カテゴリー: 書評

なぜこんなにも美しいのか〜アフリカの日々

高校生のための文章読本」に、この作品から「イグアナ」という2ページほどの短い文が収録されていたのですが、とても美しい文章でした。これは出典を読まねばと気になり、今回やっと手に取りました。

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こんな風に読めたら、こんな風に表現できたら〜心と響き合う読書案内

この本は日経ビジネスオンラインの千野帽子さんのコラム (2ページ目以降は会員のみ購読可。この本は2ページ目に載っています) で存在を知ったのですが、これをすでに読んでいた@shinomeiさんが貸してくれました。ありがとうございます。

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これはすごいものを読んだかもしれない〜食魔

岡本かの子を読んだのは初めてです。
嵐山光三郎「文人悪食」で紹介されていた「家霊」「鮨」という2つの小説を読んでみたくて手に取りました。

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自分も「イエス」と言えるように〜それでも人生にイエスと言う

今年の春に「夜と霧」を読みました。その後、「夜と霧」を手渡してくれた stilo から「読め」と言われた本です。

この本は、著者が強制収容所から解放された翌年の行った講演をまとめたものと、訳者によるこの講演内容や著者の思想への解説で構成されています。
著者は講演の中で、強制収容所での生活や医師としての経験から、「どんな人生にも意味がある」ことを説いています。
その核心は

…私たちが「生きる意味があるか」と問うのは、はじめから誤っているのです。つまり、私たちは、生きる意味を問うてはならないのです。人生こそが問いを出し私たちに問いを提起しているからです。私たちは問われている存在なのです。私たちは、人生がたえずそのときそのときに出す問い、「人生の問い」に答えなければならない、答を出さなければならない存在なのです。生きること自体、問われていることにほかなりません。…
(p27「人生が出す問いに答える」)

という言葉に収斂されると思います。
しかし、人は「この人生にはどんな意味があるのか、生きることに意味があるのか」というように、この言葉とは逆に考えがちなもの。人生の問いに答えること、自分たちが問われている存在であることを理解し、その問いに答えるように生きていくことは、実は結構難しいことなのではないかと思いました。
しかし人生は思い通りになるものではないけれど、自分で動かしていかないと動かないものであるのも事実。自分の人生をどう動かしていくか、どう動かしていきたいかを考え、動かそうと行動していくことは、人生の問いに答えることにつながってくるでしょう。

タイトルの「それでも人生にイエスと言う」は、強制収容所で歌われていた歌の一節「それでも人生にイエスと言おう」からきています。強制収容所のような場所でも、人々が「それでも人生にイエスと言おう」と歌っていたことは、強烈な印象として心に刻まれました。
そして「心の支え」の大切さ。人によっては自分を待つ家族かもしれないし、やり残した仕事かもしれないし宗教かもしれない。心の支えを失い「典型的な強制収容所囚人」になってしまった人、あるいは病に倒れなくなってしまった人。

この本は2回読みましたが、正直言って講演や解説の内容を理解したとは言い難いです。それでも生きる意味や自分の人生にどうか関わるか、という非常に根本的な部分に思いを巡らせることができて、この本は読んでよかったと思っています。

それでも人生にイエスと言う
V.E. フランクル
春秋社
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Windows / iPhone ユーザが読むMacPeople #rvpl

生まれて初めて触ったパソコンがMac (1991年頃。QuarkXPressの実習で使用) で、友人知人にもマカーは結構いる。しかし自分はWindowsを使い続けて今に至ります。これまで使用したアップル製品は初代iPod Touchと現在のiPhone4のみ。
そんな自分が、今回レビュープラスさんよりMacPeople2010年9月号をいただき、活字からMacの世界に触れてみました。
以下のレビューにはWindowsユーザの偏見や誤解が含まれているかもしれませんが、ご了承ください。

意外に読める記事が多かった
モバイル無線LANルータやオンラインストレージの特集など、今の自分にとって有用な記事が多い。特にオンラインストレージは導入を検討しているところだったので、非常にタイムリー。
オンラインサービスの発達で、MacとWindowsの垣根が以前より低くなってきていることを、今さらながら実感しました。
それ以外の記事も読みやすさと未知の世界をのぞく楽しさで、「こういうUIしてるんだ」「こんなのがあるんだ」って感じ。「自分にとっては使えない」内容ではあるけれど、それでも不思議なわくわく感とともに読めました。

ハードウェア系の記事があったのが意外だった
Macユーザは「ハードウェアを自分で改造したりする」ことはないと思っていたけれど、電子工作的な記事があったりハードウェア系の連載があったり。AMDのプロセッサの話が掲載されていたのが一番意外。自分はハードウェアは全く詳しくないけれど、こういう記事には目がいってしまう。

特別付録の「iPhone4パーフェクトガイドmini」は必読
iPhone4が初めてのiPhoneで、その都度Webで調べたりしてなんとなく使っていた自分には「こんなこともできたのか」というTipsが多く、とてもよかった。
例えばユーザー辞書なんか使えたら絶対便利なのに、iPhoneで使おうという発想がそもそもなかったし、ユーザ辞書の存在にも気づいてなかった。
あとはメール。購入時に説明は受けていたけど、余りよくわかっていなかったので、これでやっと仕組みがわかった。
iPhoneのTipsはWebで探せばいくらでも出てくるけど、自分にとってはこういうハンドブック形式で基礎を俯瞰できたことは大きなプラスになりました。

さて、Windowsユーザの自分はこれでMacが欲しくなっただろうか。
現在自分はデスクトップPCとネットブックを所有しています。どちらも買い換えの予定は今のところなし。
全面的にMacに乗り換えることはないにしても、Macがあってもいいのかも、とは思った。身近にアップル製品が全くないわけではなく、自分がiPhoneを使っているから余計にそう思う、というのはあるかもしれない。
実際に今Windowsで使ってるものを棄ててMacに全面的に移るのは難しいけど、Macがある生活はちょっと楽しそうですね。

Mac People (マックピープル) 2010年 09月号 [雑誌]
アスキー・メディアワークス (2010-07-29)

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GTDは意外に身近なものだった〜ストレスフリーの仕事術

今頃読んでいるのか、と言われそうですが。

この本を読む前から、GTDという言葉は知っていました。「なんとなくこんな風なことをやるらしい」ということも。でもGTDを自らやろうと思ったことはなかったし、別に自分に必要ないとも思ってました。GTDを実践している方を見て「これは高度に知的な労働をしている人の物なんだろう」と思っていたからです。
ところが先日、「グズの人にはわけがある」という本を読んで、GTDに引き寄せられました。
この本にあるグズ (先のばし癖) の6パターンのうち、「夢想家タイプ 」の先のばし癖克服法に

  • たいせつなプロジェクトを計画するときは、必ず書面にして、スケジュールを立てる
  • 仕事用に1つ、家庭・プライベート用に1つ大きなカレンダーを用意し、だいじなできごと、期日や課題をわかった時点ですぐに書き込む。両方のカレンダーを1日2回(朝と晩)以上はチェックして各出来事、期日や課題が達成されるたびに消していく
  • 毎日「すること」リストと「考えること」リストを持って行動する

などが提案されていて、これってGTDというものに似ているのではないかと思ったのです。「高度に知的な労働をしている人の物」と思っていたけど、意外と自分の生活にも使えそうな気がしてきました。

GTDとはなんでしょう。わたしは「見えない敵を見える敵にする手段」「敵の正体を知る手段」だと思いました。
ここで言う「敵」とは、自分自身の悩みかもしれないし、やりかけの仕事かもしれない。悩みもやりかけの仕事も、「自分自身の行動などを妨げるもの」という観点では根本でつながっているといえるでしょう。
そういう見えない敵をあぶり出す手段としてGTDがあるのだ、と解釈しました。
「敵」の正体が分かればこそ対処できる。正体が分からないままでは手の打ちようがない。
GTDそのものでは敵は倒せない。しかし、GTDで敵の正体を知れば別に対策は立てられる。

GTDにおけるキモは、「すべてを書き出す」ことと「定期的に見直すこと」の2つ。書き出すのは敵をあぶり出すため、見直すのはあぶり出した敵を見失わないため。せっかくあぶり出したものを見失っては元も子もない。
そう考えると、GTDにおいて週次レビューが非常に重要視されるのもわかる。

GTDはあくまで思想であって、実践部分は自分のオリジナルでいいわけです。
今回この本をよんで1番意外だったのは、GTDの実践に関して具体的なツールの紹介や事例紹介がほとんどなかったこと。GTDは思想であり、思想の実践は個々のやり方でよい。それがGTDの最大の特徴と言えるでしょう。逆にその特徴故に敷居が高くなってしまう面はあるかもしれない。
ここから先は、GTDを実践している人たちの情報が役に立つでしょう。
この本をよんで、これまでなんとなく敬遠していたものがちょっと身近になりました。気負わず自分の身の回りのこと、自分が使っているツールでGTDを始めてみたいです。

ストレスフリーの仕事術—仕事と人生をコントロールする52の法則
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小さな「何か」が大きな差を作る〜「モチベーション3.0」を読んで #rvpl

「モチベーション3.0」は発売前の本ですが、レビュープラスさんより第5章までのゲラを送っていただき、読むことができました。

この本で取り上げられる「モチベーション」は3種類あります。これらは「社会のオペレーティングシステム」とも言うべき、人の行動を決める規範のようなものです。

  • モチベーション1.0=生理的動因が行動を決める
  • モチベーション2.0=「報酬を求める一方、罰を避けたい」という動機が行動を決める
  • モチベーション3.0=「学びたい」「創造したい」「世界をよくしたい」といった動機が行動を決める

5章まででは、モチベーション2.0がうまくいかなくなったのはなぜか、モチベーション3.0がどういうものか、モチベーション3.0によって人はどう変わるか、が紹介されています。

ビジネスの場でモチベーション3.0の存在がクローズアップされたのが、昨今の経済不安で、これまでのアメとムチによる「モチベーション2.0」がうまくいかなくなったことがきっかけであり、経済の複雑化・より高度な能力が必要になってきたからと書かれています。「それがうまく動かない状況になったからこそ、問題点が見えてきた」わけです。
逆に言えば、経済不安のような状況にならなければ、いつまで経ってもモチベーション2.0の問題点は見えてこなかったかもしれない。順調すぎるのも実はよくない、ということなのだろうか。

このゲラを読んでの最大の収穫は、漠然と自分の中にあった疑問に、はっきり答えが与えられたことです。

自分の頭の中に漠然とした疑問がありました。
「仕事のやりがいとは給与明細の数字だけで決まるものなのだろうか」
「仕事は給与明細の数字がすべて、と思っていたら辛くなりはしないか」

自分の周囲限定の話で申し訳ないのだけど、だいたい、自分の給与金額に納得している人は少ない。周囲からうらやましがられるような高給の人であっても不満が多い人はいるし、その不満の裏返しで、自分の高給をやたら自慢する人もいる。
そういう姿を見て、自分は「この人は給料をたくさんもらってるけど楽しくないんだろうな」などと思ったりしていた。
その一方で、給料に不満がありながらも、楽しく積極的に仕事に取り組み、成果を上げている人もいる。
こんな風に、「給与に不満」という点は同じでも、楽しくなさそうな人と楽しそうな人がいるのはなぜか。
単なる金額の多少では計れないものが仕事にはあるのではないか、楽しそうな人は「何か」を持っているから楽しいのだろう、と漠然と思っていたけど、その「何か」の正体が自分には分からなかった。その何かが内発的動機の有無、「モチベーション3.0」と名付けられるものであることに、このゲラを読んで気づきました。

ただ与えられた仕事を与えられた仕事としてだけやるか、与えられた仕事に自分自身が「何か」を見出し、ただ与えられた仕事だけで終わらせないか。最初はわずかな差かもしれないけど、最終的には仕事にも人生そのものにも、大きな差が出てきます。
「何か」を見出すといっても、それは簡単なことではないでしょう。仕事に限らず、やり方を新しくすること、新しいことを習慣にすることは容易ではない。でも、普段の仕事の中で、少しずつ意識することはできるはず。まずは今の仕事の中で「自分ならどうしたいか」「自分はこの仕事とどう関わりたいか」などを意識するようにしたい。

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1つ気になったことが。
本文ではなく、大前研一氏による訳者まえがきを読んで感じたこと。
大前氏は「プログラミング=クリエイティブではない作業」という認識があるようです。
クリエイティブではない作業だから、(他の単純作業と同じように) 中国やインドに行ってしまった、とあるけれど、本当にそうなのだろうか。
大前氏が言うところの「プログラミング」は実際には「コーディング」ではないか。
「プログラミング=クリエイティブではない作業」というとらえ方は、そもそも本書でも取り上げられているオープンソースの動きと矛盾するし、大手メーカーでIT技術者として採用された新卒社員の研修がインドで行われたことを説明できないのではないか (このインドでの新入社員研修が現在も行われているかはわからない。しかし数年前、実際にインドで研修を受けた新人技術者と話をする機会があった)。

中国にしてもインドにしても、人口の多さと人件費の安さを背景として、多くの仕事が移ってきているのは事実だ。でも中国は「世界の工場」と呼ばれるが、インドがそのように呼ばれたことは、寡聞にして知らない。この差はどこから来るのだろう。

本書の内容は非常に興味深く、実際に発売された際には是非続きを読みたいと思った。しかし、この大前氏の訳者まえがきだけが残念だった。

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《書評》ごつごつした水晶の原石のような〜芥川龍之介[ちくま日本文学002]

思えば芥川龍之介も、教科書や副読本以外ではほとんど読んだことがありませんでした。はっきり読んだ記憶があるのは「トロッコ」くらい。
むしろ自分にとっては、「百間先生邂逅百間先生図」や「百間先生懼菊花図」の作者としてのイメージが強い (それはそれでどうかと思う)。
毎日就寝前に少しずつ読んでいたので、読了まで1ヶ月ほどかかってしまった。
彼が俳句を作っていたのは知っていましたが、詩も作っていたことはこの文庫を読んで初めて知りました。

同じシリーズの志賀直哉を読んだときは、文章は薄くて鋭利な刃物みたいだと思いましたが、芥川龍之介の文章は、ごつごつした水晶の原石みたいでした。硬くて鋭さを内側に隠し持っていながら、表面にそれは表れていない。物語世界にどっぶりとはまり込んでも、どこかで弾かれる感じがする。
今回読んだ中で一番気に入ったのは「蜜柑」という7ページほどの作品です。収録された他の作品と比べても、やや毛色が違う感じがする作品ですが、最後に「なんだか救われた感じ」がしたので。
「地獄変」は、恐ろしいと思いつつも読むのをやめられない、怖いけど目をそらせない、そんな感じで読んでしまいました。

あともう一つ。「杜子春」で、終盤で鬼にむち打たれた母が、杜子春に向かって「心配をおしでない。私たちはどうなっても、お前さえ仕合せになれるのなら…」と語りかける場面がありますが、もしここで母が杜子春を恨む言葉を口にしたら、いったい物語はどうなったのだろう。それが気になった。この展開の話を読んでみたかった気がする。

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《メモ》わかっちゃいるけどむずかしい〜人はなぜお金で失敗するのか

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行動経済学の入門書です。
人はなぜ無駄遣いしてしまうか、がわかりやすい文章と例示で示されています。アメリカに住む人向けの内容で日本の事情には合わない面もあるけれど、それでも基本の部分はお金の使い方を考える上で役に立つと思います。

この本には投資に関する話がたくさん出てくる。自分は「ウォール街のランダム・ウォーカー」とか「敗者のゲーム」などは読んだことがあるけど、実際に投資はしていないのでピンとこないところもあった。しかし、何かにお金を使うことを広義の「投資」と考えれば、納得いく点も多い。

自分にとって一番役立ったのは「心の会計」の章。あるお金を他のお金よりも価値の低いものとみなし、無駄遣いしてしまう傾向について論じた章。
自分は「小さな買い物をたくさんしてしまって結局お金が手元に残らない」傾向があるのだけど、これについては
「多くの人々が…大きい買い物をするときには費用に敏感なのに、小さい買い物をするときには、「心の会計」のために自制心をゆるめてしまう。」「小さい買い物の費用に敏感になれば、多額の貯金ができることが多い」とあって、その通りだよなあ、と。
各章には「どう考え、どう行動するか」として、自分がお金に関してよくない行動にとらわれていないかのチェックと、具体的な行動の提案があります。正直「これが全部できれば苦労はないよ」とミもフタもないことを思ってしまったり、この本を読んでいるときは冷静に得な方を選べるけど、いざ自分がお金を使う段になるとちゃんと選択できないかも、と思ってしまった。でもプロローグにあったように「最高の薬は知識」であるのも確か。全部は無理にしても、自分がお金を使おうとする場面で、少しでもよい選択をできるように心がけることはできるはず。

行動の提案の中から自分がこれから気をつけようと思ったことは

  • すべての収入を働いて稼いだものだと想像する、あらゆるお金を同じように扱う (先日も臨時収入をぽっと使ってしまいそうになったし)
  • 給与天引きをうまく使う (今でもやってるけど、金額を増やしてみようか)

の2つ。あとは日々の細かい出費に対する意識をもう少し持つべきか。ひたすらケチになったり、ひたすら倹約するつもりはないけれど、お金を使うときに「これは本当に今必要か?」を考えるようにしたい

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楽しくなかったけど、読んでよかった〜グズの人にはわけがある

ここでいう「グズ人間」とは、「先のばし癖」のある人のことです。先のばし癖があると、他人に迷惑がかかるだけでなく、自分自身も追い込まれてしまい、いいことは何もありません。

この本では、6つにタイプ分けされています。

    • 完璧主義者タイプ「でも、完璧にしたい!」
      夢想家タイプ「でも、あんな面倒なことをするのは嫌だ!」
      心配性タイプ「でも、変わるのが怖い!」
      反抗者タイプ「でも、なぜ私がしなければならないんだ?」
      危機好きタイプ「でも、ギリギリまでやる気になれない!」
      抱えこみタイプ「でも、ほかにすることが多すぎて!」
  • これらのタイプそれぞれについて、どういう点が問題か、実際の症例、考え方・話し方・行動様式のそれぞれに対する先のばし癖克服法の提案からなっています。

    各タイプの説明に入る前に「グズ人間度自己評価テスト」があります。このテストで自分がどのタイプかを判断するのですが、1つにしか当てはまらない人はまれで、たいていはいくつかが独自に混合された性格を持っています。
    各タイプ20点満点で、10点以上になったタイプが「主要タイプ」、9点以下が「副次タイプ」とされているのですが…。
    わたしの場合、危機好きタイプ以外のすべてが10点を超えてしまいましたorz
    もちろん1つのテスト結果に縛られる必要はないし、この結果が絶対だとも思いません。しかし、結果が突拍子もないものだとは思えなかったし、それぞれ心当たりはあったので、自分自身をある程度は言い当てていると思います。

    実際読み進めて非常に困ってしまいました。自分のグズさを、具体的にこれでもかと見せつけられた気がしたからです。しかもその例が、心当たりがあるものばかりだったからです。
    なので読んでいて全く楽しくありませんでした。しかし読んでよかったと思います。
    自分のどういう面がグズなのかが具体的になったこと、それらの解決のためのヒントが見えてきたことは収穫でした。
    これまでの自分の「グスさ」が、何かが絡み合って丸まっている、しかも何が絡まっているか全くわからない状態だったとすると、この本を読んむことで、何が絡みあっているかはわかる状態になれたかなと思います。
    もちろん問題はこれから先どうするか、なんですが。グズを克服=長年染みついた行動や思考を強制するのは容易なことではないでしょう。色々からみついた状態では余計に。

    この本を読んだきっかけはいくつかあるのだけど、結局は自分がグズだという自覚があること、グズを克服しない限り、何をやってもうまくいかないし、自分にも自信が持てないだろうことに、遅ればせながら自分が気がついたことが一番の動機だと思う。
    例えば仕事でなかなかうまくいかない自分がいて、それはスキルとかキャリアの問題だとずっと思ってました。確かにそれも問題ではあるのだけど、もっと根本に問題があるのではないか、と。この年になるまでそれに気がつかなかったてのも情けないけど。
    現在この本を1度通読したところなのですが、この本は何度か読み返し、一つ一つの克服法をやってみる必要があると思いました。

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