはずです。記号だって同じはず。文字そのものだけでなく見せ方も含めて「未知の文字に出会う楽しみ」を存分に味わえそうです。
Schmidt Hermann Verlag
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《気になる》家事のニホヘト
実家で暮らしていた頃から一人暮らしを経て現在にいたるまで、さぼりつつも毎日家事をこなしています。
家事はさぼろうと思えばどこまでもさぼれるし、突き詰めれば際限がない。ちゃんとやるには「イロハ」がまず大切だけど、一歩進んで「にほへと」がわかれば、もっと合理的に楽しく効果的にやれるのかなぁ、と思いました。
あんたは「イロハ」の部分がちゃんとできているのか、と言われると心許なかったりもしますが。なんとなくやっちゃってる部分も多いですからね。
「○○のニホヘト」という表現は寡聞にして知りませんでしたが、どこを目指しているかがわかりやすくて面白いですね。
《気になる》ニュースの裏を読む技術 「もっともらしいこと」ほど疑いなさい
気になる書き手のひとり、深澤真紀さんの新刊です。
毎日様々なニュースが聞こえてきます。新聞やテレビを見てそこに書かれていることを「あーそうなんだ」と、そのまま受け止めてしまうことは結構あるけれど、本当はそれではいけませんね。
訓練された記者とはいえ誰かによって書かれた記事である以上、その記事が本当に「客観的」であるとは言えないし、その記者の主観が前面に出てる可能性だってあるから。「ここにはそう書かれているけど、本当にそうなのか?」という視点を持たなくてはいけないと思います。
この本はニュースだけに頼らず、視界を広げるのに役立ちそうです。
PHP研究所
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《気になる》超情報化社会におけるサバイバル術 「いいひと」戦略
社会でのサバイバルのために「できる人」になろうという意見が多い中、「いいひと」というのは唐突に感じました。しかし同時に「あーそうかも」と思いました。
特に悪評がすぐ広まってしまう時代には「いいひと」であることは武器にもなるし防具にもなりますね。「いいひと」であることで他人からの攻撃が減り、他人に対しても「攻撃的ではありません」と示すことができる。
戦略として「いいひと」になるという表現に違和感もありますが、こういう人間でありたいという志向としては「できる人」であるのと差はありませんね。
わたしももちろん「できる人」になりたいけど、それ以上に「いいひと」であることができればいいと思いました。
わたしが「いいひと」で思い浮かべたのが
- 人に対して親切である
- 他人の悪口を言わない
- 人とのコミュニケーションに支障がない
- 例え機嫌が悪いときでも、あからさまに不機嫌な顔を見せたりしない
などです。自分自身がこれらをちゃんとできてるとは言い難いので気をつけないと。
マガジンハウス
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今年もいい本に出会えた〜2012年の5冊
2012年も、いい本に出会いました。今年読んだ本から、特によかった5冊を紹介します。
半分のぼった黄色い太陽
2段組で厚さ3cm超あり、読むのに1ヶ月かかるかと思ったけれど、引き込まれて1週間で読了。「読まされてしまう力」のある小説だと思いました。ビアフラ戦争の悲惨さと壮大なラブストーリーを両立させた、すごい小説です。
河出書房新社
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オスカー・ワオの短く凄まじい人生
TRPGやSF、カリブ海の呪い、英語とスペイン語がない交ぜになった、むちゃくちゃ面白い小説でした。家族、友人、色々な人生と歴史が折り重なる、大きなうねりに身を任せる楽しさ。表紙も内容にぴったり。
新潮社
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アライバル
ショーン=タンが日本で広く知られるようになったきっかけの1冊。わたしは洋書で読みました。息をのむほどの絵の美しさ、新天地に到着した人々への視線の優しさ。つらい気持ちをふわりと解いてくれるような絵本です。
屍者の帝国
伊藤計劃の「新作長編」が読めたことと、わずかなプロローグからこれだけの物語を紡ぎ出した円城塔に拍手を送りたい。世界を股にかけた大冒険小説。とても楽しく読めました。
そして可能なら、ぜひ続きを書いてもらいたい。物語の最後で目を開いたフライデーのその後が読みたい。
ナチスのキッチン
第1次大戦後からナチス時代の、ドイツの台所・食事の変遷を追った研究書で、非常に興味深いものでした。台所という場の変遷、食べることの意味の変遷。台所というありふれた場所の持つ意味が、この本を読むことで変わります。「ナチスのキッチン」は、現代日本と無縁な場所ではありません。食に関心がある人はぜひどうぞ。
去年くらいから古典・外国文学・SFを中心に読んでいこうと思い、これらを中心に探してきました。その中でも外国文学の面白さに触れることができた1年だったと思います。
今年はあまり古典を読まなかったので、来年は読むようにしたいです。
《気になる》空想法律読本
「空想科学読本」は知っていましたが、「空想法律読本」もあるとは知りませんでした。
確かにSF作品も例えば舞台が日本なら、その世界は日本の法律に則って動いているはず。架空のキャラクターといえども法律の縛りを受けるかも。そういう観点があるとは考えもしませんでした。
日常生活ではっきり法律を意識する場面はそうあるものではありません。でも法律は確かに自分たちの生活を縛っている。それをSFに当てはめたら、思いもよらないものも出てくるのかもしれない。
法律自体には全然詳しくありませんが、面白そうな本です。
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《気になる》たった3行のシンプル手紙術—仕事も人間関係もうまくいく“手書きフレーズ”
昔は手紙魔でした。週に何通も手紙を書いて (出す人は何人かいた) 出していました。
その反動かどうか、現在は手紙だけでなくメールもほとんど出さなくなりました。書くこと自体が嫌いになったのではないけれど、手紙からは遠ざかりました。書いているのはビジネスメールばかりです。
遠ざかってはしまったけど、手紙はやっぱりいいですね。年賀状のちょっとした一言だけでも、手書きの分を読むとほっとする。
手紙を書こうとなると、どうしても改まってきちんと書かねば、と思ってしまいますが、普段の手紙ならもう少しシンプルに気負わず書いてもいいのかもしれませんね。手書きの力は意外と大きいのだから。
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《気になる》酔って記憶をなくします
わたしは酒が飲めません。周囲に飲む人間はかなりいますが、酔ったあげくに記憶をなくした人はいなさそうです。自分が知らないだけかもしれませんが。
このタイトルで思い出したのが、大学で習った社会学の先生です。この先生は酒がまったく飲めない人で、こんなことを言っていました。
僕はまったく酒が飲めないからね、駅なんかで飲んだくれてべろべろの人を見ると、妬ましくてしようがないんだよね
そしてわたしの元上司。大酒飲みではなく、ほどほどに飲む人です。忘年会か何かの時に言っていました。
酔っぱらった時間をまったく過ごせないなんて、酒が飲めない人は損してると思うよ
わたしは酔った人を妬ましいと思ったことも、酔えなくて損してるとも思ったことはありません。しかし「酔う」とは不思議な状態ですね。
現実に、記憶をなくすほど飲んだあげくに事件を起こされるとたまったものではありませんが、読み物ならば「ひで〜〜」と笑ってられるからいいかも。いったいどんなぶっ飛んだ話が出てくるやら。
《気になる》ふたりの微積分——数学をめぐる文通からぼくが人生について学んだこと
数学をめぐる文通。うらやましい。
わたしは大学で数学を勉強したけれど、典型的「数学のできない数学科の学生」でした。そういう学生だったせいか、学部の先生で仲がいい先生は少なかったです。一般教養の先生の方が仲がよかったくらい。高校時代は2年3年の担任が数学の先生で、この人には授業でも授業以外でも本当にお世話になりました。残念ながらこの先生は、心臓の病気で10年ほど前に亡くなられました。
でもできない学生だったからこそ、数学のみの文通を30年間も続けた生徒と先生の関係にあこがれます。数学の話の間に流れていく人生、いったいどんな世界が展開しているのだろう。
岩波書店
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《気になる》12月25日の怪物: 謎に満ちた「サンタクロース」の実像を追いかけて
いよいよクリスマスが間近に迫ってきました。わたし自身はクリスマスだからと特に何かするわけではありません。去年は取引先から職場にクリスマスケーキが贈られ、さらに大ボスがアイスケーキを買ってきたので、終業後にみんなで分けて食べました。冬のアイスケーキは、冷え性の人間にはつらいです(^^;
クリスマスの由来、サンタクロースの由来、どちらも一般的な話は知っていますが、本当のルーツは何なのかとなるとほとんど知りません。サンタクロースに限らず、伝承されていく内に由来が違った形で伝えられていくこともあるでしょう。
タイトルに「12月25日の怪物」とありますが、確かにサンタクロースは怪物かもしれない。世界中にその名を知られ、だけど正体はわからない。クリスマスを前に、そういう不思議で楽しい存在のルーツをたどるのも一興かも。
草思社
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