カテゴリー: 本の話
《気になる》ロスト・シング
「2011年の10冊」にも入れた「遠い町から来た話」。この本の作者ショーン=タンの最新刊です。「遠い町から来た話」と同じく岸本佐知子さん訳。
「遠い町から来た話」は図書館で借りて読んだのですが、読了後すぐさま買いに走りました。
こんな素晴らしい本は、ちゃんと手元に置いておかなきゃならないと強く思ったのです。美しい絵と美しいストーリー、美しい言葉。
今回もきっと間違いない。美しく新しい世界にひたりたい。
「ロスト・シング」って、映画になってアカデミー賞まで受賞してたんですね。日本公開はないのでしょうか。公開されたら見に行きたい。
ところで明日、代官山蔦屋書店で「岸本佐知子さんミニトーク&サイン会」などという、素晴らしすぎるイベントがあるではありませんか。行けませんがorz
《気になる》眠る鉄道 SLEEPING BEAUTY
朽ちていく鉄道 (車両) は見たことがありません。現役を引退した車両自体は佐久間レールパークで見たことはありますが。
廃墟ブームというものがあって、実際に廃墟に向かう人もいるし、廃墟の写真はネット上にも多くあります。
なぜ人は、命を失い崩れていくモノに惹かれるのだろう。
自分がこの写真集に惹かれるのは、それが見たことのないもの・見たことのない風景であり、消えゆくものの姿を見ておきたいという気持ちがあるからかもしれない。
この写真集のタイトル「SLEEPING BEAUTY」。役目を終え、うち捨てられ朽ちてゆく廃車の写真にこの語はふさわしいかもしれない。
写真家・編集者は、これとは全く違う「SLEEPING BEAUTY」という写真集のことが念頭にあっただろうか。
余談
「スリーピングビューティー〜禁断の悦び〜」という映画もあるんですね。これを書くために検索して知りました。
《気になる》あなたは欠けた月ではない
「欠けた月」って、印象に残ることばです。
自己啓発に関わる本のテーマは「新しい自分を見つけよう」「短所を長所に変えよう」といったものが多いように感じます。
これらはもちろん大切なことなんだけど、でもそれ以上に「今の自分を見つめ直そう」「無理に自分を変えず、あるものを活かすことを考えよう」という考え方が重要だと思っています。自分を変えること、新しい自分を見つけることにもがいた末、今の自分を受け止めることの大切さに気づいた、といえるかもしれません。
しかし「今の自分を受け止める」ことは、新しい自分を見つけることと同じかそれ以上に難しいことではあるのですが。
光野桃さんは名前しか知らない人です。ちゃんと文章を読んだことは、おそらくありません。
文章を目にする機会だけなら、光野さんの元同僚、齋藤薫さんの方が多いかも。
30代〜40代女性向けのエッセイ。この手の本はあまり読まないのですが、これは気になります。やはりタイトルが印象的だったのと、本のテーマが今の自分に近いせいでしょうか。
《気になる》「世界征服」は可能か?
世界征服。奇妙な魅力を持つ言葉です。明快だし、達成されたときの痛快さはこの上ないものでしょう。
でも征服するべき (されるべき) 「世界」って、そもそもなんなのでしょう。
これまでアニメやまんがで世界征服が扱われた例は非常に多いけれど、ちゃんと見てきていないのでそんな疑問が浮かんできました。
「世界」とはなんぞや。
これは非常に難しい。わたしの頭で一生懸命考えたところで、死ぬまで答えは出ないでしょう。
それはともかく、「世界征服とは何か」を徹底的に考えようとするこの本。支配者のタイプ診断のあるみたいで、おもしろそうです。
筑摩書房
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《気になる》評伝 ナンシー関 「心に一人のナンシーを」
ナンシー関が亡くなって今年で10年。生前からずっと「なんとなく気になる人」であります。
わたしはテレビをほとんど見ないので番組とか芸能人のことは知りませんが、それでも雑誌コラムを読んで彼女の鋭さは感じ取れました。
あの観察眼・批評眼、文才はすごい。
「心に一人のナンシーを」とは、非常にうまいと思いました。自分を保つ、あるいは近づくにせよ遠ざかるにせよ世界との距離をうまく取るために、彼女のような存在を心の中においておきたいと思う。心の中にナンシー関をおいておくこと、ナンシー関をナンシー関のまま保ち続けることはとても難しそうだけど。
彼女が死んだ直後、新聞に追悼コラムが載りました (書き手失念)。切り取って持っていましたが、何度かの引っ越しを経て紛れてしまい、今はもうありません。
朝日新聞出版 (2012-06-07)
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余談
一度だけ、彼女を間近で見たことがあります。
1996年6月2日、日比谷野外音楽堂で開催されたムーンライダーズの20周年記念ライブ。わたしは立見だったのですが。柵に寄りかかって開演を待つわたしの横を、指定席に向かって足早に通り過ぎたナンシー関。自画像そのままの人でした。彼女が手に座布団を持っていたのを、なぜかはっきり覚えいています。
《気になる》72歳はとバス名物ガイドが教える 使える!通じる! おやじギャグ英語術
このタイトルを見たとき「どう反応したらいいのだろう」などと思ってしまいました。
そもそもおやじギャグは日本人以外にも通じるのか、とか。
バスガイドに男性 (しかも年配の) がいるとは知りませんでした。バスガイドの男女比は、飛行機の客室乗務員と似たようなものなのでしょうか。
英語にせよ日本語にせよ通常のビジネスシーンでギャグを言うのは難しそうだけど、それ以外ではお互いが会話とコミュニケーションを楽しむために、ギャグは確かに武器になる。別に難しいことを言う必要はないし。
笑いを生み出すことは、それだけでコミュニケーションの武器になりますしね。これは日本人同士でも外国人相手でも同じでしょう。笑えるポイントは、外国人との間にも意外と多くあるのかもしれません。
英語で話そうとする時「正確に」「きちんと」話したいと思ってガチガチになってしまいがちなのですが、気にせず笑っていくのもいいかもしれませんね。
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《気になる》音楽物語「ぞうのババール」
定番の絵本「ぞうのババール」。20年ほど前に忌野清志郎朗読・高橋アキピアノのCDが発売されました。わたしはそれを友人の清志郎ファンから借りて聞きました。
最初「清志郎が朗読? どんなんだ?」などと思ったのですが、落ち着いた語り口で意外と物語にはまっていたのが印象的でした。朗読もピアノ演奏も、どちらも物語にぴったりでよかった。
だいぶ前に絶版になりましたが、復刻されたのですね。もう一度聞いてみたいです。
「ぞうのババール」は友人から借りて聞きましたが、同じような朗読+音楽という形式のCDで「星の王子さま (森本レオ・中嶋朋子・岸田今日子朗読)」「雪のひとひら (矢野顕子・ピーター=ゲイブリエル朗読。日英2枚組)」を購入して聞いています。ただ、どちらもすでに手元にはありません。
Disc Classica (2012-05-02)
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《 気になる》〈狐〉が選んだ入門書
〈狐〉は匿名書評家です。80年代の日刊ゲンダイに週1回掲載されていた匿名書評コラム「狐の書評」の書き手で、取り上げられる本もさることながら文章自体がおもしろい、という評判になりました。「狐の書評」の存在は、当時の本の雑誌で知りました。
書評は800字程度で、読んでいてとても楽しい文章ばかりです。単純に読んで楽しく、その本の持つ良さが短い言葉で的確に語られ、「読みどころ」のようなものがストレートに伝わってくるのです。
その匿名書評家〈狐〉が選んだ入門書ガイド。取り上げられている分野は言葉・古典文芸・歴史・思想史・美術。自分が興味ある分野ばかり。平易で読みやすく、自分の視界を開いてくれる本に出会えそうです。
かつて書かれた書評は「水曜日は狐の書評 (読書記録はこちら)」や「もっと、狐の書評」などで読むことができます。
筑摩書房
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《気になる》中高年のための文章読本
タイトルだけ見て、「高校生のための文章読本」が文庫になったかと早とちりしました。
「高校生のための」と「中高年のための」だと、何が違うだろう。
高校生が「手つかずの未来をたくさん抱えた存在」だとすれば、中高年は「たくさんのものに手をつけて何かを手に入れたor失った存在」といえるでしょうか。
文章を書くことについて年代で区切ることにあまり意味はないかもしれませんが、根本は同じでもそれぞれにとってよりよいアプローチは違ってくるかもしれませんね。
今の自分・これからの自分がどう考え、どう表現するかについてのヒントがありそうです。
高校生のための3部作「高校生のための文章読本」「高校生のための批評入門 (これは文庫になっている)」「高校生のための小説案内」は、すべて「超絶おすすめ」です。高校生が読むだけなんてもったいない。「読む」「感じる」「考える」「表現する」の基本に立ち返れる本だと思います。
筑摩書房
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《気になる》秘密基地の作り方
子供の頃に作ったことがある「秘密基地」。今考えるとそこは近所のちょっとした隙間でしかないのですが、その隙間に見出した秘密基地遊びはとても楽しかった。
この本はそういう秘密基地の作り方をまじめに考察した本のようです。秘密基地で1冊成り立つというのがすごい。秘密基地は子供の遊びではあるのだけど、真剣に考えれば大人でも十分通用する教訓とかテクニックが見つかるのかも。
役に立つとか立たないとか、そんな些末なことはどうでもいい、なんだか妙にわくわくを感じる本です。
Amazonの内容紹介に
「秘密基地的な想像力」
という言葉が出てきます。こういう想像力は生きる上で大切かも。
実際の秘密基地を作らなくても、自分が生きている時間・生きている社会に隙間を見つけ秘密基地を見出すことは、自分をすり減らさないためにも、あるいは新たなチャンスを見つけるためにも絶対必要だと思う。
日本キチ学会なんてのもあるんですね。大まじめにこういうことを考える人、好きです。